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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』千 昌夫さん(77)ーー「健康に気を配るようになったのも、命の恩人、千さんのおかげです」
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千 昌夫、坂本冬美
わたしが故郷・和歌山で “オギャー ”と泣いたそのとき、すでに大ヒット曲『星影のワルツ』を歌っていらした千昌夫さんは、昭和のスター、大・大・大先輩です。
面倒見がよくて、とっても温かな千さんと初めてお会いしたのは、まだわたしがデビューする前、猪俣公章先生の内弟子をしていたときのことです。先生のお宅では、渡哲也さんをはじめ、たくさんの芸能人の方にご挨拶させていただきましたが、そのなかのお一人が、千さんでした。
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『うわ〜〜〜〜〜っ、千昌夫さんだぁ』と、ワクワクしていたわたしの横で、千さんは『あぁ、このコはダメだろうな』と、心の中で溜め息をついたそうです。
そこまで酷かったかなぁと思わなくもありませんが、作詞家の山口洋子先生も、「あのコはさすがに無理があるんじゃないの」と、おっしゃったそうですから、当時のわたしは、まるでイケていなかったということですよね(笑)。
なんかおもしろそうだなと思ったら、やってみないと気がすまない千さんは、音楽以外の守備範囲もすごく広くて。撮影した写真は雑誌の表紙を飾るほどだし、飛行機に加えドローンの操縦も自由自在。そのうえ、大の愛鳥家でもあります。
『徹子の部屋』に出演なさったときは、ヨウムとモモイロインコを両肩に乗せながら『星影のワルツ』を熱唱されていましたが、千さんの楽屋にお邪魔すると、ほかにもオウム、烏骨鶏、チャボ……いろんな鳥がお出迎えしてくれます。
先日お会いしたときは「今、ミツバチを5万匹飼っているから、楽しみに待ってろよ。そのうち、ハチミツを贈るから」と、おっしゃって。
「ハチ!? 大丈夫ですか? 刺されたりしませんか?」とお聞きしたら、「大丈夫!」と胸を反らした後、「もう何回も刺されたから抗体ができちゃったよ」と、ガハハハハと笑っていらっしゃいました。
豪快でピュアで、そこにいらっしゃるだけでまわりを明るくしてくださる千さんを慕っている後輩の数は、両手両足の指ではとても足りません。わたしもその一人ですが、それだけじゃありません。大袈裟ではなく、千さんはわたしの命の恩人なんです。
あれは、5年ほど前のことでした。千さんの楽屋にお邪魔すると、なぜか山川豊さんが血圧を測っていて。「いいところに来た。冬美ちゃんも測ってやるからこっちに来て!」と手招きされ、半ば無理やりわたしも測っていただくことになったのですが……。
上が一度めは167。二度めは190まで上がっています。わたしも驚きましたが、千さんは「これはすぐにでも医者に行かなきゃダメだ」と大慌てです。
ケータイを取り出し、その場で病院の予約をしてくださり、診察当日は病院まで付き添ってくださいました。当時のわたしは、ストレスが溜まり、眠れないものだから、ついついお酒の量も増えてしまって……という日々を送っていましたが、それでも190という数値はまさか、でした。
もしもあのとき、血圧を測らずそのままにしておいたらどうなっていたことか。考えただけで冷や汗が流れます。
「これをやるから、毎日測るんだぞ。いいか、俺たちは体が資本なんだからな」というありがたいお言葉と一緒にいただいた血圧計で、朝起きたらまず血圧を測るのが、今はわたしの日課になっています。
千さん、本当にありがとうございました。千さんは紛れもなく、わたしの命の恩人です。
ただ……大きな声では言えませんが、テレビ番組で「あのときはびっくりしたよなぁ。血圧が200を超えていたもんなぁ。230だったっけ?」と、話を盛るのは……モゴモゴモゴ。いくらなんでも、盛りすぎです(苦笑)。
さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、最新アルバム『想いびと』が好評発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋
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