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『オクラ~迷宮入り事件捜査~』反町隆史のテンプレ感に不満の人こそ、絶対にもう一度観てほしい【ネタバレあり】

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.10.15 11:00 最終更新日:2024.10.15 11:00

『オクラ~迷宮入り事件捜査~』反町隆史のテンプレ感に不満の人こそ、絶対にもう一度観てほしい【ネタバレあり】

 

 

 主要キャラたちにテンプレ感があるし、事件解決までの流れが雑だし、いまいちだなぁという感想だった。反町隆史が演じる主人公が『GTO』っぽくてハマっているというのが唯一の長所か……と思っていたが、ラストでどんでん返しが待っていた。

 

 10月8日(火)にスタートした、反町隆史と杉野遥亮がバディを組む刑事ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)。

 

 お蔵入りになってしまった未解決事件を扱う「特命捜査情報管理室」は、警視庁内で無能や荒くれ者と判断された警官たちが集められた “刑事の墓場”。

 

 

 そんな掃きだめのようなところで、人情に厚く「捜査は足で稼ぐ」が信条の昭和刑事・飛鷹千寿(反町)と、新たに配属されたクールな令和刑事・不破利己(杉野)が、風化寸前の未解決事件に挑んでいく。

 

■『GTO』『ビーチボーイズ』に通ずる破天荒キャラ

 

 正反対の2人によるバディものの刑事ドラマは山ほどあるし、歳の差コンビもそこまで目新しくはない。さらに主人公や周囲の主要人物たちのキャラ造形もテンプレっぽくて既視感があった。

 

 また、第1話で挑んだのは12年前の女子小学生殺害事件だったのだが、容疑者が自ら警視庁にメールを送ってきたり今になってわざわざ遺体発見現場に証拠品を置いていったりと、解決までの道筋がとてもご都合主義で雑な印象も受けた。

 

 率直に言って、ありきたりなドラマで、反町演じる主人公のハマり具合しか見どころがないなと思った。

 

 今作で反町が演じている飛鷹は、ざっくりカテゴライズすると『GTO』(1998年/フジテレビ系)の鬼塚英吉や、『ビーチボーイズ』(1997年/フジテレビ系)の桜井広海を彷彿させる “陽” の破天荒キャラ。

 

 たとえば逮捕令状もないのに容疑者のアパートを訪れ、部屋のドアを殴る蹴るで破壊して侵入するという “GTO味” のあるシーンもあった。うがった見方をするならマンネリ気味だが、ポジティブにとらえるなら反町の十八番演技を堪能できるので、往年の反町ファンならば一見の価値ありだ。

 

 余談だが、今年1月期に放送された主演作『グレイトギフト』(テレビ朝日系)で反町が演じたのは、コミュ力が低いうだつが上がらない医師。「反町隆史の新境地」と言えたが、筆者の個人的な感想としては、反町の “仁(にん)” に合っていないと感じたので、今作のようなキャラのほうが一視聴者としてシンプルに楽しめた。

 

■【ネタバレあり】第1話ラストのどんでん返し

 

 演技の幅は広くないのかもしれないが、しかし反町隆史という役者にはそれを補って余りある圧倒的な “華” があるので、そういう王道な主人公を演じてくれればいい……と思っていたのだが、第1話ラストにどんでん返しが待っていた。

 

 ネタバレになるが、反町演じる飛鷹が容疑者の名を騙って警視庁にメールを送り、遺体発見現場に証拠品を置いていたことが発覚。要するに自作自演で、杉野演じる不破たちが捜査に乗り出すように仕向けていたのだ。

 

 事件解決までの道筋に違和感はあったが、近年の質の低い刑事ドラマはこれぐらい雑なストーリーになることも珍しくないので、ラストの種明かしがあるまで、飛鷹が裏で仕組んでいたとは予想できなかった。

 

“陽” の破天荒キャラがまったくのウソ偽りというわけではないだろうが、飛鷹にはその表向きの顔とは別に裏の顔もあるということなのだろう。

 

 なかでも演出として見事だったのは、飛鷹が不破を「期待のルーキー」と評するシーン。

 

 飛鷹がメールを信じる根拠を尋ね、不破がその理由を論理的に答えるも、飛鷹は「ふっはは。期待のルーキー、現る」とだけ返す。初見だとこのシーンは、皮肉を言って不破を嘲笑しているように見える。実際、不破はバカにされたと思ったのだろう、釈然としない表情で飛鷹を睨んでいた。

 

 しかし、第1話のラストを知ってから改めて観直すと、「期待のルーキー」というのはそのままストレートな誉め言葉で、不破を頼もしく感じて微笑んでいることがわかり、印象が真逆に変わるのだ。

 

 第1話を観て本作にがっかりした人ほど、このシーンだけでも、ぜひもう一度、観直してほしい。

 

 ちなみに、遺体発見現場にあった証拠品が入っていた袋に飛鷹の指紋が付着していたことで、不破は飛鷹の自作自演だと看破してみせたのだが、これは飛鷹のうっかりミスではなく、新人の実力を試すためのヒントとして指紋を残したのではないか。

 

『オクラ』の脚本を担当しているのは、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(2019年/日本テレビ系)などのヒット作を手がけた武藤将吾氏。武藤氏は多層構造のストーリーや驚きの結末を得意とする脚本家なので、第1話からさっそくその本領が発揮された形である。

 

 ――今夜放送の第2話も、反町演じる飛鷹の言動に注目しつつ楽しみたい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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