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中村倫也『ハヤブサ消防団』最終話、ラスト2分で明かされた“驚愕事実”がリアルすぎて悪寒走る【ネタバレあり】

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.09.15 20:30 最終更新日:2023.09.15 21:04

中村倫也『ハヤブサ消防団』最終話、ラスト2分で明かされた“驚愕事実”がリアルすぎて悪寒走る【ネタバレあり】

主演を務めた中村倫也

 

「よくあるホラー映画の終わり方」と言えばそうも見えるのだが、そんな単純な話ではないところが、本作のテーマの本質な気がする。

 

半沢直樹』(TBS系)などで知られる池井戸潤氏の同名小説が原作で、中村倫也が主演を務めた『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)。9月14日に最終話(第9話)が放送された。

 

 主人公はミステリー作家の三馬太郎(中村)。東京住まいだった太郎だが、豊かな自然が広がるのどかな田舎町の「ハヤブサ地区」に移住して、地元の消防団に加入する。だがその集落では、連続放火騒動や住民不審死などの怪事件が起きていきーーというストーリーだ。

 

 

 ここからは最終話のネタバレありで綴っていくので、未視聴の方はご注意を。

 

■【ネタバレあり】川口春奈を新聖母に祭り上げようとするも……

 

 第7話で真のテーマが姿を表わしたのだが、このドラマは田舎町の集落がカルト教団に乗っ取られていくという話だったのだ。

 

 数年前に教祖と幹部3名が信者12名を拷問の末に殺害し、その凄惨な事件が明るみになって世間を震撼させていた「アビゲイル騎士団」という新興宗教団体。動機がうやむやなまま教祖と幹部の死刑が確定し、教団は解散することになったが、一部の元信者は今でも教義を信じており、後継団体「聖母アビゲイル教団」として活動を続けていた。

 

 本作のヒロイン的ポジションで、太郎と恋仲になる立木彩(川口春奈)も、じつは教団の熱心な信者で、当初はその素性を隠して太郎に近づいてきていたのである。

 

 聖母アビゲイル教団の目的は、ハヤブサ地区を聖地として教団の新たな拠点を作ること。

 

 そのためにソーラーパネル企業を騙り、ハヤブサ地区の土地買収を進めていたのだが、百歩譲ってそれだけならまだしも、計画を遂行するために土地を売らない家に放火したり、邪魔になる住民を殺害したりしていたことが判明していた。

 

 物語はクライマックスへーー。

 

 教団は新たなシンボルとして彩を新聖母に祭り上げようとしており、皆既日食の日に儀式をおこなおうとしていた。その目論見に気づいた太郎は彩の説得を試み、最終的に彩は翻意して自らと教団の罪を白日の下にさらす。教団が裏で放火や殺人をしていたことを知らずにいた多くの信者たちは教団から去っていき、一件落着となったのだった。

 

 のどかな田舎町で静かに暮らしていた住民たちの日常が、得体の知れない団体に徐々に侵食されていくという恐怖感に、背筋がゾゾゾッとさせられた本作。新感覚のミステリー作品であり、日本ではこれまで類を見なかったホラー作品ともいえた。

 

■「よくあるホラー映画の終わり方」とは似て非なるラスト

 

 彩の告発により、ハヤブサ地区を拠点化する計画は頓挫し、教団からは多くの信者が離れていったようだったが、本編ラスト2分でストーリーは急転。アビゲイルは彩とは別の新聖母を擁立して、東京で存続していたことが明らかになった。

 

 ホラー映画では、退けたと思っていた幽霊が復活したり、倒したと思っていた怪物が生きていたりすることを示唆する終幕で、恐怖はまだまだ続くのだと観客を怯えさせる演出は定番。

 

『ハヤブサ消防団』も、そういったホラー作品の王道エンディングを選んだのだというシンプルな解釈もできる。……だが、本作が扱っていたのはカルト教団のため、この終わり方はじつに根深いし、とてもリアリティがあるように思えて、再び悪寒が走る。

 

 ご存知の方も多いとは思うが、現実社会で1990年代に凄惨なテロ事件を起こして日本中を震撼させたあの教団の後継団体は、今現在も存続しているのだ。

 

 大きな事件を起こして日本中から非難を浴びるようになったとしても、その宗教を心の拠り所としていた信者の全員が、すんなりと「はい、わかりました。もう信じません。脱退します」とはならないはず。人生に絶望するなどして救いを求めていた人間の心理は、そんな簡単なものではないということだろう。

 

 そのためアビゲイルが続いているというラストは、ホラー映画の幽霊や怪物が復活するのとは、似て非なるものなのである。

 

 ーー第1話10.5%でスタートした本作の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、最終話は過去最高の10.6%を記録し、有終の美を飾った。

 

 余談だが、自らの罪を暴露して教団を告発した彩は、その後、拘置所に収容された模様。

 

 アビゲイルに最初の聖母として祭り上げられていた女性は、残酷な運命に翻弄されて人生に幕を下ろしていたが、彩の人生もなかなか数奇なものだ。しかし、きちんと罪を償った後には、彩には太郎とのハヤブサでの静かな生活が約束されていることが、せめてもの救いに思えた。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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