エンタメ・アイドル
「起用しづらい」「子どもがマネするかも」あいみょん、YOASOBIも「芸能人のタトゥー問題」元テレビプロデューサーが明かす本音とは

ファッションと同様、個性として若年層を中心に受け入れられつつあるタトゥー。しかし、芸能人のタトゥー問題はたびたび物議を醸すことが多い。
近年では、旧ジャニーズの手越祐也や「NHK紅白歌合戦」常連のYOASOBI・Ayaseの両腕埋め尽くしタトゥー、さらには老若男女に高い人気を誇るあいみょんのタトゥーが波紋を呼んだ。
「あいみょんさんは、8月発売の雑誌『GINZA』の表紙を飾り、左腕に施されたタトゥーを披露しました。その後も自身のInstagramでたびたびタトゥー姿を投稿しており、本人には隠すつもりがないと思われます。デビュー当時からのファンには周知のことのようですが、やはり拒否反応を示した人も多く、一部では『がっかりした』と落胆した声も聞こえてきました。
Ayaseさんのタトゥーはかなり広範囲にわたり、衣装では隠しきれないほど。6年連続となるはずだった紅白に不出場となったのも、タトゥーが原因だったのではとささやかれたほどです」(芸能記者)
では、肝心のテレビ局側は芸能人のタトゥーについてどう考えているのか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏はこう解説する。
「少なくとも2000年ごろまでは、少しでも映ったらアウトでしたね。刺青は反社を連想させると考えられており、彫師などの職業も映してはいけないという認識でした。
その時代に比べると、今はだいぶ緩くなっています。たとえば、刺青を入れる文化がある民族を紹介するなど背景がある場合や、外国の方が自身の主張のために入れている場合は、強調しないように気をつけて映すことはあります」(鎮目氏、以下同)
【関連記事:あいみょん「腕にタトゥ」写真で寄せられたガッカリの声…中高年層からの“熱烈支持”が裏目に】
しかし、やはり今でも、テレビ局と若年層の視聴者の間には、タトゥーに対する考え方に大きな差があると続ける。
「若い方はファッションのひとつとしてタトゥーを入れている人も多いのですが、テレビ局側の基準は、もともと暴力団とか反社が入れている刺青を基準にした考え方をいまだに持っているんです。
じつは、放送基準には『タトゥーを取り扱うな』ということが書いてあるわけではないんですが、どの放送局に聞いても “前向きな話” としてタトゥーを取り扱わないようにしているのが、今のテレビ業界のスタンスなんです。
若いテレビマンからは『映してもいいじゃないですか。タトゥーはファッションですよ』という声が強いんですが、上の世代は『やっぱり刺青が入っていると反社を連想させる』と、テレビマンの間でも世代間ギャップが大きいのも事実なんです」
とくにテレビ局側がタトゥーに後ろ向きな大きな理由のひとつは、「子どもが見る可能性がある」ことだという。
「“タトゥーはかっこいい“ とプラスに扱っていると、子どもがマネをして安易に入れてしまう可能性があります。要するに、『テレビのせいで子どもがタトゥーを入れた』と親から抗議が来るのは避けたいんですよね。
そこで、テレビ局がタトゥーを扱うときにいちばんやりやすいのは、“タトゥーを消した” という話。これはニュース番組でもよく特集しますが、タトゥーを入れて後悔したとマイナスに扱うやり方です。
しかし、やはり今を時めくアーティストさんがタトゥーを入れてテレビに出演すると、子どもにとっては “かっこいい” と映るでしょう。ですので、タトゥーを入れたアーティストさんやタレントさんの出演に局側は二の足を踏んでしまいます」
とはいえ、当然のことながら表舞台で活躍する芸能人が入れるタトゥーは、あくまで自己表現。反社会的な “威嚇” のためではない。
「アーティストさんにとっては、表現行為のひとつですよね。それを一概にダメというのは、はばかられますし、たとえば局から『起用したいのでタトゥーは入れないで』なんて言えませんよね。とはいえ、全面的にタトゥーをテレビで映すと後でクレームがくる可能性もあるし……テレビマンはみんな悩むところです。
結果的に、タトゥーが入っているとテレビ出にくくなるという傾向はあるでしょうね」
議論の尽きないタトゥー問題。“一律でダメ” という時代から変化しつつあるがゆえに、物議を醸すようになったようだ。