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阿部サダヲ『しあわせな結婚』タイトルの意味を徹底考察! 全方位のハッピーエンドが成り立つ条件とは?

《僕は…彼女を愛し続けることができるのか?》という不穏なキャッチコピーが躍る「マリッジ・サスペンス」ということで、そのタイトルに裏の意味があるのではないかと勘繰っていたが……。
8月21日(木)に第6話が放送された『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)。阿部サダヲが主演で、松たか子がヒロインを演じている。
テレビのコメンテーターも務める売れっ子弁護士・原田幸太郎(阿部)は、50年間「独身主義」を貫いてきたが、入院中の病院でネルラ(松)と運命的な出会いを果たして電撃結婚。
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しあわせな結婚生活がスタートする――と思いきや、新婚早々に現れた刑事・黒川(杉野遥亮)から、ネルラが15年前に婚約者を殺害した疑惑があると告げられてシリアス展開に。
第6話の段階では、幸太郎や黒川はネルラが犯人ではないと信じ、真犯人を突き止めようと奔走している。
■“裏の裏” でそのままストレートな意味?
『しあわせな結婚』というタイトルでありながら、早々に妻に殺人容疑がかかり、新婚生活は15年前の殺人事件によって暗い影を落とされているので、その作品名には皮肉った意味が込められていたり、なにか裏の意味が隠されていたりするのかと思っていた。
しかし、第6話を観終えた時点の筆者の考察としては、“裏の裏” でそのままストレートな意味の「しあわせ」を描くドラマなのではないかと予想している。
現在、ネルラ犯人説はかなり薄れているが、まだ彼女が真犯人である可能性も残っている。ただ、もしヒロインがそのまま犯人だった場合、ひねりがなさすぎるし、救いもなさすぎる。
そして第6話のラストに、ネルラの叔父である考(岡部たかし)が、自分が犯人だと警察に出頭しているのだが、これによって逆に考が真犯人説もかなり薄まった。
理由はいくつかある。
まず公式サイトの第7話あらすじを読むと、《しかし黒川は、考の供述に違和感を感じる。》という一文があり、第7話予告動画でも黒川の声で「本当にあの人が?」と疑っているセリフもあった。主要キャラの刑事が信じていないのであれば、おそらく “白” だろう。
次に、まだ中盤回である6話で真犯人が自首してきたのでは、物語として盛り上がりに欠けてしまうことも理由にあげられる。
また、第4話はネルラの父・寛(段田安則)が犯人なのではないかと思わせるラストだったが、第5話ですぐに疑いが晴れるという展開だったため、叔父・考もそのパターンになりそうだ。
ちなみに筆者は、真犯人を “家族以外の誰か” だと考えており、怪しいのは警察関係者だと睨んでいる。
■杉野遥亮は松たか子のもう1人の弟なのか
――だが、ここまで真犯人について言及しておいてなんなのだが、本作は「サスペンス」であって「ミステリー」ではないため、謎解きや犯人当てはストーリーにおいてそこまで重要ではないのかもしれない。
本作は《夫婦の愛を問うマリッジ・サスペンス》と謳われているので、主題は夫婦が信じあえるかどうかであって、真犯人が誰かということはあくまで副次的な要素にすぎないのではないか。
話がそれるが、本作には15年前の事件以外に2つの謎が出てきている。
1つ目の謎は、ネルラとはだいぶ歳が離れた弟・レオ(板垣李光人)の出生について。劇中のさまざまなシーンを追っていくと、ネルラとの歳の差が曖昧になっていることから、彼の誕生にはなにか秘密があるのではと見られている。
2つ目の謎は、ネルラとレオの間にはもう1人の弟・五守(ごしゅ)がいたのだが、6歳のときに海で亡くなってしまったという。事故について、実は五守は生きており、刑事・黒川が五守なのではないかという説が浮上しているのだ。
あくまで一例だが、五守は何者かによって助けられたものの記憶喪失になっており、救助した人物が自分の亡くした息子の代わりとして育てていたと仮定するなら、“五守=黒川” 説が成立するだろう。
黒川は最初にネルラを見たときから異様な執着心を抱いていたが、その理由はネルラに対する恋愛感情だとされている。一方のネルラも妙に黒川を気にかけており、どこか心を許しているような言動が散見されていた。
そのため現時点では、幸太郎・ネルラ・黒川による泥沼の三角関係の様相を呈しているのだが、“五守=黒川” が当たっているのであれば、ネルラと黒川が惹かれあっていたことも腑に落ちるというもの。
第5話では、急に父・寛の体調が悪くなり、ネルラが家の近くで張り込んでいた黒川に助けを求めて自宅に招き入れ、黒川が寛をおんぶして車で病院まで送るというシーンがあった。ネルラと黒川に恋愛感情があるという視点で見るととても不穏なシーンなのだが、“五守=黒川” だとすると、息子が父を背負って助けたという感動的な再会シーンに見えるわけだ。
■完全なハッピーエンドとなることに期待!
ここまでの情報を踏まえて、『しあわせな結婚』というタイトルの意味を改めて考えてみてもらいたい。
幸太郎は一時期ネルラが殺人犯なのではないかと疑っていたが、いまでは妻を信じている。そして、真犯人はネルラでも家族でもなく別の誰かで、さらに幼いときに亡くなったと思われていた五守が黒川として生きていたのだとしたら、このうえない全方位のハッピーエンドとなるだろう。
つまり、このドラマは、家族なんて不要だと思って独身を貫いていた主人公が、最愛の女性と結ばれ、その妻の父・叔父・弟とも本物の家族になり、しあわせな結婚生活を手に入れるという多幸感に包まれた物語なのかもしれない。
第1話からいきなり妻に殺人容疑がかけられるというサスペンス展開だっただけに、『しあわせな結婚』というタイトルには裏の意味があると思い込まされていたが、“裏の裏” でそのままの意味なのではないか。
今夜の放送は第7話。物語は後半戦に突入しているが、すべての不穏な要素がきれいに片づき、完全なハッピーエンドとなることを期待したい。