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二階堂ふみ『Eye Love You』韓流要素を取り入れたのはいいが…当たり障りのない王道ラブコメから脱却できるか

エンタメ・アイドル 投稿日:2024.01.30 11:00FLASH編集部

二階堂ふみ『Eye Love You』韓流要素を取り入れたのはいいが…当たり障りのない王道ラブコメから脱却できるか

 

「韓流スター」×「ファンタジー」という2つの “飛び道具” で話題の二階堂ふみ主演『Eye Love You』(TBS系)。

 

 女性主人公の恋愛ドラマ枠として定着しているTBSの火曜22時で、先週からスタートしたこのドラマ。

 

 ポジティブにとらえると、2つの飛び道具を上手に取り込んできれいにまとめているが、ネガティブにとらえると、なんてことはない普通のラブコメになってしまっている。

 

 

■うまくまとめているが…当たり障りのない王道ラブコメ

 

 二階堂演じる侑里は、チョコレートショップを立ち上げている社長だが、過去の海難事故がきっかけで、目があった相手の心の声が聞こえるテレパス能力を持っている。

 

 相手の本音が読めてしまうゆえに心に傷を負うことが多く、恋愛から長らく遠ざかっていた。そんななか、韓国人俳優のチェ・ジョンヒョプが演じる年下の韓国人留学生・テオと偶然知り合う。

 

 心の声が韓国語なので本音がわからないことが新鮮で、表に出す発言や感情表現が超ストレートでピュアなテオに惹かれていくのだが、彼が自社のインターンとして入社してきて――というのが第1話のストーリーだった。

 

 ちなみに、ヒロインの相手役を韓国人俳優が務めるというのは、民放ゴールデン・プライム帯の連続ドラマで史上初となる試みとのことだ。

 

 心の声が聞こえるが、韓国語だから理解できないという設定は、ファンタジー要素と韓国人俳優の起用に、上手に意味づけできており、お見事。ファンタジー要素は突拍子もないものだと没入感の障害になるが、設定がうまいので気にならない。

 

 そして、テオが無邪気で人懐っこい太陽のようなキャラクターなので、作品のテイストもポップで明るくなっている。

 

 不勉強で恐縮だが、筆者は韓流ドラマをほとんど観たことがないのでわからないものの、SNSを見ると、韓流テイストや韓流様式をけっこう取り入れているらしい。

 

 しかし、韓流ドラマを知らない筆者だからこそフラットな視点で観られたわけだが、率直に言って “当たり障りのない王道ラブコメ” になっていると感じた。「韓流スター」と「ファンタジー」という2つの “飛び道具” を取り入れているにもかかわらず、だ。

 

■日本は韓国のエンタメに負けてしまっているのが現実

 

 もちろん、王道路線が好きなドラマファンが数多くいるのは知っているので、その需要に応えてこういったドラマが作られる意義は十分理解できる。これが吉と出るか凶と出るかは、今後の盛り上がり次第か。

 

 第1話の視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は世帯視聴率5.5%、個人視聴率3.2%といまいちだった。だが、X(旧Twitter)で番組タイトルが世界トレンド1位を獲得し、TVerの見逃し配信が3日程度で100万再生を突破するなど視聴率以外は好調で、ここから化ける可能性もあるだろう。

 

 ただ、このドラマで時代の移り変わり……というか、韓国のエンタメ業界の躍進ぶりと、それに置いていかれた日本のエンタメ業界を改めて実感させられた。

 

 韓国のエンタメ業界では、映画『パラサイト 半地下の家族』(2019年)が、非英語作品として史上初のアカデミー賞・作品賞を受賞。ドラマも『梨泰院クラス』(2020年)や『イカゲーム』(2021年)が世界的にヒットし、『ペントハウス』シリーズ(2020年~)は日本でも中毒者続出で人気を博している。

 

『梨泰院クラス』を日本版としてリメイクした『六本木クラス』(2022年/テレビ朝日系)が、スマッシュヒットしたことも記憶に新しいところだろう。

 

 エンタメ産業が、時代を先取りしている国の背中を追いかけ、他国で大ヒットした作品や先鋭的な作品をマネたり、要素を取り入れたりすることが、悪いとは思わない。

 

 日本は韓国のエンタメに負けてしまっている現実をしっかり受け止めたうえで、ただ韓国をマネしたり要素を拝借したりするだけに終わらず、日本のエンタメの血肉にして成長させていってほしいものだ。

 

 今後の展開で、取り入れた韓流要素を日本式に昇華させることができるか。『Eye Love You』第2話は今夜放送だ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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