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【独占インタビュー】『THE W』新王者・にぼしいわしが明かす“二度の挫折”…1度は「NSC同期のゆりやんのブレイク」に心が折れ芸人引退も
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.12.15 13:32 最終更新日:2024.12.15 13:32
12月10日に放送された『女芸人No.1決定戦 THE W 2024』(日本テレビ系)。エントリー数過去最多903組の頂点に輝いたのは、「にぼしいわし」のふたりだ。
ボケの香空(きょうから)にぼしと、ツッコミの伽説(ときどき)いわしは、高校1年生からの同級生。高校3年時に「ハイスクールマンザイ2010」に出場し、近畿大会準決勝に進出するなど早くから才能を現した。
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にぼし「M-1への憧れはずっとありました。漫才を続けたくて大学在学中にNSCに行くことにしたんです。でも、NSCを卒業して、吉本所属だったのは半年くらいなんですよ」
いわし「芸人を辞めたのは大学3年生、相方は浪人しているので2年生の時。そこから大学を卒業して就職したんです」
コンビが壁にぶち当たったのは、NSC35期の同期がブレイクしたときのことだった。
いわし「ゆりやんレトリィバァが同期にいて。NSC在学中に『ロケみつ』(毎日放送)って番組に選ばれたりして、もちろん首席で。彼女とは、一番仲良かったんですよ。彼女のブレイクを目の当たりにして……。
それに、NSCを卒業したとき、同じ劇場に3~4年目の面白い先輩たちがたくさんいらっしゃったんです。『ウチら、今のまま続けて大丈夫なんかな……』って感じて、一回心が折れちゃって辞めることになったんです」
一度は諦めようと思った芸人の道。だが、それから約10年後にショーレースで優勝した二人は、事務所に所属していない“フリー芸人”として注目を浴びている。この間、一体何があったのか――。第二の芸人人生は、2015年から始まった。
いわし「芸人をやめてもM-1への憧れがずっと残っていて、2015年にM-1が復活した時、『これでもしいい所まで行けたら、また芸人に戻れるんじゃないか』って思ったんです」
にぼし「だから、最初のM-1は記念受験みたいな感じでした。でも、そこから毎年M-1には出るようになったんです」
2015年は1回戦敗退。しかし、彼女たちには火が着いていた。会社員として働きながら、M-1にはフリーの立場で出続けた。2016年は2回戦進出、2017年は3回戦進出を果たしたものの、2018年は2回戦で敗退……。それでも、翌年の2019年からは4年連続で準々決勝まで勝ち残っている。
この2019年は、会社を退社してお笑い一本を決めた年だった。フリー活動と両立していた会社員時代、職場ではお笑いの話は一切しなかったという。会社では、「芸人とは思われないほどおとなしい社員」(にぼし)。だが、定時を過ぎれば、大阪のインディーズライブでは名の知れたコンビに“変身”した。
いわし「2018年からは大阪の事務所に所属していたので、事務所ライブとかもあったんですよ。だから、仕事が終わってから走ってなんばまで行ってライブ出て、次の日また出勤するみたいな生活でした」
仕事はきちんとやっていたので、忙しすぎてネタがあまり作れなかったと笑う。
いわし「二足のわらじ状態は、体力が持たないなってなりまして。仕事を辞めようとなりました」
2020年には事務所も退所し、フリーの芸人として大阪でライブを主催するなど活動を続けた。そして2023年に東京進出することになる。意外にも、東京進出のきっかけは挫折だったという。
いわし「あのときも、心折れてましたね(笑)」
にぼし「フリーで大阪でやっていくのが、あまりにも過酷というか」
いわし「大阪は、圧倒的に吉本興業さんが強いですからね。あんまり好きな言い方じゃないですが、“非吉本”の芸人となると、大阪では全体の1割くらいしかいません。M-1のための鍛錬を積むライブすらない状態で……。我々はライブを主催していましたが、東京から芸人を呼んだりして何とか開催にこぎつけたり。
吉本以外の芸人で力を合わせてやりたかったんですけど、なかなか難しい。それなら、自分たちが東京に行こうと」
事務所に入るという選択肢もあったが、まずは自分たちでやってみようと1年間東京でフリーで頑張った結果、今回、女性芸人の頂点に立ったのだ。
いわし「『フリーで行ける!』というより、『行こか……』って感じなんですけど(笑)。今後もフリーのままでいける確信はないですが、このまま行ってみようと思っています」
にぼし「自分たち、ライブが好きなんで」
いわし「事務所にいると、苦手な仕事も来たりしますからね……。なんか、いいコメントとか言えないんですよ(笑)。フリートーク下手なんですよねえ」
いわし「今、優勝してテレビ番組を回ってますけど、スゴいスピードで短い言葉でパーンって笑わせたりとかしなきゃいけない」
にぼし「時間内に収めないとアカンとか」
いわし「全然できないんですよ。テレビに出る方は、皆さん派手じゃないですか。そこにスゴく怯んで、緊張して。こないだも『Aぇ! Group』さんがいらっしゃって、全っ然喋れなかったです。オーラがスゴくて、めっちゃ緊張して全然喋れない……」
優勝して芸能界の洗礼を浴びているにぼしいわしの二人。奇しくも、決勝ネタのタイトルは二人が恐縮しきっている「アイドル」だ。「アイドルはうんこをしないネタ」で勝ち取ったのだが……。
いわし「色んな方に“うんこ”のネタって言われるんですけど、あれはアイドルのネタですから(笑)。たまたま決勝の3組が下ネタになっちゃいましたが、一応M-1用に作ったネタなんです。今年の準々決勝にかけたかったネタなんですが、今年は3回戦で落ちちゃいました」
にぼし「下ネタなんで、嫌われるのかなあと思ったんですが、意外と面白がってもらえたんです」
いわし「漫才で勝とうと思うと、下ネタに頼れば面白くなるってことでもない。あくまで“設定の妙”として下ネタを使わざるを得なくなった感じなんです。結果的にワードが強くなって、いいのが作れたので、『THE W』の決勝ネタにしたんです」
優勝後、仕事の窓口であるメールアドレスには、大量のオファーが舞い込んでいるという。
いわし「東北とか九州とか、ボートレースの営業のお仕事とかがたくさん来ています(笑)。スゴい金額なんですよ。怪しいんじゃないかと思うくらい(笑)」
にぼし「今まで、そんな金額見たこともないんですよ。大阪の自分主催のライブなんて、赤字ばっかりでしたし」
いわし「今はライブとかを一緒に手伝ってくれてた友達が仕事の窓口をやってくれていて。私も一緒に見ているんですけど、窓口をちゃんと立てないと出演料とか、舐められちゃいますからね」
社会人経験が功を奏しているのか、しっかりしたコメントを残した2人。でも、活動の“本命”は今後も変わらずライブだそうだ。
いわし「ライブハウスがデカけりゃいいってわけじゃないんですけど、ライブを見に来てくれるお客さんのお金で食いたいって思ってます(笑)」
にぼし「『THE W』で優勝したことで、箔が付くというか、これでライブにお客さんが来てくれるかなって期待しています」
優勝にたどり着くまで「何度も辞めようと思った」と声を揃えるふたり。
いわし「『今日もどうせウケへんやろ』と思ってライブに行って、ちょっとウケると『あ、まだできるんかなと思って』の繰り返しでした。舞台数だけは踏んでいるので、舞台に伸ばしてもらったと思ってます」
にぼし「東京来てからも月に20~30は出てましたから」
賞金の1000万で個人事務所を作りたいと語った、にぼしいわし。自由な舞台を愛し続けるふたりが、これからもお笑い界を席巻していく。
にぼしいわし
2013年4月結成。ボケの香空にぼしとツッコミの伽説いわしのコンビ。高校の同級生で、共に32歳。NSC大阪校35期卒業後、一度は芸人を辞めるも、M-1を目指してインディーライブで活動。2018年にスパンキープロダクションに所属するが、2020年にフリーになり、2023年から東京進出。『女芸人No.1決定戦 THE W 2024』で8代目王者に輝いた。
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