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内藤剛志が渡瀬恒彦から受けた薫陶「主役の務めとは…」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2017.12.30 16:00 最終更新日:2017.12.30 16:00
俳優の内藤剛志が、12月22日放送の『A-Studio』(TBS系)に出演した。
番組で、司会の笑福亭鶴瓶が、「いま刑事役ばっかりやん。全然知らん人は、あの人刑事かいなと思われるときない?」と内藤に対して質問。
内藤は「本当に(役の)80~90%くらいが刑事です。なんとなく永田町の近辺を歩くと、みんなに黙礼されます」と明かしていた。
そんな内藤は現在TBSで、かつて渡瀬恒彦が演じていた2時間ドラマ・十津川警部シリーズを引き継いでいる。渡瀬は2017年3月、多器臓不全のため亡くなっている。
以前、犯人役としてこのシリーズに出演したことがあったという内藤が、渡瀬とのエピソードを語る。当時、俳優としての悩みを抱えており、大先輩である渡瀬に、飲み会の席である相談をしたのだという。
「そのころ主役もいくつか出るようになっていたんですけど、なかなか続かないんです。それで『30秒だけ僕に時間をください』と。(それで)『おうわかった。カツオのたたきが来るまで話聞いたるわ』と」
酒の席で仕事の話をするのが苦手と思われる渡瀬に、なんとか時間がもらえ、思いの丈をぶつけた質問をしたという。
「『30秒で行きます! 僕、主役いっぱいあるんですけど、すぐ終わってしまうんです。どうしたらいいですか?』と。聞いたら渡瀬さんが『それお前、台本読むとき自分のところから読んでない? まず周りの出ていただける俳優の人が<ここ俺のええとこあるわ、ええセリフあるわ>と感じてるところを見てるか?』と」
僕はあっと思ったんです。僕は主役をやるということは、僕が頑張らなあかんと思うから、自分中心に考えていたんですよ。(渡瀬の言葉を聞いて)あ、そうなんだと思ったんです。(渡瀬が)『脇役の人が朝起きたときに、内藤の現場楽しいと思ってるか? それを思ってくれていたときにいい現場になるぞ~』と」
渡瀬がこう答えた瞬間、カツオのたたきが到着。「はい! 以上」と仕事の話は打ち切られたという。
2017年9月5日付けの毎日新聞のインタビューで、内藤は十津川警部役を引き継ぐにあたり、こう語っている。
「これまで多くの人に愛されてきた役を自分が演じるのは、とても光栄であると同時に、大きな山。(中略)
ずいぶん前になりますが、いくつもの主演シリーズを持つ渡瀬さんに、その心構えを伺ったことがあります。すると『スタッフを含めた全員がやりがいを持って臨んでいるか』だと。それは必ず映像に出るから、いい現場を作るのは主役の大切な務めというわけです。
だから僕はこの現場でみんなが生き生きと頑張っている姿を見るのが何よりもうれしいです。自分もこの大きな山を越えていかねばという思いです」
ちなみに、内藤が渡瀬本人にこのときの話をしても、「え? 忘れた」と返すだけだったという。そんな渡瀬のアドバイスが、いまの内藤の活躍を支えているのは間違いない。