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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』長山洋子さんーー芸能界ではわたしより先輩なのに “ちゃんづけ” で呼んでます!
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.09.09 06:00 最終更新日:2023.09.09 06:00
エンタテインメントの世界は、たとえ1日でも先に入った人が先輩です。
年齢は、(長山)洋子ちゃんよりわたしがひとつだけ上で、演歌歌手としてもわたしが先輩。でも、この世界に入ったのは、16歳でデビューした洋子ちゃんのほうが先ですから、本当なら「洋子さん」、あるいは「長山さん」とお呼びしなければいけません。
ところがです。なぜか、わたしは「洋子ちゃん」と呼び、洋子ちゃんはわたしのことを「冬美さん」と、 “さん” づけで呼びます。
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いや、あのぅ……最初からそうだったわけじゃないんですよ。初めはわたしも、「洋子さん」と呼んでいたはずなんですけど、洋子ちゃんと同じ事務所で年齢が上で、演歌歌手としても先輩だけどデビューは後という、あやちゃん(藤あや子)が「洋子ちゃん」と呼ぶので、いつの間にかわたしも……モゴモゴモゴ(苦笑)。
先輩後輩の線引きに厳しいこの世界で、いつも自然体で接してくれて、とってもフランクにおつき合いさせてくださる洋子ちゃん。
「子供のころから拝見していました」と、頭を下げるわたしに「私も子供でした」と、微笑みで返してくれる洋子ちゃんは、とっても大切で、とっても稀有な先輩です。
(松田)聖子さん、(中森)明菜さんと同じ時代に、アイドルとしてデビューした洋子ちゃんは、さらさらのロングヘアで、清楚でとってもかわいい女のコでした。
でも、それだけじゃありません。結婚して子育てを経験し、チャリンコに乗って近所のスーパーに買い物にも行けば、子供の運動会や授業参観など、学校行事にも普通に出かけます。
ご近所3人娘(と呼ぶには、ややとうが立っていますが)の洋子ちゃん、あやちゃん、わたしの3人でここ数年、たびたび敢行している “美味しいものを食べに行こう会” では、服装もジーンズなどラフな格好で、銘々 (めいめい) チャリンコに乗ってお店の前に集合。おしゃべりをしながら、メキシコ料理や中華料理などを堪能した後は、再びチャリンコに乗ってわたしの家にGO!
3人が縦に並んでチャリンコで走る姿は、なかなかのもので。皆さんにお見せできないのが残念です(笑)。
ただ……洋子ちゃんとあやちゃんのチャリンコは、電動アシストなので上り坂もスイスイですが、ノーマルタイプのわたしは2人に遅れまいと、ペダルを漕ぐのに必死です。
わたしが買い換えればいいのですが、そんなに簡単な話ではありません。だって、マイチャリンコは、 “墨の魔術師” “書道界の鬼才” という異名を持つ、金田石城(せきじょう) 先生からいただいた名前入りです。買い換えるなんて恐れ多くて、そんなのとても無理です。
かくして、今日もスイスイと坂道を上る2人に遅れまいと、鬼の形相でペダルを漕ぐ、わたしなのです(苦笑)。
でも、ひとつだけ。ぱっと見、完璧に見える洋子ちゃんにも弱点があります。
「帰り道はわかる?」
「大丈夫です」
「本当に? 家に着いたら連絡ちょーだいね」
「はい、わかりました」
洋子ちゃんとそんな会話を交わしてから1時間……待てど暮らせど連絡がありません。
う〜〜〜〜〜ん、困ったぞと思ったそのとき、洋子ちゃんから「すみません。左に曲がらなきゃいけないところで、右に曲がってしまって。今、家に着きました」というメールが来て。なんのことはない、やっぱり道を間違えていたんです。
こういうところもかわいいですよね。ごめん、洋子ちゃん。2人だけの秘密を公開しちゃいました(笑)。
さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋