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お笑い界は“コンテスト飽和時代”へ…日本テレビが新お笑い賞レース発表も、識者が指摘
2月4日、新たなお笑い賞レースの開催が発表された。日本テレビと読売テレビが主催する『ダブルインパクト ~漫才&コント二刀流No.1決定戦~』は漫才とコントの“二刀流芸人”No.1を決定、優勝賞金は1000万だ。
「2人以上ならプロアマ問わず、芸歴制限なしで出場が可能です。予選は漫才とコントの両方で審査、夏に決勝大会を放送予定となります。漫才とコントの二刀流で最強を決める、とのことですが、すでにM-1とキングオブコントがありますからね……」(スポーツ紙芸能担当記者)
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放送する日テレのコンテンツ制作局総合演出である宮森宏樹氏は「大谷選手が二刀流で海を渡ったように、今までの常識を飛び越える才能を届けたい」と大谷翔平選手を引き合いに出しているが、視聴者の反応は意外と冷ややかだ。
「根底にあるのは、“賞レース疲れ”でしょう。すでに1年間で5本のお笑い賞レースがあります。それに加えて、『二刀流』を売りにする今回の大会も加われば、視聴者としては一つ一つの大会のありがたみのようなものが薄れてしまうのかもしれませんね」(芸能記者)
主催するテレビ局側にも思惑があるだろう。スポンサーと視聴率が望めるお笑い賞レースは、キラーコンテンツではある。しかし、闇雲に増やしたとて「共倒れ」の危険性があるのも事実だ。お笑い研究家でライターの鈴木旭氏は、こう指摘する。
「賞レースが多いっていうのは、そのとおりとしか言いようがないんですよ。それでも、テレビでのお笑いコンテンツとして、視聴者の目を引けるものが、賞レースしかないんですよね。
バラエティ的な見せ方の番組は、もう飽和状態にあります。日本テレビでは、すでに『THE W』を独自の賞レースとして開催しています。ただ、最近は優勝者も活躍しているものの、この大会は正直、評価が高いわけではありません……。だから、日テレとしてはそれ以外の大きな賞レースを作りたかったんでしょう。同局を代表する大会のチャンピオンが欲しいということですよね」
ただ、局として王者を欲しても、賞レース自体の盛り上がりによって王者の注目度は左右されるだろう。これだけ「お笑い賞レース」が乱立する状態で、果たして、番組として盛り上がりが見えるだろうか……。
「演出的な部分が鍵になりますよね。各局、賞レースごとに特徴を出そうとはしているんですが、『M-1』のフォーマットが強すぎるんですよ。
『キングオブコント』は総合点、『THE W』は票数で決めたりと、システム自体を独自のものにしている。これが二刀流となると、漫才vsコントありのトーナメント方式になるのか、各ジャンルの総合点で決めるのか。そこが肝になってくると思います。
一組ずつ、漫才とコントのどちらもやらせたいんでしょうが、そうなると収録時間が長くなってしまいます。ネタ数も増えるので、芸人さんの負担も大きくなるでしょう。
さらに、今回の場合は芸歴制限もプロ・アマ制限もないようですし、全体的にコンセプトやテーマがふわっとしているように感じます。まだ詳細なところがわからないので、何とも言えませんが……。
『THE SECOND』は結成16年以上のプロ限定という縛りがあり、『実力はあるけど目立てなかった芸人の大会』という“強い一本”があるじゃないですか。遅咲きの下剋上という流れの中である大会なので、認識されやすい。『ダブルインパクト』も、そういう芯がないと、『とりあえずやってみました』となってしまうんじゃないかと危惧しています。まだ情報がはっきり出ていないので、そこがクリアになるといろいろ見えてくるものもあると思います」(鈴木氏)
まだ概要の分からない謎の賞レース『ダブルインパクト』。大谷翔平ばりの強烈な“二刀流芸人”が話題をさらうのか。今後の発表にも注目が集まる。