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板垣李光人『秘密~THE TOP SECRET~』スピード感が失われた中だるみと、増えてきた恋愛シーンにゲンナリ【ネタバレあり】

板垣李光人
これぞ「失速」。
序盤はスピーディな展開でグイグイと引き込まれていったが、中盤は絵に描いたような中だるみで、筆者の熱量は急激にクールダウン。
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そんな中だるみをなんとか埋め合わせるかのように、恋愛要素が色濃くなってきており、個人的にはその展開にもげんなり。
人気漫画を実写化したヒューマンサスペンスドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』(フジテレビ系)のことだ。板垣李光人とHey! Say! JUMP・中島裕翔がダブル主演を務め、3月3日(月)に第6話が放送された。
■【ネタバレあり】衝撃的すぎて引き込まれた1話、2話
科学警察研究所の法医第九研究室、通称「第九」という架空の組織のメンバーの活躍を描く警察ドラマ。
「第九」では亡くなってしまった被害者や犯罪者の遺体から脳を摘出し、特殊なMRIスキャナーにかけることで、生前の記憶を映像として観ることができる「MRI捜査」が導入されている。
その映像はかなり鮮明に映し出されるし、何年も前の記憶も映像化できるので、死者の人生を追体験できるような科学技術が実用化されているというSF設定だ。
そんなMRI捜査をおこなう捜査官たちのリーダーは、「第九」創設時から室長を務めており、冷静沈着で類まれなる記憶力と洞察力を誇る薪剛で、板垣が演じている。
そして、薪の学生時代からの親友で、「第九」の副室長でもあった鈴木克洋を中島が担当。
正直いうと、放送開始までは、“イケメン2人によるトンデモSFドラマ” だと思ってあまり期待していなかった。だが、第1話と第2話が怒涛の展開で、一気に筆者の今期イチオシドラマになっていた。
第1話で扱った猟奇的な連続殺人事件の顛末も非常に楽しめたのだが、ラストがショッキング。薪が尊敬して公私ともに親交のあった脳科学の権威・貝沼清孝教授(國村隼)が、カミソリで自分の首を掻っ切って自殺したのである。
どうして自殺したのか謎のまま迎えた第2話、貝沼の脳の映像を見た捜査官たちに惨劇が起こる。薪が駆けつけたときには、自分の頭を拳銃で撃ち抜いて死亡する者、発狂して叫び続けている者など、地獄絵図が待ち受けていた。
その場では生き残っていた鈴木も、のちに精神錯乱を起こして襲いかかってきたため、やむなく薪が射殺。
実は、貝沼は薪に異常な愛情を抱いており、その倒錯した感情から28人もの少年を凄惨な方法で殺害していたというサイコキラー。そんな人物の記憶を見てしまったがため、捜査官たちは精神崩壊してしまったというわけだ。
1話、2話であっという間に、恩師だと思われていたキャラが大量猟奇殺人犯だと発覚し、バディだと思われていたキャラが死亡してしまう。
さらに第2話ラストで、鈴木に瓜二つの新キャラが登場。第3話でそれは「第九」に新米捜査官として配属された青木一行(中島/1人2役)だとわかった。
視聴者の思考が追いつかないほどの急展開に次ぐ急展開だったのである。
■【ネタバレあり】主要キャラたちの複雑な恋愛模様
しかし、序盤は息もつかせぬ驚愕な展開の連続だったためどんどん物語に引き込まれたのだが、鈴木そっくりな青木登場のインパクトにも慣れてきた第4話ぐらいから、ストーリーのスピード感が失われていった。
4話、5話、6話もトンデモSFのサスペンスであることに変わりはないものの、言い方は悪いが “平常運転” の「第九」の活躍が描かれただけ。放送前に危惧していた、ありがちな “イケメン2人の刑事もの” になってしまったのだ。
しかも、ストーリーの進行速度が下がったのに反比例して恋愛シーンが増えてきた。本作のヒロインポジションは門脇麦演じる解剖医・三好雪子。薪と鈴木の大学時代からの友人で、鈴木とは婚約している仲だった。
鈴木が亡くなった後に現れた、顔がそっくりな青木は雪子に恋愛感情を抱き、積極的に近づいていく。青木のアプローチにまんざらでもない様子で、第5話のラストでは雪子から彼の胸ぐらを掴み、濃厚なキスをするシーンも描かれた。
けれど、第6話では、鈴木と婚約し青木にチューまでした雪子が、実な昔から薪にも恋愛感情を抱いていたような描写が挿入される。一方の薪は、かつては親友の鈴木に密かに愛情を抱いており、いまは青木が気になる存在になっているのではないかと思えるシーンが描かれたのだ。
要するに「薪→鈴木&青木→←雪子→薪」という複雑な恋愛模様を匂わせているのである。
どうやらこの恋愛設定は原作漫画にもあるようなので、ドラマ制作陣が悪いわけではない。けれど、個人的には骨太なサイコサスペンスとしてのめり込んでいたので、申し訳ないが、この雪子を巻き込んだ恋愛パートが「邪魔だなぁ」と感じてしまった。
――今夜の放送は第7話。原作にもあるならその恋愛要素を否定できないが、せめて序盤のスピーディかつショッキングなドラマに戻って来てもらいたいものだ。