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MOON CHILD、『ESCAPE』大ヒットからわずか2年で解散…ボーカル・ササキオサム、いまはアニメ曲中心に音楽業界でサバイブ

エンタメ・アイドル 投稿日:2024.04.25 06:00FLASH編集部

MOON CHILD、『ESCAPE』大ヒットからわずか2年で解散…ボーカル・ササキオサム、いまはアニメ曲中心に音楽業界でサバイブ

「今年はイベントを含め、10本はライブをやります」(ササキオサム)

 

 CDの売り上げ枚数が過去最高を記録し、コンビニや飲食店では有線放送がBGMだった1990年代。僕たちを救ってくれた「名ボーカリスト」のヒット曲誕生秘話!

 

 1997年、ミステリアスなサウンドで、ドラマ『FiVE』(日本テレビ系)の主題歌だった『ESCAPE』が大ヒット。オリコン1位を獲得し、一躍人気バンドとなったMOON CHILD。ほとんどの楽曲の作詞・作曲を担当したのが、ボーカルのササキオサムだ。

 

「ヒットを飛ばしてから、事務所と交渉してギャラは増えました(笑)。でも、なぜか売れる前のほうがね、楽しかった」

 

 

 ササキが音楽に目覚めたのは、小学4年生のころだ。

 

「テレビで、RCサクセションのライブを観たんです。“これになりたい!” って、(忌野)清志郎さんのまねをするところから始まりました。その後は、佐野元春さんに影響を受けて、5年生のころにはバンドスコアを買って、コピーを始めました。そのころはピアノで作曲してたんですよ」

 

 そして、MOON CHILDのバンド名の由来のひとつでもあるムーンライダーズに出会って、宅録を始めた。

 

「ダブルデッキでテープを再生しながら、外部入力で歌や楽器を入れて多重録音していました。旺文社が主催する『全国中学生テープ大賞』に応募して、作詞作曲部門賞をもらいました。商品は、百科事典とソニーのダブルラジカセのミニコンポでした」

 

 中学を卒業し、ギターを始めた。とにかく曲が作りたかったという。

 

「自分のなかでは、“スゴい、なんでこんなに曲が浮かんでくるんだろう” と思ってましたけど、いま思えば当時の音楽をけっこうパクってた(笑)。

 

 高校時代はG/Zacrt(ガルザカート)というバンドで、『イカ天』にも出たんです。審査員賞をもらいましたけど、作詞家の湯川れい子さんや、音楽評論家の萩原健太さんにはダメ出しされて、自信を失ったりもしました。

 

 当時はカセットテープでアルバムを作る趣味があって、大学進学のために20歳で上京するまでに、150曲くらい書いていました」

 

 上京してからは、雑誌でメンバーを募集して、音楽仲間の輪が広がっていく。

 

「『Player』のメンバー募集でバンドを組んで、1年くらい休止したりとか、いろいろ迷走していました。それでも、なんとか曲を作ってライブして、デモテープを作りました。

 

 ドラマーとその彼女がマネージャー的に売り込むぞっていうから、とにかくアー写も撮って、テープを80本バラまきました。3社から返事が来たんですが、面接を受けたら『長い目で育成します』とか言われて……。

 

 なかなか簡単にはいかないなと思っていたところに、最初の事務所の社長から連絡があったんです」

 

 すぐにデビューが決まり、スタジオに入ってレコーディングとなった。

 

「初めて人前でバンド演奏したのが、1995年の4月で、社長に声をかけてもらったのが10月ですから、そこだけは早かったですね」

 

 だが、終わりがくるのも早かった。1996年にメジャーデビューしたMOON CHILDは、『ESCAPE』のヒットからわずか2年後、1999年に解散する。

 

「やっぱり、ストレスが溜まりすぎちゃった。『ESCAPE』を超えるものを作らないといけないプレッシャーもあるし、まわりにいる大人がどんどん増えて、このバンドでやりたいことがわからなくなってくるんです。

 

 いまも続いているバンドの人たちは、そこを乗り越えているんですよね。バンドは終わっても自分はやっていける、ちょっと形を変えて、再デビューすればいいやと思ってましたけど……そんなに甘くなかった(笑)」

 

 ササキは2人組ユニット・SCRIPT(スクリプト)で再デビューすることになる。『劇場版 テニスの王子様 二人のサムライ The First Game』の主題歌『青春グローリー』がスマッシュヒットしたが……。

 

「再デビューのときは、外資系のレーベルだったんで、いろいろ厳しかったですね。ヒットしないと予算も削られますし、(前の所属レーベルである)エイベックスは予算あったんだな、やめなきゃよかったってちょっと思いました(笑)。

 

 その後は、元The Kaleidoscope の石田匠さんと『Ricken's』ってユニットをやったので、僕は3回メジャーデビューしてるんです」

 

 2009年、最後に所属していた事務所をやめた。

 

「そこからは、ひとりでずっとやってます。自主制作してライブをやって。ひとりになっても、意外とできるなと思いました(笑)。アコースティックツアーで全国回ったりしてたんですけど、ちょっと疲れたから休もうかなって時期にコロナ禍が来て、ライブができなくなったんです」

 

 ちょうどそのころ、ササキに新しい活躍の場が広がっていく。

 

「10年くらい前、パチンコの音楽を担当したことがあったんです。その仕事をくれた方がアニメを始めて、劇伴を頼んでくれたんですよ。

 

 その深夜アニメの『ジャヒー様はくじけない!』(テレビ朝日系)から担当作品が続いて、かなり忙しくてライブの曲が作れない(笑)。

 

 今クールは『夜桜さんちの大作戦』(TBS系)という作品をやっています。2023年からは『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)で音を外さないカラオケチャレンジ企画に、去年だけで3回出てますね。あれは、オフィシャルのホームページに直接依頼が来ました」

 

 作曲が大好きだった少年は、40年の経験を経て曲作りを生業とし、飄々と音楽業界をサバイブしている。「運がいいんですよ」とササキは笑う。

 

「2024年は頑張る予定なんです。2023年は4本ライブをやったんですけど、今年はイベントを含め、10本はやります。うわ~、大変だなあ(笑)。

 

 秋からは劇伴も入りそうなので、それまでは自分の曲を頑張って作らないと……と言いながら、お酒ばっか飲んでるんですけど(笑)。2年後に控えるデビュー30周年までに、新しい作品を作って、ファンに喜んでもらいたいですね」

 

1971年生まれ 岩手県出身 MOON CHILDのほとんどすべての楽曲の作詞作曲を手がける。2024年5月6日にはsomeno kyoto(京都)でソロライブを、5月18日には下北沢CLUB251(東京)でバンドライブをおこなう

( 週刊FLASH 2024年5月7日・14日合併号 )

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