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『ビリオン×スクール』もはや山田涼介の無駄遣い!テンプレ設定とセオリーどおりの展開に辟易 

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.08.09 11:00 最終更新日:2024.08.09 11:00

『ビリオン×スクール』もはや山田涼介の無駄遣い!テンプレ設定とセオリーどおりの展開に辟易 

「ビリオン×スクール」制作発表に参加した山田涼介ら

 

 Hey! Say! JUMP山田涼介の無駄遣いか? はたまたこれが学園ドラマの限界なのか?

 

 8月2日(金)に第5話が放送された山田主演の学園ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)。中盤回まで来ているが、大コケの様相を呈している。

 

 視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は次のとおりなかなかの低空飛行。

 

 

第1話 世帯4.3%/個人2.5%

第2話 世帯4.0%/個人2.1%

第3話 世帯2.7%/個人1.4%

第4話 世帯3.6%/個人1.9%

第5話 世帯3.2%/個人1.6%

 

 TVerのお気に入り数も75.4万(8月7日現在)で、見逃し配信の人気の指標となる100万の大台突破はほど遠い状態である。

 

 先輩グループ嵐・二宮和也主演の日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)や、後輩グループSnow Man・目黒蓮主演の月9『海のはじまり』(フジテレビ系)が、視聴率や見逃し配信でヒットしており、ネットでも盛り上がっているなか、置いてけぼり状態である。

 

■『GTO』の各エピソードに似た話ばかり

 

 日本一の財閥系企業のCEOで、“億万長者=ビリオネア” の主人公・加賀美零(山田)が、自らが手がける「AI教師」の研究・開発のため、身分を隠して私立高校の教師として潜入するというストーリー。

 

 加賀美が担任することになったのは、「やる気ゼロ、才能ゼロ、将来性ゼロ」の問題児や訳あり生徒が集められた3年0組。底辺クラスで教師をすることになった加賀美だが、彼は彼で富豪すぎて庶民感覚をわかっておらず、そのうえすぐに他者を見下した態度を取ってしまう、傲慢かつ不遜なキャラクターとなっている。

 

 そんな加賀美が、生徒たちの抱える問題を常識外れな突拍子もない方法で解決しながら、自身も成長していく学園ドラマだ。

 

 主人公の教師が実はスーパーセレブの金持ちで、「AI教師」を完成させるために潜入しているというアウトラインは目新しい。にもかかわらず、どうして大コケしてしまっているのだろうか?

 

 原因は明白。外側の “包装” を変えただけで、中身はどこかの学園ドラマの焼き直しだからだ。要するに、“型破りな教師が破天荒な方法で生徒の問題を解決していく” という、ありがちなテンプレ作品なのである。

 

 1話ごとに悩みを抱える生徒と向き合っていき、その問題を解決すると心を開いて懐いてきて、少しずつ協力的な生徒が増えていくというのもセオリーどおり。

 

 たとえば、第1話は複雑な家庭の事情を抱えた男子生徒を助け、第4話では天才ゆえに不登校になった男子生徒を説得し、第5話ではスクールカースト上位の女子生徒にパパ活をやめさせ……といった具合。

 

 ズバリ言うと、『GTO』(1998年/フジテレビ系)の各エピソードによく似ており、長年のドラマファンには見飽きた作品になってしまっている。

 

■学園ドラマというジャンルの構造的問題?

 

 この『ビリオン×スクール』の各エピソードの展開は、「王道」と言えば聞こえはいいが、「マンネリ」とも言えてしまう。

 

 主人公のキャラや基本設定を工夫しているのはわかるが、手を替え品を替えやるにも限界があるというか、学園ドラマのテンプレから抜け出せていない。正直、この手の学園ドラマはもうお腹いっぱいなのだ。

 

 ただ、この学園ドラマのテンプレに飽き飽きしているのは、数々の名作を長年観続けて来た筆者のような中年以上のドラマファンに違いない。

 

 そもそも、こういった学園ドラマは、劇中の生徒と同世代のティーンエイジャーをメインターゲットにしているはず。だとしたら、いくら名作と言えど昔のドラマなんて観ていない人のほうが多く、過去作のフォーマットを踏襲したって問題ない。

 

 ……はずだったのだろう。

 

 だが、残念ながら現在のドラマ業界は、熱心にドラマを観てくれる若者が少数派になっているという、根本的な大問題を抱えている。

 

 ターゲットにしているティーンエイジャーなら過去作との類似点なんて気づかず、新鮮な気持ちで『ビリオン×スクール』を楽しんでいるかもしれないが、観てくれる若者の数自体が多くない。

 

 結局、観てくれるのは、ドラマ視聴が習慣づいている中年以上になるが、その層は往年の名作も通ってきているので食傷気味になる。これこそ、『ビリオン×スクール』の数字が伸びず評判もよくない原因で、学園ドラマというジャンルが抱えている構造的問題ではないか。

 

 とは言え、まったくやりようがないわけでもない。

 

 比較的近年の作品だと、2019年の『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)は、かなり異色な問題作としてヒット。そして、同じプロデューサーと監督が手がけた昨年の『最高の教師 1年後、私は生徒に□された』(日本テレビ系)も、攻めた学園ドラマとして大きな話題になった。

 

 この2作品は若者の視聴者も多かったように思う。

 

 要するに、いまでも斬新な設定や吸引力のあるストーリーがあれば、若者も食いつく学園ドラマが作れるはずなのだ。

 

 今のところ『ビリオン×スクール』は、その斬新性や吸引力が弱い。現状は、Hey! Say! JUMPのエースである山田涼介の無駄遣いにも思える。今夜放送の第6話からの巻き返しに期待したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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