野口五郎さん、郷ひろみさんとともに “新御三家” と呼ばれた昭和の大スター、西城秀樹さんがお亡くなりになったのは、2018年5月16日です。
その西城さんの七回忌にあたる今年、20歳になったご長男・木本慎之介さんが、デビューに向けて最初の一歩を踏み出しました。お父さんを彷彿とさせる? お父さんを超えた? 超イケメンで、声はお父さんそっくりです。
秀樹さんが彗星のごとく現われたのは1972年。当時、わたしは5歳ですから、秀樹推しで知られる『ちびまる子ちゃん』のお姉ちゃんのように、テレビの前で「ヒデキ~~!」と叫ぶようなことはなく、アイドルに夢中になるお姉ちゃんたちを、不思議に思っていたのを覚えています。
【関連記事:なぜ不倫した女が…『報ステ』徳永有美アナに苦情殺到中】
その数年後、田原俊彦さんが出てくると、「トシちゃ~~~~~~~ん!」と声がかれるまで叫んでいたのですから、何をか言わんやではありますが(苦笑)。
わたしにとっての秀樹さんは、「ハウスバ~モントカレーだよ~」の秀樹さんであり、「ヒデキ、感激~!」の秀樹さん。小学5、6年生のころ、クラスみんなで歌った『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』の秀樹さんで、初めてお会いしたときも「きゃぁぁぁ」というより、「おぉぉぉー、秀樹さんだぁ」という感じでした(笑)。
その秀樹さんとは二度共演させていただいていますが、鮮明に記憶に残っているのは初めてのとき。 “激しく熱く! 恋の歌メドレー” というサブタイトルのついた『ふたりのビッグショー』(NHK、1996年5月27日放送)です。
『情熱の嵐』でスタートしたステージは、秀樹さんが『ちぎれた愛』『傷だらけのローラ』『激しい恋』『ギャランドゥ』をお歌いになり、わたしは『夜桜お七』『恋は火の舞 剣の舞』『火の国の女』『恋』『思秋期』『あなたしか見えない』『螢の提灯』を歌わせていただき、最後は秀樹さんと『世界中の誰よりきっと』をデュエット。
45分という限られた時間のなかでのステージでしたが、夢のようなひとときでした。
ーー緊張した?
当たり前じゃないですか。本番前は、顔が引き攣るくらいのド緊張……のはず……その記憶は残っているのですが、あらためて録画を観たら、トークのときに冗談を言ったりして、じつに堂々としているじゃありませんか。まぁ、なんていうことでしょう。もう、びっくり。我ながら、若さってすごいなと感心してしまいました(笑)。
秀樹さんもそうですが、『ふたりのビッグショー』でご一緒させていただいた先輩たちは、「坂本冬美? おもしろそうじゃないか」と受け止めてくださり、わたしもその先輩たちの懐ろに、何も考えることなくスーッと入っていけていたような気がします。
“いくらなんでもちょっとやりすぎだよね” というわたしの言動にも “おぅ、おぅ、頑張れ、頑張れ” と温かい心で包み込んでくださった先輩方には感謝しかありません。
当時は、秀樹さんのカッコよさとハスキーボイスに目と耳を奪われ、気づかなかった方が多いと思いますが、めちゃめちゃ歌がお上手なんです。
どんなに激しく動いても音程はぶれないし、声量も落ちない。どんなジャンルの歌でも歌いこなすボーカリスト。スターの中のスター、超ビッグスターでした。
言っても仕方のないことですが、もしも、もしも、今もお元気でいらしたら、どんな歌をお歌いになっていたのでしょうか。かなわぬ夢とは思いながら、久しぶりに『ふたりのビッグショー』の映像を観ながら、ふとそんなことを考えてしまいました。
さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、最新シングル『ほろ酔い満月』が好評発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋