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『坂本冬美のモゴモゴ紅白』・第4回/加山雄三さんの『紅白』史上、5本の指に入るといわれる “言い間違え” ハプニング

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記事投稿日:2025.05.17 06:00 最終更新日:2025.05.17 07:33
出典元: 週刊FLASH 2025年5月27日号
著者: 『FLASH』編集部
『坂本冬美のモゴモゴ紅白』・第4回/加山雄三さんの『紅白』史上、5本の指に入るといわれる “言い間違え” ハプニング

『第37回NHK紅白歌合戦』

 

 歌手になる前のわたしにとって、『NHK紅白歌合戦』は大晦日、家族みんながテレビの前に集合。年越しそばをいただきながら、次々に綺羅星の如く登場する大スターたちのヒット曲を一緒に歌ったり、わいわい言いながら観る大イベントでした。

 

 ところが、です。これが、ラストチャンスという覚悟で挑んだNHKの『勝ち抜き歌謡天国』で優勝。 “名人” の称号を勝ち取り、猪俣公章先生の内弟子になって上京してからは生活スタイルも一変。この年の暮れには、翌年のデビューに向けて一人暮らしを始めていました。

 

 

 記憶に間違いがなければ、クリスマスイブの12月24日は、ニッポン放送の『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』(生放送)で歌わせていただき、記憶に間違いがなければ、大晦日は猪俣先生のお宅で、『紅白歌合戦』を観ていたような……モゴモゴモゴ。そのころの記憶があやふやですみません(苦笑)。

 

ーー来年は、自分もこのステージに立つんだと思いながら観ていた?

 

 いや、いや。夢見る少女だったころは「いつか、大好きな(石川)さゆりさんと同じ、あのステージに立ちたい」とは思っていましたが、猪俣先生の付き人をさせていただき、現実を嫌というほど見てしまっていたので……。

 

 あの場所に立てるのは、ほんのひと握りのスターと呼ばれる人たちだけ。それを知ってしまったので、いつか……そう、いつか……という淡い夢は抱いていましたが、わたしがすごい歌手になるとも思えないし、歌がヒットするとも思っていませんでしたから、自分が『紅白』のステージに立っている姿は想像すらできませんでした。

 

 オープニングは、この年に大ヒットした荻野目洋子さんの『ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)』。30年ぶりに、この曲が “バブリーダンス” として再び大注目されることになるとは、このときは夢にも思いませんでした。

 

 続く、白組のトップバッターは少年隊。そうです、『紅白』史上、5本の指に入るといわれるハプニング。白組の司会を務められた加山雄三さんが曲紹介で、『仮面舞踏会』を『仮面ライダー』と言い間違えてしまったあの事件です。

 

 加山さんだから、「ついうっかり言い間違えました」で事なきを得ましたが、もしもこれがわたしだったら……冷や汗どころではありません。背筋が凍りつきます。

 

 一方、30組めでステージに立った水前寺清子さんから松原のぶえさん、千昌夫さん、八代亜紀さん、細川たかしさん、島倉千代子さん、村田英雄さん、小林幸子さん、五木ひろしさんと、演歌、演歌、また演歌。

 

 そして紅組のトリは、憧れてやまない石川さゆりさんです。白を基調にしたお着物で、この年にリリースされた『天城越え』を熱唱されたシーンは、今思い出しても心が震えます。

 

 さぁ、そして大トリ、歌い納めは森進一さんで『ゆうすげの恋』です。

 

 カップリング曲『湯の町別れうた』は、猪俣先生が作曲を手がけられた作品で、運転手をしていたわたしもレコーディングを見せていただいたのですが……。

 

 もう見るもの聴くもの、すべてが初めてのことばかりで。目立たないように、あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロ。心の中ですごい!わぁー、すごい!! すごすぎる!! と、叫び声を上げながら、森さんのレコーディングを拝見しました。

 

 まさか2年後、自分が夢のステージに立てるなんて、思いもしませんでしたから。

 

さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、最新アルバム『浪花魂』が好評発売中!

 

写真・中村 功
取材&文・工藤 晋

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