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板垣李光人の違和感も即座に解消…『秘密』がいい意味で気持ち悪くて最高!“イケメンが出るだけのトンデモSF” と侮って、申し訳ない

正直舐めていたことを制作陣に謝りたい。
ヒューマンサスペンスドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』(フジテレビ系)がとにかくおもしろい。
板垣李光人とHey! Say! JUMP・中島裕翔がダブル主演を務め、2月10日(月)に第3話まで放送されているこの作品。
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前情報で、“イケメンが出るだけのトンデモSF” という印象だったため、あまり食指が動かなかった。筆者のような中年男性ほど興味が沸かない人は多そうだが、先入観を取っ払ってぜひ観ていただきたい。
■死者の記憶を映像で観られるというSF設定
科学警察研究所の法医第九研究室、通称「第九」という架空の組織のメンバーの活躍を描く警察ドラマ。
「第九」では、亡くなってしまった被害者や犯罪者の遺体から脳を摘出し、特殊なMRIスキャナーにかけることで、生前の記憶を映像として観ることができる「MRI捜査」が導入されている。
その映像はかなり鮮明に映し出されるし、何年も前の記憶も映像化できるので、死者の人生を追体験できるような科学技術が現代で実用化されているという、トンデモSF設定なのだ。
そんなMRI捜査をおこなう捜査官たちのリーダーは、「第九」創設時から室長を務めており、冷静沈着で類まれな記憶力と洞察力を誇る薪剛(まき・つよし)。演じているのは現在23歳で小柄な俳優・板垣李光人である。
薪は年齢不詳というキャラなので設定上は問題ないのだが、主人公としては貫禄が必要なので、実年齢よりもさらに若く見える美少年の板垣が演じることに、当初は合っていないと感じていた。
しかし、ストーリーが進んで薪が浮世離れしたキャラだとわかるにつれ、板垣の演技で違和感がなくなっていくから不思議だ。
■中年男性ドラマファンにもおすすめな理由
筆者が『秘密』をおもしろいと絶賛する理由はいくつかある。
どギツい猟奇的殺人が次々起こり、映像は生々しくショッキングなこと。刑事もののセオリーを無視した衝撃展開の連続で、先が読めないこと。そして、そんなストーリーを武骨かつ硬派な演出で仕上げていること。
主にこの3つの要素がストーリーに引き込まれる要因なのだが、さらに掘り下げて解説したい。
まず、本作の土台となる死者の記憶を映像として観られる設定だが、やはり突飛なSFには違いない。
一応説明しておくと、「SF」とは「サイエンス・フィクション」の略で、科学的な空想に基づく虚構といった意味合い。要するに、現代を舞台にしたSFにはウソ設定が盛り込まれているわけだが、視聴者に没入してもらうため、そのウソをなるべくリアルに感じてもらう必要がある。
そのため、『秘密』では、“死者の記憶を映像化” という設定以外は極力ウソを入れず、人間の持つ狂気を生々しく描いている。だから、トンデモSFでもすんなりと受け入れられるのだ。
■映像的&精神的にグロテスクで救いがない
第1話で扱ったのは、6年前に一家の父親が妻・義母・娘2人を惨殺した事件だった。死刑が執行された後に父親の脳の記憶映像を観たのだが、実は遺体が発見されていなかった当時10代の長女が真犯人と判明。今も生きていて社会に野放しにされている長女は、家族以外にも手を掛けていた猟奇殺人者だった。
また、これから視聴したい方々のためにネタバレは控えるが、第1話終盤から第2話序盤の展開がすさまじい。映像的にも精神的にもグロテスクで、救いのない現実が主人公に突きつけられるのだ。
第3話まで予測不能でスピーディーに進み、混沌がさらなる混沌を呼ぶ物語となっている。
粘度の高いドロッとした闇の気配が終始漂っており、おどろおどろしい人間の狂気性が描かれていく。いい意味でめちゃくちゃ気持ち悪いドラマなのだ。
――今夜の放送は第4話、まだ前半戦。これからでも追いつきやすい。
筆者のように、“イケメンが出るだけのトンデモSF” という前提に難色を示していた人ほど、騙されたと思って観てほしい。