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松坂桃李が語る30代40代「ハードルを上げていく作業が必要」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.04.30 11:00 最終更新日:2018.04.30 11:00
「朝ドラに出演するのは『梅ちゃん先生』に続いて2回めです。『わろてんか』で見える景色というか、NHKの独特の現場スタイルは、何度経験しても勉強になりますし、楽しいです」
そう語るのはNHK連続テレビ小説『わろてんか』で藤岡てん(葵わかな)の夫・北村藤吉を演じた松坂桃李(29)だ。ファンの「藤吉ロス」を生み、死後も幽霊として劇中に登場して、てんを励ました姿は記憶に新しい。
「劇中での死後も、ファンの方々に愛されて番組に登場しているのは本当に光栄です」と笑う。
爽やかな朝ドラとは一転、公開中の最新主演映画『娼年』では、ボーイズクラブで複数の女性に体を売る美青年・森中領役を熱演。多数の女優たちとの性愛シーンではR18+指定の激しい濡れ場を披露している。この突き抜けた役に、松坂はどれほどの覚悟で臨んだのだろうか。
「この『娼年』は一回舞台をやっていて、三浦大輔監督と僕の中では今回の映画で作品が完結する気持ちなんです。覚悟という部分では、この仕事をやらせてくれた事務所には感謝しています。『松坂桃李』は本名ですが、CMにも出演する『松坂桃李』という商品でもあるんです。クライアントさんへの説得や調整が必要だったはずですから」
本作の娼年役に限らず、近年の映画での彼は、朝ドラやCMの明るい爽やかなイメージとは真逆の、闇にとらわれたかのような役を演じることが多い。2017年公開の『彼女がその名を知らない鳥たち』で「女性を弄ぶ男」、2018年2月の『不能犯』では「連続殺人者」。明らかに陰のある役を連続して演じている。
「わかっちゃいましたか(笑)。それは自分の中で、意識的にやっています。僕は今、29歳なのですが、これから30代で役者という仕事を続けていくための、僕なりのやり方なんです。30代に突入すると、やれる役は、どうしても狭まっていく部分も多いと思います。もう学生役は無理ですし(笑)」
「明るく爽やかな松坂桃李」のイメージを守り続けていく道もあったはずだ。
「自分の知名度を拡げるという意味では、朝ドラのような明るい役は本当に影響があると思いますし、やってよかったという印象しかないんです。朝ドラがきっかけでCMをいただいたこともありましたから。
ただ、20代半ばで、自分の中では『このままいくと甘えが出る』と思ったのも事実。年を重ねてもパブリックイメージどおりの役を続けていく俳優さんたちを素晴らしいと思うのですが、僕にとってはそれではハードルが上がらないというか……。
オファーが来たとき、撮影後の仕上がりまで自分の中で想像できてしまうような役者にはなりたくなかった。そのためにも、無理やりハードルを上げていく作業が僕には必要で、今はそんな時期なんですね」
「光」と「闇」、「陰」と「陽」を行き来する役者人生を楽しんでいるという。
「パブリックな僕と違うイメージの役を映画では与えてくださるコアな監督たちと仕事をご一緒するのは、めちゃくちゃ楽しいです。僕の新しい扉を開けるきっかけにもなるし、役者として生きていくための大切な時間です。
その一方で、役者は映像や舞台で感情を伝える仕事であるとともに作品を伝える、届ける役割もあると今は捉えています。
だから、現場で演じるだけでなく、バラエティ番組への出演や雑誌の取材も作品を伝える機会なので、とても大切に考えています。
常に役者としての自分を考えていますが、だらけたい部分もあります。撮影当日に『休みたいから雨降らないかなあ』なんて思うのも毎日のようにありますし(笑)」
松坂にとって、20代は「監督さんやスタッフ、ほかの役者さんとの出会いの時期だった」と熱く訴える。
「30代からは彼らとの再会の時期。緊張すると思いますが、役者としても自分の中に厚みをつけて、いい再会を重ねていきたい。30代は、40代の仕事がしっかりとできるような土台作り。20代で開けた自分の新しい扉があったとして、30代の10年間はその扉の中の色を深くしていく。それを徹底的にやって40代を迎えたいと思っています」
松坂の「貌」は、どう深みを増すのか。
まつざかとおり
1988年10月17日生まれ
神奈川県出身
2009年『侍戦隊シンケンジャー』でデビュー。
以降、テレビドラマ、映画、CMと多方面で活躍。NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』『わろてんか』に出演。最新主演作『娼年』が公開中、出演作『孤狼の血』が5月12日より公開
(週刊FLASH 2018年4月10日号)