『クジャクのダンス、誰が見た？』第1話から物語が動いて高まる考察熱…実は正念場の広瀬すずの熱演にも期待【ネタバレあり】

 

　国民的女優のひとりにあげられる広瀬すずだが、実は意外と正念場で……。1月24日（金）、広瀬すず主演のドラマ『クジャクのダンス、誰が見た？』（TBS系）がスタートした。

 

　元警察官の父・春生（リリー・フランキー）を殺されてしまった大学生・山下心麦（広瀬）。容疑者はすぐに捕まり、春生が22年前に逮捕した資産家一家惨殺事件の犯人の息子だと判明。逆恨みによる犯行だとされていたが、春生が遺した手紙にはその人物は冤罪だと記されていた。

 

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　複雑に交錯していく過去と現在の2つの事件、その真相に迫るヒューマンクライムサスペンス。同名漫画が原作となっているが、原作は現在も連載中で未完のため、ドラマ版はオリジナルのエンディングが用意されている可能性が濃厚である。

 

　ちなみに「クジャクのダンス、誰が見た？」はインド哲学の一節で、「たとえ誰も見ていなかったとしても、犯した罪から逃げることはできない」といった意味を持つ言葉だという。

 

■【ネタバレあり】心麦は春生の娘ではない？

 

　第1話のラストでさっそく物語が大きく動き始めた。

 

　心麦の前に現れた週刊誌記者が、「心麦は春生の娘ではないのでは？」とショッキングな発言をしたのである。もし父娘に血のつながりがないとすると、考察として俄然注目されるのが、一家惨殺事件で生き残った唯一の人物だ。

 

　22年前の事件では、家族6人が凄惨な方法で殺されたのだが、当時生後半年だった次女だけが奇跡的に助かったとされているので、そのときの赤子が心麦という可能性は十分あるだろう。

 

　そして、今回の父親殺害で逮捕されている容疑者が冤罪だとすると、22年前の事件の犯人として逮捕されて服役中の死刑囚も冤罪だったという展開もありえそうだ。

 

　また、父親殺害の容疑者をスピード逮捕したのは春生の元部下の刑事なのだが、一家惨殺事件の死刑囚の息子が怨恨から犯行に至ったと強引に決めつけているフシがあり、かなり怪しい。その刑事は春生とともに22年前の事件も担当していたそうなので、過去と現在、両方の事件の真相を知ったうえで罪をなすりつけている可能性もある。

 

　ただ、その刑事が真犯人だとするのはさすがに安直すぎるので、もっと巨悪の黒幕がいて、その手先になって冤罪をでっちあげたという線はあるかもしれない。

 

　いずれにしても、さまざまな考察ができる幕開けとなっており、視聴者をグイグイ引き込んでいる。

 

■『最愛』『VIVANT』のように大ヒットするか

 

　近年のTBSドラマは『最愛』（2021年）や『VIVANT』（2023年）など、考察ブームを巻き起こして人気を博すパターンが目立っているため、『クジャクのダンス、誰が見た？』もその流れに乗って大ヒットを目指したいところだろう。

 

　特に主演の広瀬すずは、今作を成功させようという意気込みはひとしおかもしれない。

 

　というのも、国民的女優のイメージがあるため意外に思えるかもしれないが、広瀬は民放の連続ドラマでヒット作と呼べる作品をまだ出せていないのである。

 

　広瀬の連続ドラマ初主演作は、ちょうど10年前に放送していた『学校のカイダン』（2015年／日本テレビ系）だったが、こちらはあまり話題にならず。その後に主演した『anone』（2018年／日本テレビ系）は低視聴率で大コケ。

 

　2019年にはNHKの朝ドラ『なつぞら』に主演してヒットさせているが、その後の主演作である『ネメシス』（2021年／日本テレビ系）と『夕暮れに、手をつなぐ』（2023年／TBS系）は、視聴率やTVer再生数はいまいちで、内容への酷評も少なくなかった。

 

　広瀬すずという俳優は映画でこそ映えるという見方もできるが、少なくてもこれまで民放ドラマには一度もガチッとハマっておらず、気づけば初主演から10年も経ってしまっているのが現実なのだ。

 

　こういった彼女のキャリアを振り返り、今後も役者として第一線で活躍していくために必要なことを考えると、今回の『クジャクのダンス、誰が見た？』はなにがなんでもヒットさせておきたいところではないか。

 

　――今後も次々と驚きの展開が起こり、二転三転していくようなスリリングなストーリーになれば、『最愛』や『VIVANT』に並ぶ考察ドラマとして大ヒットするかもしれない。今夜放送の第2話以降、広瀬すずがどんな熱演を見せるのかにも期待だ。