『仮面ライダーゼロワン』のヒロイン・イズ/アズ役で注目された鶴嶋乃愛は、現在22歳。女優、モデル、ブランドプロデューサーに加え、2024年2月には自身初となるフォトエッセイ『微睡む花の様に』を上梓するなど、驚くほどのスピードで、活躍するフィールドを広げている。
「役をいただいたとき、このコはこれまでどんなふうに生きてきたんだろうと想像すると、違う視点が生まれます。すると次に、このコはどんなファッションが好きで、どんな本を読むんだろうと視野が広がっていって、それがほかのお仕事のインスピレーションにもなる。私のなかでは全部がつながっているんです」
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こだわっているのは、唯一無二。仕事でもプライベートでも、自分にまっすぐ。いつでもどこでも、鶴嶋乃愛らしさを追い求めている。
「文章には文章の、モデルにはモデルの、役者には役者のおもしろさと難しさがあって、そのなかでいろんなお仕事をさせていただきながら、自分にしかできない、自分だからできることを日々探している感じです」
長所は「考え続けることが私の人生」と胸を張るように、とにかく考えること。短所は、考えすぎること。そんな彼女が、考えるより先に「やります。やってみたいです!」と手を挙げて飛び込んだのが、ファッションブランドのプロデュースという仕事だった。
「本当に私で大丈夫!? という不安もありましたが、幼いころからファッションが大好きで、“ファッション愛なら誰にも負けない”という強い思いがあったので、素直にストレートに、よろしくお願いします! とお返事していました」
ブランドの名前はどうするか? ロゴは? デザインは? 生地選びは? 納得できないものは出したくないという思いから、準備期間に1年をかけた。
「ブランド名は『ロマンシュアル』。“ロマン”と“センシュアル”(気品を感じる美しさ)をかけ合わせた造語です。自分の名前をかけた案も浮かびましたが、それはいったん脇に置いて(笑)。覚えやすさと、フォルムがかわいく見えるのがいいなと思い、これに決めました」
ブランド名が決まったら、次はロゴ。ロゴTシャツなどは、ブランドの顔となるものだけに、「悩みに悩みました」と苦笑を浮かべた。
「シンプルだけど覚えやすいもの。そこはすぐに決まりましたが、そこからが大変で。リボンやハートが好きだけど、それをしちゃうと男性には着てもらえなくなってしまうし……とにかく悩みました」
デザインにこだわり、生地にこだわり、あがってきたサンプルで気になるところはフィードバックして、調整してもらいながら「これが、ロマンシュアルの、鶴嶋乃愛のファーストコレクションです!」とお披露目したのは、Tシャツ、パーカ、ブラウスなど全18アイテム。
「コンセプトは、いつもの日常を少しだけ抜け出して非日常を味わえるもの。男性にも着ていただけるようにオーバーサイズで、シルエットがきれいで、エッジの効いたアイテムも数多くあります」
今回、鶴嶋が見せてくれたヒソモノは、この18アイテムをはじめ、1着完成するたびに1枚ずつ大切に取り置きしたブランドタグ。そのすべてに、深い愛情と思い出が詰まっている。
「街で着てくださっている方を見ると、もう最高にうれしくて、思わず駆け寄って話しかけたくなっちゃいます。へんな人だと思われちゃうので、実際はしませんが(笑)、心のなかで“ありがとうございます!”と、頭を下げています」
こんな鶴嶋が、5月6日に始まった連続ドラマ『オトナの授業』(TOKYO MX)で演じているのは、定時制高校に通う夢見がちな不思議ちゃんキャラの三原琴音。主演を務めるのは、これがドラマ初主演となるテレビ東京の元アナウンサーの森香澄だ。
「森さん演じる(加藤)杏子先生と真正面から対峙する回があるんですけど、その日はもう朝から“戦うぞ”というメンタルで家を出て(笑)。監督さん、森さんとも『観てくださる方の心に響くようなシーンにしたいですね』と話し合いながら演じたので、ちょっとした表情の変化なども見ていただけるとうれしいです」
初主演を務めた連続ドラマ『あなたは私におとされたい』(MBS)では、“ゼッタイに不倫させる女”立花ノアを見事に演じきった鶴嶋が、森を相手にどんな演技を見せるのか!? ゼッタイに見逃せない!
つるしまのあ
2001年5月24日生まれ 高知県出身 2013年「第21回ピチモオーディション」でグランプリを受賞し、モデルデビュー。2019年に『仮面ライダーゼロワン』のヒロイン、イズ/アズでドラマデビュー。2021年からファッションブランド『Romansual』のプロデューサーを務め、2024年2月にはフォトエッセイ『微睡む花の様に』を上梓するなど、幅広い分野で活躍
写真・柏木ゆり
取材&文・工藤 晋