エンタメ・アイドル
坂本冬美の『モゴモゴ交友録』一路真輝さんーー宝塚のトップスターだから何人もお付きがいると勝手に思っていました
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.09.16 06:00 最終更新日:2023.09.16 06:00
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を超えるsixth sense。理屈では説明できない第六感というのは、案外侮れません。それが、あらゆることを経験し、修羅場を潜り抜け、艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えて来られた先達の第六感であればなおさらです。
ーー2人はきっと合う。
「ピンと来たのよね」とおっしゃったのは、大プロデューサー石井ふく子先生でした。
【関連記事:坂本冬美の『モゴモゴ交友録』長山洋子さんーー芸能界ではわたしより先輩なのに “ちゃんづけ” で呼んでます!】
先生がピンと来たという2人とは、一人は宝塚の男役トップで、数多くの女性ファンを虜にした一路真輝(いちろまき)さん。もう一人……そうなんです、わたし、坂本冬美です。
う~~~~~ん、です。一路さんはわかります。わたしが初めて宝塚を観させていただいたのは、天海祐希さんがまだ二番手くらいのときなので、一路さんの現役時代をこの目で拝見することはできませんでしたが、なんたって、あの宝塚のトップです。大・大・大スターでいらっしゃいます。
宝塚退団後も、数多くのミュージカルで主演を務められ、歌にお芝居にテレビドラマにと、大活躍されているエンタティナーです。
対してわたしは……歌は本業ですが、お芝居……なかでも、テレビドラマのお芝居は、モゴモゴモゴ(苦笑)。正直に言っちゃうと、苦手です。
そんなわたしと一路さんに、石井先生が用意してくださったのは、今春TBSで放送された『ひとりぼっち−人と人をつなぐ愛の物語−』で、おにぎり専門店「たちばな」の店主(わたし)と、唯一の従業員、藤森聡美(一路さん)という役でした。
放送前の記者会見で、一路さんは「冬美さんとは、いつもディスカッションさせていただきました」と、おっしゃってくださいましたが、ビミョーに? かなり? いや、いや、まるで違います。
「これって、こういうことなんですかね?」
「ここは、どうしたらいいんでしょう?」
質問するのはいつもわたしで、一路さんはその都度、「じゃあ、ここはこんな感じにしましょうか」と、優しくアドバイスしてくださいました。
ーー 一路さん、本当にお世話になりました!
撮影に入る前は、宝塚のトップスターだから、いつもお付きの方が何人もいて、喉が渇いたらお水が出てきて、汗をかいたらさっとタオルが出てくる……などなど、勝手なイメージを描いていましたが、一路さんはスマートで身軽で、ナチュラルで。なんでも一人でおやりになるんです。
朝8時に現場入りの場合、落ち着かないわたしは前日、近くのホテルに宿泊。朝4時30分には目覚ましをかけて、あーでもない、こーでもないと右往左往した後、マネージャーが運転する車で撮影現場にバタバタと入りますが、一路さんはわたしよりもゆっくりと目覚め、ササッとお風呂で身を清め、颯爽とタクシーで現場に入られる。
この違いはなんなんでしょうか!? もしかして、一路さんとわたしでは、同じ1時間でも、流れる速度が違うとか?いや、そんなわけないですよね(笑)。
時間の使い方がうまい一路さんと下手なわたしとでは、こんなに差が出るという証しです。これが、無駄を省いてスリムに生きる一路さんと、無駄だらけの毎日をぐだぐだと過ごすわたしとの差です(苦笑)。
もしかなうのならば、石井先生が演出される舞台で、もう一度、一路さんとご一緒してみたい。そして、舞台で男役の一路さんとデュエットさせていただきたい……それが、今のわたしの望みです。あぁ……想像しただけで、ゾクゾクしてきちゃいます。
さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋