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KISS、約半世紀の活動に終止符…YOSHIKI、聖飢魔IIらに影響を与えたロックバンドの偉大な功績
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.10 18:11 最終更新日:2023.12.10 18:20
X JAPANのYOSHIKI、故・hideなど日本のロックミュージシャンたちに多大な影響を与えた世界的ハードロックバンド「KISS(キッス)」が、12月2日、最後のライブをニューヨークでおこない、ファンに惜しまれつつ、約半世紀の活動に幕を下ろした。
シングル、アルバムの総売り上げが1億1000万枚を達成し、幅広い世代にファンを持つKISS。彼らは、なぜここまで世界的に成功することができたのか? 『ヤング・ギター』等で執筆する音楽ライターの尾谷幸憲氏が語る。
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「KISSが成功した大きな要因としては『ロック』と『エンターテインメント』を完璧な形で融合したことがあると思います。彼らはニューヨークで誕生したバンドですが、1973年のデビュー当時から顔に白塗りメイクを施し、メンバーそれぞれがアメコミヒーローのようなキャラクターを演じるという『設定』を導入。ステージでは、ライブ中に火を吹く、血を吐くなどのアトラクション的な要素も取り入れました。
彼らの音楽性はハードロックですが、先輩にあたるレッド・ツェッペリンのようなアート性はあえて排除し、パーティー・ライクな楽曲を追求。
『デトロイト・ロック・シティ』『ロックンロール・オールナイト」など盛り上がる楽曲を多数、世に送り出しています。つまり、それまでのロック界には存在していなかった、見た目のアメコミっぽさ(エンターテイナーぶり)と楽曲のよさ、その双方を高次元で融合し、ステージで再現したのがKISSの成功の理由でしょう」
今ではライブのチケット販売の次にアーティストたちの収入源を占めるとされる物販(=版権ビジネス)をいち早く取り入れたのもKISSだといわれている。
「Tシャツなどに代表される、今でこそ当たり前となったアーティストの物販を発案したのが、メンバーのジーン・シモンズ。彼はロック界でも優秀なビジネスマンとして知られています。KISSとジーン・シモンズが物販グッズの開発をおこなわなければ、今ごろロックはビジネスとして成り立っていなかったかもしれません」(同)
そしてKISSが、ほかの多くのロックバンドと異なる点が、圧倒的に世代を超えたファンが多い点だ。
「アメリカ本国のKISSのファン層は4世代くらいいると聞きます。第1世代が1970年当時から応援しているKISSアーミー(※ファンの総称)、第2世代はKISSがメイキャップをやめて素顔に戻った1980年代からのアーミー、第3世代は1990年代にオリジナル・メンバーが復活し、再びメイクを施した時期のアーミー。さらに2000年代以降の世界規模のツアーをおこなってきた時代に、KISSに触れた第4世代アーミーもいます。
自分が観に行った2015年の東京ドームツアーでは、会場に若い女性がたくさんいて驚きました。『ももいろクローバーZ』がゲスト出演したこともあったと思いますが、KISS第一世代の両親の影響で来たコも多かったようです。親から子供へと受け継がれるバンドになっているのも活動歴の長さゆえですね」(同)
日本にもファンが多いKISSだが、それは彼らが登場した当時、日本で空前の洋楽ロックブームが起きていたことも後押しとなったようだ。
「当時、日本ではKISS、クイーン、エアロスミスが3大バンドと言われており、音楽誌『ミュージックライフ』などで頻繁に特集されていました。そして、1977年4月2日におこなわれた日本武道館公演がNHK『ヤング・ミュージック・ショウ』で放映されたことで、彼らの人気に火をつけたのです」(同)
日本のアーティストにもKISSに影響を受けた者は多く、X JAPANのYOSHIKIは、過去に「KISSに出会ってなかったら、いま生きてなかったかもしれない」とまで語っている。また元X JAPANのギタリストでソロアーティストとしても活躍したhideも、KISSに出会って音楽を始めた1人だ。
「日本のアーティストとの共演もいくつか果たしていて、前述のとおり、2015年には、ももいろクローバーZとのコラボが実現。『ももいろクローバーZ vs KISS』名義で、シングル『夢の浮世に咲いてみな』をリリースしています。
KISSの影響を公言し、ももクロのファンでもある元メガデスのギタリスト、マーティー・フリードマン氏(日本在住)は当時、私に『こんなの奇跡じゃん!』と興奮気味に語っていました。
またYOSHIKIとKISSも、2019年にNHKの『第70回紅白歌合戦』で共演しています。X JAPANファン、紅白歌合戦にも出演経験もあるマーティー・フリードマン氏は、当時、私に『こんなの奇跡じゃん! ボクも共演したかった!』とやっぱり興奮気味だったことが印象的でした。
さらに、悪魔ですので御本人たちは否定されると思いますが、『聖飢魔II』のメンバーも、見た目含め、大きな影響を受けていると思います」(同)
ほかにも紹介しきれないほど、数々の伝説や逸話を残してきたKISS。12月2日でライブは見納めとなったが、最後にサプライズが待っていた。
「ライブの最後に発表されたのですが、今後、KISSはバーチャルな存在=3DCGのアバターとして蘇るそうです。この3DCGアバターは、ジョージ・ルーカスの会社『インダストリアル・ライト&マジック社』と『ポップハウス・エンターテインメント社』によって、モーションキャプチャー技術で制作されたもの。
これでKISSは、“永遠の命” を得たことになり、今回のステージでも披露された3DCGアバターによるライブ公演が今後おこなわれる可能性が高いです。
ちなみに、3DCGアバターによるバーチャルライブは、『ダンシング・クイーン』などのヒット曲で知られるABBA(アバ)がすでに実施しており、週に200万ドル(約3億円)以上の収益を上げているそうです。
ラストライブで、メンバーのポール・スタンレーは『ひとつの終わりはもうひとつの始まりだが、KISSはいつもみんなのそばにある』と語りました。その言葉どおり、今後もKISSは世紀のロックンロール・エンターテイナーとして存在し続けるのではないでしょうか」(同)
( SmartFLASH )
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