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『愛の、がっこう。』15秒間の妄想シーンが切なすぎる…ラウールをただの「アイドル俳優」だと舐めてて申し訳ない!

Snow Manラウール
正直、このドラマを観るまで「アイドル俳優」という認識だったため、演技にはさほど期待はしていなかった。だが、ラウールの演技がいい。めちゃくちゃいい。
木村文乃が主演で、Snow Man・ラウールが恋のお相手役を務める『愛の、がっこう。』。高校教師とホストの純愛ドラマで、8月14日(木)に第6話が放送された。
名門私立女子校の国語教師・小川愛実(木村)は、ホストにハマッている生徒を連れ戻すため、歌舞伎町のホストクラブへ。そこで生徒が貢いでいたカヲル(ラウール)と出会う。
カヲルは達者なトーク力を武器にNo.1ホストを目指しているが、実は育った家庭環境が悪く、小中学校もまともに通っていなかったため、漢字の読み書きが苦手だった。カヲルが周囲の仲間にも隠していたそのコンプレックスを知った愛実は、読み書きを教える秘密の個人授業を開始。
次第に2人は恋愛的に惹かれあっていくというストーリーだ。
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■ラウールが見せた奥行きある二層の演技
第6話の時点で、はっきり告白したわけではないものの、2人はお互いに恋愛感情を抱いていることに気づいていた。けれど、愛実の婚約者や両親にカヲルとの関係を知られてしまったため、“お別れ遠足” として最後に遠出をし、2人で海まで出かけるエピソードがこの回で描かれた。
電車に乗って海のある駅まで訪れ、神社でお参りしたり、食事をしたり、なぜか急にパチンコに興じたりと、肩ひじ張らないデートを素直に楽しみ、夕方の浜辺でキスという展開。
この日のカヲルは明るいテンションで、嬉しそうにはしゃいでいる。しかし、それは当然、悲しみを隠すため。そんな別れのさびしさを紛らわすためのチャラい「陽キャ」の塩梅が、とても秀逸なのだ。
表面上はいつもどおりチャラいのだが、内面は未練や執着だらけで、本心では愛実と別れたくないと思っている様子が、ちょっとした表情や所作から醸し出されていた。
表面と内面の二層を表現する奥行きのある演技が求められていたわけだが、ラウールはそれをナチュラルに体現していたのである。
■前半の「陽キャ」ノリが後半とのギャップに
夜になり、海のある駅から別々の電車に乗って帰ることにした2人。
だが、これでもう会えなくなると思うと別れが惜しくなり、先に電車に乗る予定の愛実はなかなか改札に入れない。そこで、「せーの!」で背を向けあい、振り返らずにそのまま愛実はホームに向かうことに。
本当は互いの姿を見ずに別れるはずだったが、カヲルはズルをして、愛実が階段を上っていく後ろ姿を見送っていた。そして、ここでカヲルがたまらず「先生ぇ!!」と叫んで愛実の後を追っていく――という15秒程度の妄想シーンが挿入されたのだ。
要するにカヲルの心象風景のようなもので、現実の彼は改札前で立ち止まったまま。
涙をこらえながら愛実を追いかけていきたい衝動を必死に抑えているカヲルの感情が、大きな波のように視聴者にも押し寄せてくる非常に巧みな演出だった。とにかく、「せーの!」を提案してから「先生ぇ!!」までのカヲルの表情の推移が、狂おしいほどに切ない。
ただ、ラウールは切なさをストレートに表現した演技もうまいが、やはり悲しみを隠すために明るく振る舞う演技も素晴らしく、第6話前半の「陽キャ」ノリが後半とのギャップを際立たせていたように思う。
今夜の放送は第7話。物語は後半戦に突入している。
別れを選んだ2人が最終的に結ばれるのかどうかも気になるところだが、役者としてポテンシャルの高さを見せつけているラウールが、最終話までにどんな演技を見せてくれるのか、かなり期待している。