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『Dr.アシュラ』ラスボス感ある渡部篤郎が早くも善人ムーブ! 松本若菜との共闘が激アツも、ネタ切れで失速しないか心配

松本若菜
どんどん物語が進んでいくスピーディな展開は悪くない。しかし、さすがに急ぎすぎで、途中で息切れして失速してしまうのでは……?
4月30日(水)に第3話が放送された、松本若菜主演の医療ドラマ『Dr.アシュラ』(フジテレビ系)のことである。
松本演じる杏野朱羅(あんの・しゅら)は、どんな急患も絶対に断らず、命を救うことをモットーとする救命医。重症患者のオペを同時におこなうといった神業も披露することから「アシュラ先生」と呼ばれている。
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■王道のスーパードクターものドラマ
いわゆるスーパードクターもののドラマで、この手の作品のフォーマットを踏襲している。
たとえば主人公・杏野は型破りな医師で、一見するとクールな性格ながら行動は破天荒。そんな異端児をよく思わない悪役医師たちが、彼女の前に立ちふさがったり邪魔をしたりする。
医療ドラマファンからすれば、“あるある” だらけで既視感のある設定だろう。それをマンネリで食傷気味と批判することもできるが、好意的に解釈すれば安定の王道路線とも言えるので、ハマる人も多いかもしれない。
マンネリとするか王道とするかはひとまず置いておくとして、筆者が気になったのは展開の早さ。
第3話では主人公に敵対する医師が2人も “善人化” したのである。
荒川良々演じる日本屈指の心臓外科医・梵天太郎。「成功率99%のゴッドハンド」と称されているが、実はリスクの高い患者の手術はせずに見捨てていた非情な医師だ。
梵天は急患が次々に運び込まれるように仕組み、杏野たち救急科を陥れようとしていた。しかし、難度の高い心臓手術にビビッて腰を抜かしてしまった梵天の代わりに、杏野が患者を救うという展開。
その後、改心した梵天は、「私に足りない1%は保身を捨てることだった。アシュラ君のおかげで気づかされたよ。お礼を伝えておいてくれ」と殊勝に語り、善人ムーブを見せた。
■“最強最大の敵” と思っていたが…
それだけでなく、第1話からラスボス感を漂わせていた渡部篤郎演じる医師・多聞真も、第3話であっさり善人ムーブを見せた。
かつて救急科の科長だった多聞は、杏野の師匠的存在で、「2人で一緒に日本の救急を変えよう」と約束していた仲だった。けれど海外から戻ってきた多聞は、「儲けにならない救急科は近いうちに閉鎖する」と宣言する闇堕ちキャラとして登場。
いかにも主人公の前に立ちはだかる “最強最大の敵” といった風格。
もちろん、多聞が利益追求型に堕ちたのはなんらかの事情があり、いつかは善人回帰するだろうとは思っていたが、あまりに早すぎた。梵天の策略によって救急科に大量の急患が押し寄せ、さすがの杏野でも手が回りきらずに悪戦苦闘していたところに、多聞が颯爽と登場。
「廊下の患者はもう大丈夫だ」「お前(杏野)はこの患者に集中しろ。ほかは俺がなんとかする」「全員受け入れる。どの患者も絶対助けるぞ」とヒロイックな名言を連発してピンチを救ってくれたのだ。
■今夜放送の第4話以降への不安とは?
多聞はまだ救急科を潰すつもりだろうが、完全にダークサイドに堕ちていたわけではないことが早くも明示されたわけだ。多聞の善人ムーブが見られるとしたら、物語終盤のクライマックスだと思っていたのでびっくりした。
そんなこんなで第3話は、2人の敵キャラの善人化というイベントによってワクワクしてスカッとする展開。エンタメ度が高く、おもしろかった。
ただ、今夜放送の第4話以降への不安もよぎる。出し惜しみせずに “おいしいシーン” を早々に使ってしまい、このペースで最後まで持つのか? 第3話以上に今後のストーリーを盛り上げていけるのか? という懸念があるからだ。
ラスボス感が漂っていた多聞の「どの患者も絶対助けるぞ」のセリフ、そこからの主人公・杏野との共闘シーンは、かなりの激アツ展開だった。
だが、それゆえに、視聴者が多聞に感じていた怪しさや恐怖心が薄れてしまい、もう主人公の前に立ちはだかる “最大の壁” 的な威圧感が出しづらくなるだろう。要するに、第3話はかなり盛り上がったものの、ネタ切れしてしまうんじゃないかと心配なのだ。
今夜放送の第4話以降で、多聞を超えるラスボス候補の新キャラが出てくるとか、これまでのフォーマットをぶっ壊すような斬新展開になるのであれば、さらに盛り上がっていくはずだが、はたして――。