11月6日、「SEKAI NO OWARI」のSaori(藤崎彩織)がこんなツイートをした。
《最近は人に会う度に「お腹大きいね」と言われる。今までこんなにも体型のことを言われる経験がなかったので、何だか恥ずかしくて、時々隠れてしまいたい気分になる。「赤ちゃん大きくなりましたねって意味だよ」と旦那さんは言う。分かってはいる。でも、素直に嬉しいと思えない時だってあるのだ。》
Saoriは2017年1月に俳優の池田大と入籍を発表しており、8月には妊娠を発表している。
セカオワで作詞・作曲を手がけるSaoriは、小説『ふたご』を発表するなど、創作力は折り紙付き。その能力を活かし、雑誌『文學界』で「読書間奏文」と題した私小説形式の珍しい書評を連載している。
《貧乏の味を知っている。デビューする前、私の所属するバンド『SEKAI NO OWARI』はとても貧乏だった。》
こんな書き出しで始まる2017年10月号の書評は、『犬の散歩』(森絵都著『風に舞いあがるビニールシート』からの短編)である。
20歳の頃のSaoriは音楽活動に打ち込むあまり、母親からもらった肌荒れの治療費さえもステージ用の木材に使ってしまうほど。お金の使いみちは、すべてライブハウスだった。
3000円あればライブハウスで◯◯できる、5000円あれば◯◯できる……だが、バンドが売れて多くのお金を手にした途端、この価値基準を失ってしまったと綴る。
自分の価値基準が消滅して悩むなか、ふと目に入ったネット広告に釘付けになった。それは、月々4000円でできる里親サービスだった。
《私はすぐに八千円を支払って、ネパールの二人の子供の『里親』になった。すると急に、自分の中にすっと軸が通るような気がしたのだ。八千円あれば、二人の子供たちを学校に行かせることが出来る。八千円あれば、二人の子供たちの「里親」になれる。八千円あれば。八千円は、次第に私の価値の基準となっていった。》
里親になった時期は不明だが、ネパールの2人の子供が大人になるまで見届けたいと考えているそうだ。年明けに生まれるSaoriの子供には、異国の地に「きょうだい」がいることになる。
セカオワが動物殺処分ゼロプロジェクトに参画しているのは有名な話。Saoriたちのこうした優しさが、聞き手に響く楽曲を生み出す理由なのかも。