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向井理『パリピ孔明』頭をからっぽにして楽しむのが正解…放送を実現させたフジテレビを高く評価したい

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.10.04 11:00 最終更新日:2023.10.04 11:00

向井理『パリピ孔明』頭をからっぽにして楽しむのが正解…放送を実現させたフジテレビを高く評価したい

左から上白石萌歌、向井理、関口メンディー

 

 まずこの作品をゴールデン・プライム帯の連ドラでスタートさせた時点で、十分に評価すべきだと思う。

 

 先週水曜に第1話が放送された向井理主演の『パリピ孔明』(フジテレビ系)のことだ。

 

 三国志の英雄である天才軍師・諸葛孔明(向井)が、五丈原で病死したものの、気づくと2023年の東京・渋谷に孔明の姿のまま転生していたというコメディ作品。小さなライブハウスで歌うインディーズシンガー・月見英子(上白石萌歌)に心酔し、“軍師” として彼女をマネージャーのようにサポートしていくというストーリーだ。

 

 

『ヤングマガジン』(講談社)で連載中の同名漫画が原作となっている。

 

■強引な計略にいまいち納得できなかった

 

 才能はあるものの、まだ全然人気のないシンガー・英子を、孔明の才知に富んだ計略でいかにサクセスさせていくかがドラマの見どころ。第1話終盤では、さっそく孔明の見事な智略がハマッてクライマックスを盛り上げた。

 

 英子はクラブイベント出演のオファーを受けるが、別フロアで人気シンガーがステージに立つ同時間帯に歌うことになり、圧倒的に劣勢の状況。客が各フロアを自由に行き来できるイベントのため、英子は冗談半分で「私のステージを満員にせよ!」と孔明に命じる。

 

 そこで孔明は、かつて三国志時代に使ったとされる「石兵八陣」を転用した仕掛けを実行。英子のフロアにスモークをがんがん焚き、同じ服のスタッフをフロア内で移動させることで、客の方向感覚を狂わせて出入り口をわからないようにし、英子のフロアからなかなか出られないようにした。おかげで英子のフロアは大盛況となったのだ。

 

 正直言うと、筆者はこの「石兵八陣」の仕掛けのネタバラシを見ても腑に落ちず、こんな強引な策が成り立つはずがないと冷静に思ってしまった。

 

 おそらく、漫画という媒体で二次元のキャラがやっているのなら違和感はさほどなかったのだろうが、三次元の役者が演じるドラマでやると、どうにも無理筋に見えてしまう。

 

“漫画原作なんだから多少の粗は気にしなけりゃいいじゃん” と捉えるか、“漫画とドラマは別もので最低限のリアリティは大事” と捉えるかで、評価はまったく変わってくるところだろう。

 

 このシーンに関しては、筆者はどちらかというと後者で、いまいち納得できなかった。

 

■森山未來演じるコワモテオーナーが最高

 

 とはいえ、自分で言うのもなんだが、このドラマは深く考えずに頭をからっぽにして楽しむのが正解なのだと思う。

 

 なんで孔明は自分の肉体&服装のまま渋谷に転生したのかとか、なんでいきなり日本語が話せちゃうのかとか、そういう部分にツッコんでいたらキリがない。

 

 しかし、深く考えずに観れば、孔明が現代文明に衝撃を受けつつもすぐに状況を受け入れ、驚異の理解力でスマホの使い方をあっという間にマスターしたり、バーテンダーとしてカクテルを手際よく作ったりする姿は、コミカルで非常におもしろい。現代に馴染むの早えぇぇ、と笑ってしまった。

 

 また、英子が歌うライブハウスのオーナーで、金髪・グラサン・ヒョウ柄スーツの小林を演じる森山未來の存在感と演技がめちゃくちゃいい。

 

 小林は一見するとコワモテだが、かつて自殺しようとしていた英子を救った恩人で、面倒見のいいキャラ。そして極度の三国志オタクで、孔明と三国志談義で熱く語り合ったことがきっかけで、スタッフとして雇うようになる。

 

 小林は、孔明をただのコスプレイヤーだと思っているので、さすがに本物の孔明が転生してきたとは信じていないわけだが、三国志トークに花を咲かせて「お前、超孔明じゃん!」と上機嫌になる姿は、なんだかかわいらしさもある。

 

 作品を俯瞰して見ると、小林は孔明の人物像や昔の偉業を視聴者にわかりやすく伝える役割も担っているため、かなり重要な役どころでもあるのだ。

 

 森山はこの小林というクセ強キャラの魅力を、120%引き出しているように感じる。

 

■22時枠で放送したのはフジテレビの英断

 

 初回の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は6.1%で、見逃し配信の人気の指標となるTVerのお気に入り登録者数は40.8万(10月2日現在)。今のご時世で考えると可もなく不可もなくという数字と言える。

 

 だが、恋愛ものや事件解決もの、医療もの、法廷ものといった定番ドラマが氾濫する昨今において、本作のように独創的すぎる設定の作品はとにかく貴重。こういう突飛でチャレンジングなドラマは、企画を通して放送を実現させた時点でもう一定以上の評価をしてもいい。

 

 深夜ではなく22時枠でスタートさせたのはフジテレビの英断だと思うのだ。こういう意欲作を今後も生み出していってもらいたいので、今夜放送の『パリピ孔明』第2話にも期待している。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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