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『Dr.アシュラ』松本若菜の演技がヤバすぎた! 放送事故かと思うような「20秒の無音シーン」に驚愕【ネタバレあり】

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記事投稿日:2025.06.05 20:00 最終更新日:2025.06.05 21:33
出典元: SmartFLASH
著者: 堺屋大地
『Dr.アシュラ』松本若菜の演技がヤバすぎた! 放送事故かと思うような「20秒の無音シーン」に驚愕【ネタバレあり】

 

 

 6月4日(水)に放送された松本若菜主演の医療ドラマDr.アシュラ』(フジテレビ系)の第8話。約20秒間もの無音シーンが2度もあり、視聴者を騒然とさせた。

 

■【ネタバレあり】主人公の少女時代と新人医師時代

 

 松本演じる杏野朱羅(あんの・しゅら)は、どんな急患も絶対に断らず、命を救うことをモットーとする救命医。重症患者のオペを同時におこなうといった神業も披露することから、「アシュラ先生」と呼ばれている。

 

 第8話は3つの時間軸が描かれた。

 

 

 現在の時間軸をベースに、28年前の朱羅の少女時代、その後に朱羅が新人医師となった時代の各エピソードが挿入される形式だ。

 

 28年前の時間軸では、17歳の少年による通り魔事件が発生。3人が死亡、10人以上が重軽傷を負う壮絶な凶行だったのだが、少女だった朱羅はその被害者で、一緒にいた両親は少年に殺されていた。

 

 新人医師時代の時間軸では、別の通り魔によって女子高生が刺され、犯人も自殺しようと自分を刺したため、その2人が緊急搬送されてくるという事態が発生していた。

 

 予告動画では《ついに明かされる壮絶な過去》というテロップが表示されるが、その言葉は誇大広告ではなく、本当に目をそむけたくなるような過酷な体験を朱羅がしてきたことが明かされたのである。

 

 さらにベースとなる現在の時間軸では、身元不明の中年男性が緊急搬送されてくるという展開。その患者の正体が朱羅の感情を大きく搔き乱すことになる――というストーリーだ。

 

■無音シーンで圧倒的すぎた松本若菜の表情

 

 そんな第8話、約20秒間の無音シーンが2度も描かれた。セリフがないのはもちろん、物音もせず、BGMもない。

 

 20秒というとそれほど長いとは思わないかもしれない。だが、テレビからなんの音も聞こえてこない状態はなかなか不穏で、1秒1秒がかなり長く感じられた。一瞬、放送事故やテレビの故障かと疑ってしまうほどの違和感に襲われる。

 

 しかも、2度の沈黙は、どちらも松本若菜の顔をアップにしたシーン。松本は静寂の空間でセリフもなく、表情のみの演技を求められていたわけだ。

 

 1度目の約20秒の無音は現在の時間軸。警察からの電話で身元不明患者の正体を朱羅が知るというシーン。警察が電話越しになにを喋っているかは聞こえないため、この時点で視聴者はまだ患者の正体がわからない。だが、最後まで視聴してからこのシーンを観返すと、松本の演技力の高さを改めて知ることになるだろう。

 

 さすがにネタバレになるので患者の正体は伏せるが、朱羅は当初、警察からの電話を基本的に無表情で聞いていたが、微妙な表情の変化をつけており、初見でも朱羅の動揺は伝わってきた。けれど、改めて観返すと、恐怖、怒り、悲しみといった負の感情が入り乱れていたことがわかる。

 

 混乱した心理状態を顔に出さないよう必死にこらえ、無表情を貫こうとするも、わずかに動揺が漏れ出てしまっている――という演技を松本若菜はしていたことになる。圧巻だ。

 

■2度目の無音シーン、逡巡して決断に至るまでの顔

 

 2度目の約20秒の無音は新人医師時代の時間軸。朱羅と看護師の2人しかいない状況で、通り魔に刺された女子高生と、自傷した通り魔男が同時に運ばれてきた。このときに朱羅は究極の選択を強いられる。その決断を下すまでの逡巡を目まぐるしい表情の変化だけで、視聴者に明確に伝えたのである。

 

 朱羅は最初に女子高生の治療にあたっていたが、あまりの出血の多さに救命できる確率が低いと判断せざるをえなかった。そのため、先に通り魔男の治療をすると決断。つまり、被害者の命をあきらめ、犯人の命を救うと決めたのである。

 

 犯人の命より被害者の命を優先させたいと思うのが人情だろうが、朱羅の場合、自身も通り魔被害者だったにもかかわらず、自身と同じ境遇の女子高生の命をあきらめ、通り魔の命を救うという選択をしたことになる。

 

 松本若菜は約20秒間の無言演技で、その心情の推移を見事に表現した。正気を失っても不思議ではないほど残酷な選択。松本若菜は約20秒間の無言演技で、その心情の推移を見事に表現した。とにかく、松本若菜の表情だけで見せる演技が圧倒的すぎる第8話だった。

 

 第8話の予告映像には、朱羅の「人は生きてるだけで価値がある」というセリフが挿し込まれていた。誤解を恐れずに言うなら、医療ドラマにおいてこの手のセリフはありきたりで食傷気味だ。

 

 しかし、放送を観終えたとき、この言葉の意味が視聴者に深く、深く、深く突き刺さったはず。“人間の命は誰しも平等” だと考える、朱羅の尋常ではないほどの信念がにじんだセリフと言えるだろう。

 

「人は生きてるだけで価値がある」という朱羅の信条は素晴らしく正論。だがその正論は被害者の遺族からすれば、“きれいごと” でしかないのかもしれない。

 

 ――どんな罪を犯した人間でも生きている価値はあるのか? それとも生きている価値なんてない人間もいるのか? 簡単に答えの出ないそんな極限の問いを、視聴者に突きつけた第8話だった。

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