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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』研ナオコさんーーCM共演を夢見てオーディションを受けるも落選した過去
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.01.27 06:00 最終更新日:2024.01.27 06:00
人間を長くやっていると、なぜあのときあんなことを言ったんだろう? とか、どんな理由があってあんなことをしたんだろう? と、疑問に思うことのひとつやふたつ、みっつやよっつはあるものです。そういうことって、いくら考えても答えは見つからないんですけどね。
わたしにもあります。そう、あれはムチムチピチピチだった、花も恥じらう女子高校生時代のことでした。
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歌手になりたい! 演歌歌手になるんだ!! と、一途に思っていたはずのわたしが、なぜか大阪にあるタレント養成所に一年ほど通っていたことがあるのです。
なぜ? WHY? う~~~~~~ん。いくら考えてもわかりません。
滑舌練習で「拙者親方と申すは」で始まる「外郎売(ういろううり)」を一生懸命に覚えた以外、記憶も曖昧ななかではっきりと覚えているのは、研ナオコさんが出演されていたテレビCM「チャームナップミニ」の相手役のオーディションを受けるため一人、和歌山から東京に来たことです。
当時、研さんといえば、『カックラキン大放送!!』(日本テレビ系)で演じた “ナオコお婆ちゃん” が大人気で、スター街道を驀進中。野口五郎さんが扮する孫との会話コントはおもしろすぎて、わたしもテレビの前でおなかを抱えて笑っていました。
それだけではありません。バラエティで見せる顔とは真逆のアンニュイな歌声で、『愚図』『あばよ』『かもめはかもめ』など、ヒット曲を連発。昏い、とにかく昏い、どこまでも昏い世界観の歌が、あれだけ似合う方は研さん以外にはいないというほど、唯一無二の大、大スターでした。
オーディションの結果、惜しくも? あと一歩のところで? 当然? 見事落選。残念ながらお会いすることはできませんでしたが、このときから研さんを身近な存在として感じ、一方的に憧れを抱くようになっていました。
その研さんと初めてきちんとお話をさせていただいたのは、2015年にわたしの地元・和歌山で収録されたNHK『新・BS日本のうた』のスペシャルステージです。
研さんが『愚図』『ブルー・ライト・ヨコハマ』『私は泣いています』『どうぞこのまま』『アカシアの雨がやむとき』『ホームレス』を歌唱され、わたしは『男の情話』『飾りじゃないのよ涙は』『氷雨』『心凍らせて』『「いちご白書」をもう一度』『風うた』を歌わせていただき、ザ・スパイダースさんの『バン・バン・バン』、中島みゆきさんの『時代』をデュエット。いま思い出しても夢のようです。
その研さんは現在、 “アッ!とおどろく夢芝居、涙あり笑いあり! 笑いすぎに注意” という梅沢富美男劇団には欠かすことのできないスペシャルな存在として、北は北海道から南は九州まで、日本全国津々浦々をまわっていらっしゃいます。
私たち歌手にとってテレビもラジオも大切ですが、最後はやっぱり舞台です。その夢の舞台に1年に何度も立てるなんて、もううらやましいとしか言いようがありません。
わたしにも、研さんのようなお笑いのセンスがあったら、もっと舞台に立てる機会が増えるのかな……つい、そんなことを考えてしまいます。
えっ!? “ナオコお婆ちゃん” に対抗して、 “冬美お婆ちゃん” を演(や)ってみたら……ですか。
うん、いいかも……じゃあ、じゃないですよ。そんなことを書いて、テレビ局からオファーが来たらどうするんですか!?
えぇぇぇぇ~っ!? そのときは、覚悟を決めてやるしかない? それは……そうかもしれないけど……モゴモゴモゴ……いや、やっぱり、わたしには無理です(苦笑)。
さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋