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『いちばんすきな花』多部未華子ら4人のなかに生まれた恋心が「やさしい空間」を崩壊させる…想定ラストは2パターン

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.11.23 11:00 最終更新日:2023.11.23 11:00

『いちばんすきな花』多部未華子ら4人のなかに生まれた恋心が「やさしい空間」を崩壊させる…想定ラストは2パターン

 

 とうとう主人公4人のなかで恋愛感情が発生してしまい、さらに彼・彼女らの居場所もなくなる可能性が高まってきた。絶妙なバランスで成り立っていた友情が、崩れてしまいそうな不穏な気配が漂い始め……。

 

 先週木曜に第6話が放送された『いちばんすきな花』(フジテレビ系)。昨年10月期に社会現象を巻き起こした『silent』(同)の脚本家とプロデューサーが再タッグを組むとのことで、放送前から大きな期待を集めていた作品だ。

 

 

 多部未華子松下洸平今田美桜神尾楓珠の4人によるクアトロ主演という新しいスタイルで、「男女の間に友情は成立するのか?」をテーマにしている。

 

 塾講師のゆくえ(多部)、出版社勤務の椿(松下)、美容師の夜々(今田)、イラストレーターの紅葉(神尾)の4人が偶然出会い、仲を深めていく。

 

 それぞれ恋愛や友情にまつわる人間関係に “生きづらさ” を感じていたが、4人でいると共感できることが多く、それぞれの価値観を尊重し合える関係に。婚約者に逃げられた椿の家に自然と集まるようになり、ダイニングテーブルの指定席に座って語り合う、やさしい空間を形成していくのだ。

 

■とうとう恋愛展開が始まってしまった

 

 筆者は個人的に、この4人のなかでは恋愛展開にならないでもらいたいと思っていた。

 

 外部の人間関係で惚れた腫れたの恋愛展開があってもいいが、この4人の空間はいつまでも外部での悩みや苦痛を心置きなく吐露でき、そして浄化していける場所であってほしい。せっかく性差や年齢を越えた友情が結ばれ、彼・彼女らにとって心が穏やかになるセーフティゾーンができたのに、そこにヒビが入る展開は観たくなかったからだ。

 

 しかし、第6話までに、紅葉がゆくえに、夜々が椿に恋心を抱いていることが判明。

 

 紅葉はもともとゆくえに告白するつもりも交際する気もなく、強がりではなく純粋に今の関係でいることを望んでいるのだが、夜々は自分の気持ちを椿に伝えようとしている……恋愛展開が始まってしまった。

 

 さらに、椿は新婚生活を送る予定で今の戸建てを選んでいたので、結婚が破談になって広い家の必要性がなくなり、そのほかの事情も重なり引っ越すことを決意。4人の心地のいい居場所も失われそうになっている。

 

 穏やかでやさしい性格の4人なので、目も当てられないようなドロドロの修羅場を迎えることはないだろうが、夜々の恋心がきっかけでバランスが崩れ、気まずくなってしまうという展開はありえるだろう。

 

 夜々が椿に告白しなければ今の関係性もキープしやすい。だが、夜々は恋愛感情をちゃんと相手に伝えたいタイプのため、もし「告白しない」という選択肢を選ぶと、彼女が自分の価値観を折り曲げ、気持ちを胸に押し込むことになってしまう。

 

 そして告白をするとしたら、椿が夜々の気持ちを受け入れて恋人同士になるか、彼女の気持ちに応えられず、交際しないかの二択になるだろう。

 

「男女の間に友情は成立するのか?」がテーマの作品において、恋愛感情が発生してしまった男女にどういう着地点を用意しているのか。多くの視聴者が納得できるか否かは、まさにこのテーマを選んだ脚本家の手腕の見せどころとも言える。

 

■人間関係というのは現状維持が難しいもの

 

 総じて人間関係というのは “水” のようなものである。

 

 個体であれば形をとどまらせることができるが、液体である水は流れていく。人間関係を維持するだけなら難しくないと考える人は多いと思うが、関係性を一定にキープすることは、実は非常に難しい。

 

 水は重力によって違う場所に流れていこうとするが、“水槽” のような容れ物があれば同じ形を維持しやすいので、4人にとっての水槽が椿の家なのだと思う。その水槽が失われたら、どうなっていくのか。

 

 今夜の放送回が第7話となるため、そろそろ物語がフィナーレに向かって動き出すだろう。友情にしろ愛情にしろ、心の深い部分でつながった4人の絆が完全崩壊することはないだろうから、ラストは2パターン想定できる。

 

 ひとつは、強い絆で結ばれながらも、それぞれの人生を歩み始め、4人で集まることがほとんどなくなるという結末。

 

 もうひとつは、関係性に大なり小なりの変化があったとしても、また心地のいい居場所を作り、4人が集まり続けるという結末。

 

 基本的に筆者は後者の結末を望んでいるが、かといって繊細な心の機微を描くことを放棄して、強引なご都合主義で4人が集まるラストに持っていくぐらいなら、前者でもいい。

 

 今夜放送の第7話で、最終話の片鱗が見え始めるかもしれない。いずれにしても、『silent』を大ヒットさせた脚本家がどのような答えを示してくれるのか、今から楽しみだ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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