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『大追跡 ~警視庁SSBC強行犯係~』嵐・相葉雅紀、主人公なのに “ほぼ空気” なのが意外に功を奏したチーム作品

相葉雅紀
主演なのにあまり見せ場がなく、“ほぼ空気” 状態の嵐・相葉雅紀。しかし、これは彼にとってはむしろ好都合なのかも……?
相葉と大森南朋と松下奈緒のトリプル主演となっている刑事ドラマ『大追跡 ~警視庁SSBC強行犯係~』(テレビ朝日系)。
8月6日(水)に第5話が放送されたが、主演のはずの相葉は出演シーンがそこまで多くないし、ほとんど活躍もしなかったのだ。
■相葉はトリプル主人公の一角を担う
「SSBC」とは警視庁捜査支援分析センターのことで、防犯カメラ映像の収集・分析、スマホやPCのデータ解析、または容疑者のプロファイリングなどをおこなう部署。そのなかで新設されたのが「SSBC強行犯係」で、殺人・強盗・放火といった凶悪事件を担当する捜査一課を専門に支援する別班だ。
相葉が演じる1人めの主人公・名波凛太郎は、SSBC強行犯係の新メンバーとして配属されたキャリア官僚。
大森が演じる2人めの主人公・伊垣修二は、SSBC強行犯係で名波とバディを組んでおり、ノンキャリアながら頼りになる先輩。
松下が演じる3人めの主人公・青柳遥は、SSBC強行犯係所属ではなく警視庁捜査一課の主任で、伊垣とは元夫婦。
このように主人公が3人もいるため、1人1人にスポットが当たる機会が限られているのだが、第5話は遠藤憲一演じるレギュラーキャラの捜査一課長がフィーチャーされた回だったこともあり、主人公たちの見せ場は激減。
捜査一課長は双子という設定で遠藤が一人二役を演じており、この回に起きた殺人事件も双子にまつわるエピソード。そのため捜査一課長がメインで取り調べをおこない、犯人の自白を引き出すという見せ場を持っていった。つまり、この回の “主役” は遠藤だったのだ。
ただでさえ単独主演作に比べると活躍のチャンスが3分の1になってしまうのに、脇を固めるレギュラーキャラにもスポットを当てているので、主人公たちの存在感が薄いのである。
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■冒頭2分はスポットが当たったが
第5話で相葉が演じる名波にスポットが当たったのは冒頭2分だけ。
彼の叔父(佐藤浩市)は元・警察庁長官で現・内閣官房長官という超お偉いさんで、そんな叔父と居酒屋で酒を酌み交わすシーンが2分強あった。
ここで名波が意味深に「あの事件を解決するためにもですね」と語り、叔父が「あの犯人は絶対逮捕せねばならん」と応えるやりとりがあり、要するにドラマ終盤に向けての伏線と思われる “縦軸” の事件の存在が匂わされたのだ。
第5話で名波が目立ったのはこの冒頭だけ。もちろんこの回の双子が絡んだ事件の捜査にも加わっているので、その後も画面には映るしセリフもあるが、正直、いてもいなくてもよかったレベル。
名波の冴えわたる推理で犯人に目星をつけたわけでもないし、彼の特殊スキルで証拠を固めて犯罪を立証したなんてこともないし、彼の秀逸な取り調べで犯人が自供したなんてこともなく、ただメンバーと一緒に普通に捜査していただけなのである。
そのように “ほぼ空気” 状態だったわけだが、名波(=相葉)の名誉のために言っておくと、残り2人の主人公も大活躍したわけではなく、さほど目立っていなかった。
■俳優陣のワンチームで魅せるドラマ
さて、主人公なのにあまり見せ場を与えられずにいる相葉は、不遇の扱いを受けているという見方もできるが、むしろ彼にとっては好都合なのではないか。
相葉はさすが国民的アイドルグループのメンバーだけあって華があり、いるだけで画が映えるものの、役者として “うまい” という評価を得ているわけではない。忌憚なく言わせてもらうと、演技そのもので視聴者をグイグイ引きつけるタイプではない。
だが、この『大追跡』というドラマは、大森南朋と松下奈緒という頼れる主役があと2人いるし、レギュラーには遠藤憲一に佐藤浩市、ほかにも伊藤淳史や光石研といった演技巧者が揃い、そんなキャラたちにもどんどんスポットを当てている。
相葉に主人公の肩書が与えられているが、実質的には群像劇の様相を呈しており、俳優陣はワンチームで作品のクオリティを上げているドラマなのである。
相葉のスター性に依存しすぎることなく、役者同士の掛け合いやストーリーでおもしろくしていこうという方向性。これが功を奏しており、相葉に毎回毎回がっつりスポットが当たるよりいい気がするのだ。
きっと座長のプレッシャーもさほどなく、まわりの先輩俳優たちに頼りながら気負いなく演じられるという、好循環が生まれているはず。相葉が主役でありながら “ほぼ空気” なのは、彼自身にとっても作品全体にとっても好都合に違いない。
今夜放送の第6話でも相葉演じる名波の活躍はそれほどないかもしれないが、俳優陣によるワンチームで、安定感のあるおもしろさを発揮してくれるはずだ。