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水道橋博士「ひとりで聴き続けた大滝詠一『ロング・バケイション』」2000本の “コレクター魂” を照れ語り【わが青春のカセットテープ】
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.09.28 06:00 最終更新日:2024.09.28 18:34
レディー・ガガ、テイラー・スウィフト、山下達郎、奥田民生、スピッツなど、国内外の名だたるアーティストたちが、新作をカセットテープでリリースしている。
昭和世代には懐かしく、Z世代には新しい音楽ソフトとして、再評価されているのだ。本誌が取材した著名人も、カセットへの思いがあふれていた――。
「音楽の話は基本、恥ずかしいんですね。こういう取材も。でも、僕は芸人になる前は、オーディオマニアだったんです。風呂なしのアパート住まいでしたけど、バイトをしながら中古のハイエンド機を買い集めてコンポを組んでました」
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浅草キッドの水道橋博士は、昭和37年(1962年)生まれのフォーク直撃世代。幼少時代から兄の影響もあり、洋楽はオーソドックスにビートルズやストーンズ、イーグルス、そしてヒットチャートをチェック。
邦楽だと、かぐや姫、さだまさし、井上陽水、泉谷しげる、吉田拓郎、甲斐バンド、ルースターズなどを聴いていた博士が、高校3年のときに受験の準備もしないで、ひとりで毎日プールに通いながら、朝から晩までウォークマンで聴いていたのが、サザンオールスターズ、山下達郎、そして、大滝詠一の『ロング・バケイション』(1981年3月21日発売・オリコン2位)だった。
「当時、流行りましたよね。大滝さんの多重録音のすごさ、きらびやかな音に驚きました。フィル・スペクターの影響下にあるナイアガラサウンドが好きでした。
大滝さんの場合は、歌詞や曲というより、アレンジでしたね。この『ロンバケ』はメタルテープでも発売されていて、いま中古市場でめちゃくちゃ高いんだけど、欲しいんだよね。
のちに芸人になってから、高田文夫先生に連れられて福生の大滝さんのお家を訪ねたとき、オーディオを型番で話せたのもよき想い出です。
いちばん驚いたのは、大滝さんが、ボクらがやっている大阪の深夜ラジオまでエアチェックして保存していたことですね」
そして話題は、映画『カセットテープ・ダイアリーズ』(2019年)に。
「知ってます? ブルース・スプリングスティーンのカセットに魅せられるパキスタン系の少年の話で、『この主人公、まるで俺じゃん!』って思って、号泣しましたね。
僕も思春期にスプリングスティーンが大好きだったんで、この映画の影響で、最近『明日なき暴走』など、カセットを3本買い直した。全作品、揃えたいなぁ。カセットで聞くと、音質を含めてあのころが蘇るような気持ちになります」
ちなみに博士は、師匠の『ビートたけしのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)を第1回から最終回までの10年ぶん、カセットテープ500本を全国のマニアと連携してコンプリートしているという。
ほかにもラジオのエアチェックや、自分で作ったビルボードのトップテンをチェックした洋楽オムニバスやガールズソング集など、カセットテープのコレクションは、2000本を優に超えるそうだ。
「昔の話だけど、殿(ビートたけし)が海外旅行へ行くとき、いつもロッド・スチュアートの1曲をウォークマンでエンドレスで聴いてたんですよ。
それで『殿、俺が編集しますから』と言って、殿がリクエストした曲だけをニッポン放送のレコード室を借りてダビングし、まとめたカセットテープ『殿セレクション』を今も持っています。あの時代に殿がどんな曲が好きなのか? 興味あるでしょう?」
北島三郎、松山千春、美空ひばり、サザン、スプリングスティーン、テレサ・テンほか、名曲ばかりが20曲並んでいた。
「コレクター魂? 根っこにめちゃくちゃあります。あくまで傾向としてですけど、コレクションするのは『男の夢であり、女の敵』なんですよ。一人暮らしから家庭をもって家族が増えると、普通こういうのは処分せざるをえないですよ……。
雑誌も捨てられなくて、『月刊プレイボーイ』を創刊号から100号まで完全に持っていたし、『ポパイ』や『BRUTUS』も創刊号から10年ぶんほど持っていましたね。
工作舎の影響を受けていて、亡くなられた松岡正剛さんが編集長の雑誌『遊』も全巻持っていました。何度も散逸していますが、今も買い直しますね。まぁ収集癖と記録マニアですね。最初に憧れた職業がルポライターだったので、記憶より記録を重視するってのがあります」
カセットを聴くガジェットは今でも持っている?
「最近、レコードプレイヤーとラジオ、カセット、デジタル再生が出来るTEAC製の複合機を買いました。当時、憧れていたカセットが物理的に回転するので有名だった『Nakamichi DRAGON』の美品が今でも欲しくて探しています。憧れてましたねー。
この2年ほどは中古レコードを買い直して、お酒を片手に、レコードジャケットを眺めながらMP3で聞くという変な趣味もありましたね(笑)。
いわゆるオタクじゃないし、マニアは上には上がいるんで、芸人になってからは音楽の話は『しない』と決めていました。こうして老人になって、昔好きだった曲を同世代の人たちと話せるようになってよかったです」
すいどうばしはかせ
1962年8月18日生まれ 岡山県出身 1987年、玉袋筋太郎とお笑いコンビ「浅草キッド」を結成。YouTubeチャンネル「水道橋博士の虎人舎」にて、「水道橋博士のオールナイトイッポン」を配信中