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フジテレビ日枝久氏「トカゲの尻尾切り」の実態「ゴマすりを評価」「自分を脅かすとすぐに切って飛ばす」OG&OBアナが明言

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記事投稿日:2025.01.28 16:10 最終更新日:2025.01.28 21:02
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
フジテレビ日枝久氏「トカゲの尻尾切り」の実態「ゴマすりを評価」「自分を脅かすとすぐに切って飛ばす」OG&OBアナが明言

フジテレビ “やり直し” 会見。左から遠藤龍之介氏、港浩一氏、嘉納修治氏、金光修氏(写真・梅基展央)

 

「日枝(久)さんは、結局、日枝さんだ」

 

 1月27日の夕刻から10時間以上に及ぶ長い会見が始まった直後、元フジテレビ女性アナウンサーのIさんは思わず呟いた。その場に同社相談役の日枝久氏はおらず、“雲隠れ” していた。

 

 最初にIさんとコンタクトを取ったのは、中居正広問題をめぐり、同社の港浩一元社長が単独会見を開いた17日から1週間経った24日だった。当初は多忙を理由に取材を断られたが、たった一言、「日枝退陣は最低限必要。それだけです」と書き送ってきた。

 

 ところが、港氏の会見内容の杜撰さが問題視され、フジテレビは急遽27日に、港氏と、フジテレビ会長の嘉納修治氏、同社副会長の遠藤龍之介氏、フジ・メディア・ホールディングス社長の金光修氏、新社長に就任する清水賢治氏の幹部5人共同で “やり直し会見” を開く運びとなった。この経緯にIさんも腹を立てたのだろう、匿名を条件に取材に応じてくれた。

 

 

 その際、Iさんは「総辞職はせず、日枝さんは港さん、嘉納さんを切り、自分は居座ろうとしてると思います」と予測を立てたが、それも見事に的中した。

 

 Iさんは1980年代入社で、若かりし頃の取締役連中とも身近に接してきた。いまも当時の同僚や後輩たちと交流を持っており、日枝氏らの手の内が読めるのだ。

 

 また、Iさんはフジに数年間在社した後、リカレント(学びなおし)期間を経て一般企業に転職。やがて自身の会社を立ち上げたので、経営者の観点も持ち合わせている。現体制に向ける言葉も辛辣だ。

 

「27日を乗り切れない、と見ていた社員は多かった。いまの経営陣は金光さん以外、イエスマン。会見での答え方を見ても、ことに嘉納さん、港さんはトップの器ではないですね。

 

 遠藤さんは、ホリエモン騒動(ライブドアによるニッポン放送買収)のときの広報担当者で、日枝さんを守ったから出世したと聞いたことがあります。なにか制作や営業や編成で力を発揮した実績があるわけではないですからね。当然、イエスマンでしょう」

 

 この長い会見に雁首を揃えた面々は、それぞれ濃淡は異なれど、日枝氏の忠実なる僕(しもべ)だった。Iさんによるそれぞれの人物評はこうだ。

 

「嘉納さんは灘の酒造家の嘉納家の出で、とても優しい方ですが、ゆえに日枝さんには逆らいようもない。遠藤さんは大作家(遠藤周作)の息子で、日枝さんが編成局にいたときからの直の部下ですし、大変かわいがられています。

 

(西武百貨店から転入した)金光さんは生え抜きではないながらも同様に編成局で寵愛を受けています。プロデューサーとして大ヒットドラマを連発した元社長の亀山(千広、現BSフジ社長)さんも、当初は編成にいたので日枝さんと近しかった。

 

 バラエティ一筋の港さん、ドラマ制作で高視聴率を稼ぎ続けた大多亮さんらは会社に功績を残しましたが、日枝さんは大多さんを関テレに出してしまいました」

 

 過去にも日枝氏は、フジ社長就任が有力視されていた太田英昭氏を、HD社長から産経新聞会長に回すという降格人事を指揮したとされる。太田氏は日枝氏の忠犬に徹しきれなかったのだ。Iさんは「この件が典型」だと見る。

 

「太田さんは4年前に回顧録を出版なさっていますが、かなりのやり手で、日枝さんも彼をうまく使い、最後は追い越されると思って産経に出したんです。

 

 日枝さんのすごいところは人材発掘能力です。こいつは使えるという人は必ず育てています。それなりにみんなが従ってしまうような俯瞰での観察眼は持っているんですよね。ただ、自分を脅かすところで切る」

 

 社内で成功するにつれ、日枝氏のお眼鏡に叶う。そして、氏の息がかかることで、さらなる出世につながる。だから、唯々諾々とお上にへつらう上層部ができあがる。

 

「権力は人を変えます。もともと日枝さんはフジで労組を立ち上げた人です。ところが、ひとたび権力を持ったら、それを保持できるよう、あらゆることをやられました。

 

 有能な人は、ある程度の期間使ったら切って飛ばす。きわめてシンプルなんです。会社の安定成長期はそれでよかったのです。しかし、時代の変化を見抜けず……。日枝さんは自分で育てて潰す、まるで小説のキャラクターです」

 

 日枝氏の横暴ぶりに関しては、元フジアナウンサーの長谷川豊氏もこう指摘する。

 

「一言で言えば、“昭和の天才テレビマン” です。日枝さんは珍しくケツが持てる上司だったんです。ぶっちゃけ、自身も大のキャバクラやクラブ好きで、会社の経費で女の子がいる店にまめに通いたい口。真剣にテレビを作りたい人じゃないんです。

 

 だけど、自分が遊びたいから、『自由に作れ、何をやっても、後の責任は俺が持つ」と、現場に口出ししなかったんですね。これが現場としては実に嬉しかった。男気を感じて、大らかな社会背景とも相まって、どんどん制作力が伸びていったんです。

 

 ただ、自分にゴマをする人間はセンスがなくても実績がなくてもどんどんかわいがる。いまの上層部がそれを象徴しています」

 

 それぞれ明らかに日枝氏の息がかかっている、この “4人組” の直下の後輩で、フジを早々に退社し、系列外のメディア企業の経営者を歴任したB氏も同様の意見だ。

 

「フジに関しては、例外なく、上から順に(日枝氏への)茶坊主度が高い。そんな気配を察し、自由な番組作りもできなくなったので、僕は退社を決意しました。にしても、今回のシュールな展開には驚くほかありませんね。それでもOBとしては、必ず復活すると信じたいですが……」

 

 今回のスキャンダルでスポンサー離れが深刻なフジだが、東京・大手町のサンケイビルをはじめ全国に不動産を持ち、そこから195億円と現利益の半分以上をあげている。

 

 一方、メディア・コンテンツ事業は売上高の7割を占めながら、営業利益は約4割の約157億円にとどまる。本業の不振をまかなうのは不動産売却しかないのでは、とすでに噂されている。Iさんもこの点に注目する。

 

「不動産ファンドなども群がってきましたね。会見で『トカゲのしっぽ切り』の姿勢が明らかになりましたが、さすがに株主や社外役員がもう黙っていないでしょう。

 

 第三者委員会の調査と、今後の株主の反応を見て、総会のタイミングでいま残る役員も降りる――というより、降ろされると思いますね、日枝さんも含めて」

 

 日枝なき後のフジの今後の覇権争いについては、Iさんも「簡単に予測がつかない」という。

 

「ホリエモン騒動のとき、堀江さんが会社を手中にしたら、こんなことは起きなかったと思っている人は社内にも多いですね。

 

 新社長で、ずっとアニメ畑を歩んできた清水(賢治)さんは温厚で仕事もでき、社内の評判は高いですよ。ただ、当然、日枝氏の影響下にあると思います。もっとも、今後もそうかどうは別の話ですね。暫定政権とはいえ、見守りたいです」

 

 地に堕ちたフジテレビ。日枝氏はむろん、会見に臨んだ “4人組” の一掃がまず望まれよう。清水氏が経営再建に向け、どんな手腕を見せるかは未知数だが、なにより社員との意見交換と、その吸い上げが急務だろう。

 

取材・文/鈴木隆祐

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