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【インタビュー】鈴木おさむ、脚本家“電撃復帰”の裏にスタッフとの約束「いちばんしんどい時期に、再び自信を持たせてくれたんです」

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記事投稿日:2025.06.07 06:00 最終更新日:2025.06.07 07:33
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【インタビュー】鈴木おさむ、脚本家“電撃復帰”の裏にスタッフとの約束「いちばんしんどい時期に、再び自信を持たせてくれたんです」

1年2カ月ぶりに脚本を執筆する鈴木おさむ氏(写真・木村哲夫)

 

《辞めたのに7月の地上波連ドラやります!》

 

 自身のXにこう投稿したのは、鈴木おさむ氏だ。人気番組を数多く手がけ、32年間続けた放送作家・脚本家を2024年3月末で引退。そんな鈴木氏が「再執筆」を宣言したのは、2025年5月21日のことだった。断筆から約1年2カ月の間に、何があったのか――。

 

「オファーが来たときは、早いな! と思いましたよ(笑)。辞めてまだ1年ぐらいですし。引退後に、ずいぶんいろんな人に『書いてくれないか』って言われましたけど、今回は、制作陣との約束があったことがいちばんですね」

 

 

 今回、鈴木氏が手がけるのは、7月放送開始の松本まりか主演のドラマ『奪い愛、真夏』(テレビ朝日系)だ。これまで鈴木氏は、2017年の『奪い愛、冬』と2019年の『奪い愛、夏』、2021年の『奪い愛、高校教師』を担当。この“奪い愛シリーズ”で、次に何を仕掛けるかという話は、引退前から持ちかけられていたと話す。

 

「ドラマ以外で何かおもしろいことができないかな、みたいな話をしたまま宙ぶらりんになっていたんですよ。僕が放送作家と脚本家を辞めると話したときも、スタッフから『もし、次に何かやるってなったらお願いできますか?』と言われていました。僕も『そんなことがあるんだったら“奪い愛”に関してはやります』と約束していたんです。だから今回は快諾しました。でも、こんなに早くオファーが来るとは(笑)」

 

 そんな約束をかわすほど、鈴木氏にとってこのシリーズは特別な存在だった。

 

「『奪い愛、冬』放送直前の2016年末に、SMAPが解散し、ずっと一緒にやってきた自分の背骨のような番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が終わって、もちろん彼らのほうがつらかったと思いますが、作っていた僕らスタッフもやっぱりつらかった。正直、自分のなかで『テレビ業界はもういいかな』と思った部分もありました」

 

 そんなときに『奪い愛~』の脚本を担当することになった。プロデューサーからは、「ドロドロ不倫を作ってほしい」と言われたという。

 

「コメディではなくて? と聞くと『おさむさんはバラエティ番組を担当しているから、へんなことを考えるの得意じゃないですか。このドラマは不倫ものですけど、へんなことが5分に1回起きるドラマにしたいです』って言われたんです。それが、自分のなかでめちゃくちゃ見えたんですよ。

 

 だから普通の不倫ものではなく、キスしたらいきなりクローゼットから奥さんが出てくるとか、彼氏が藁人形を打ちに行くとか(笑)、へんなことを羅列して、何をしてたらおもしろいだろうって思って。新しいドラマのスタイルを作って、それが大ヒットしたのがうれしかったです。

 

『SMAP×SMAP』が終わって、いろいろありすぎていちばんしんどい時期だったのですが、この作品のヒットで、作り手として再び自信を持てたんです」

 

 それだけに、“奪い愛シリーズ”への感謝は大きいという。一方で、今後も脚本のオファーが来たら受けるのか聞くと、「オーダーされても基本受けない」と即答。作家業を引退してからは、自身が立ち上げたtoC向けファンド「スタートアップファクトリー」で、投資先企業と向き合う毎日を過ごしているという。「いまは、僕と話したいと応募してくれる起業家の方たちとの“100人面談”を実施中なんです」と語り、多忙な毎日を過ごしているようだ。

 

 今回、そんな鈴木氏の執筆欲をかき立てたのは、友人ともいえる漫画家の東村アキコ氏だった。

 

「4月末に、個人的に親交があった東村さん原作の映画『かくかくしかじか』の試写を観に行きました。もともと、原作の漫画が大好きで満を持しての映画化も楽しみにしていました。作品では、漫画家を目指す東村さんがスランプに陥ったりするのですが、どんなときでも大泉洋さん演じる彼女の恩師の日高先生が、『描け! 描け!』と、ゾンビのように追いかけて来るんですよ。

 

 やっぱり書くことって、あらためてめっちゃしんどいし、地獄でした。でも、自分は文筆業を辞めたとはいえ、もともとこの世界に入りたくて入って、ドラマの脚本を書くなんて夢のまた夢だった。映画のなかで『描け!』って言われているのを観て、初心を思い出しました。そして、これまで自分にかかわってくれた人の顔が浮かんで。そこでめっちゃスイッチが入りましたね」

 

 その時点で、すでにドラマのプロットはできていたという。映画の効果もあってか現在、脚本の執筆状況はドラマ全体の6合め。あらためて、今作への思いを聞いた。

 

「今回は、いろんな企画を仕掛けています。でもたぶん、1話めを見たら『えっ!?』となると思いますよ。『不倫ドラマでこの手があったか!』っていう。不倫ドロドロドラマっていろんな種類があるなかで、『こんなのもあっていいじゃん』というものになっていると思います。ある意味テレビドラマの“進化系”ともいえるかもしれません」

 

 作家業から少し離れての再登板。それでも鈴木氏は「テレビで放映する以上、絶対振り向かせるために作ってるんで」と強く語る。放送開始の7月、どんな“進化”が見られるのか――。

 

『奪い愛、真夏』
7月スタート 毎週金曜よる11時15分~(※一部地域を除く)テレビ朝日系

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