シリーズ5年ぶりの新作『アウトレイジ 最終章』で極悪非道の男を演じる西田敏行とピエール瀧のふたり。「顔面世界遺産」と称され、渋い役柄で世の男性たちを魅了する彼らが思う「惚れ惚れする男」とはーー。
西田敏行(以下:西)「先日出演した映画(『ナミヤ雑貨店の奇蹟』)も、善人のおじいさん役だったので、最近はぜんぜん暴走できてないんですよ」
ピエール瀧(以下:ピ)「でも、『探偵! ナイトスクープ』でビンビン泣いて暴走してますよね」
西「『これで泣くんかい!』ってツッコミをいただきますが、気づいたら泣いちゃってて」
ピ「僕は電気グルーヴの富山のフェスで、最前列の女のコが抱えていたトイプードルを『ちょっと貸して!』ってステージに上げてずっと暴れてました。抱っこすると足がピーンってなってました(笑)」
西「犬もどれだけ不安だったかね……」
公開中の北野武監督最新作『アウトレイジ 最終章』。もちろん本作も登場人物は「全員悪人」。チョイ悪男に男が惚れる感覚は理解できるか。
西「いまは角も取れて丸くなってるんだけど、若いころは相当遊んでたんだろうなって方が、ちょっとしたときに殺気のようなものを見せると、たまらなく気持ちが持っていかれますね」
ピ「そういう男性に同性だけど惚れちゃう気持ちがわかります。うわっ、凄い……って惹きつけられる瞬間がある」
西「昔でいうと水島道太郎さんという役者さんがいました。顔はセクシーだし、晩年は牧師さんになったんですよ。それまではヤクザ映画とかで渋い役が多くてね。ふとした瞬間がたまらないなーと思ってました」
ピ「西田さんも現場ではチョイ悪というか、いたずらっ子ですよね。毎回違うアドリブをぶっこんできて、まさしく『暴走』だなと(笑)。北野監督もあれだけソリッドな現場の合間に『27時間テレビ』でプールに沈められたりしていて。こういうやんちゃな先輩がいると、後輩としては助かるんですよね。ああ、丸くならなくていいんだって」
西「考えてみたら、今作の俳優さん、みんなコワモテジジイばかりだね(笑)」
ピ「あらためてパンフレットを見直して凄いメンツだなーって」
西「だってコワモテジジイばかりだもの」
ピ「これが内閣だとエラいことになるなって思ってましたけど(笑)」
西「俺、外務大臣はやりたくねえな」
ピ「官房長官じゃないんですか?」
西「怖い顔しながら、何聞いとんじゃ、オラ! みたいな」
ピ「ニコニコしながらやってきて怒るみたいな!」
一方、女性の前ではカッコつけるより甘えているというおふたり。
西「米倉涼子ちゃんに『としちゃん』と呼ばれるのが好きで(笑)、ドラマの合間にゲームをしながら『俺、これわかんねーよ』って意図的に甘えたりしますね」
ピ「女性は誰しも母性本能を持っているから、僕も『腹へった』よりかわいく聞こえる『お腹すいた』を使ってます」
西「でも、エッチな気持ちになっても、信頼を得たいがために抑えなきゃいけない。喉のここまで出そうになりますけど、なぜか出せなくて。年齢的なものもあるのかな。いざ、そのときになっても役には立たないぞみたいな(笑)」
FLASH読者には『アウトレイジ 最終章』をどう観てもらいたいのか。
西「今は世の中が全体的に煮詰まってるでしょう。もう少しリラックスしましょうよって言いたい。この映画でそういうストレスを発散してください」
ピ「皆さん責任ある立場で部下もたくさんいるなかで、いろいろ考えちゃうと思うんです。でも、この映画は、もっと上の世代の人たちが凄い顔面並べて面白いことをしている。まだまだですよ。くすぶらずにもっとみんなでかわい子ぶっていきましょう!」
西「かわいさを出すのは大事だね」
ピ「50歳を過ぎたら、どんどん赤ちゃんに近づいていくっていいますからね。西田さんはそろそろ……」
西「おしゃぶり欲しくなっちゃうかもね(笑)」
にしだとしゆき
69歳 1947年11月4日生まれ 福島県出身 1970年劇団青年座に入団。1989年、1994年の日本アカデミー賞最優秀主演男優賞をはじめ数々の映画賞を受賞。ドラマ、映画、舞台など幅広く活躍中。そのほか最新情報はTwitter( @Nishida_1104)にて
ぴえーるたき
50歳 1967年4月8日生まれ 静岡県出身 1989年石野卓球らと「電気グルーヴ」を結成。ミュージシャンとして活躍する一方、俳優としても数多くの作品に出演し、2013年の映画『凶悪』では日本アカデミー賞優秀助演男優賞をはじめ数々の映画賞を受賞。そのほか最新情報は 公式HP(http://www.pierretaki.com/)にて
(週刊FLASH 2017年10月17・24日合併号)