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長澤まさみと夏帆「真逆な女優の魅力」を黒沢清監督が語る
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.05.05 06:00 最終更新日:2022.11.21 19:30
ある日突然、妻に「地球を侵略しに来た」と告白する夫。人間の身体を乗っ取り、人間が大切にしている「概念」を奪いながら密かに侵略を進める宇宙人たち。日常がそんな宇宙人から侵略されていく様子を描いた映画が『散歩する侵略者』だ。
「私はいつも、普通の生活の中に異物が入ってきて、日常が変化してしまうというテーマに魅かれるんです」
こう語る黒沢清監督が、同作で主演を務めた長澤まさみについて話す。
「初めてお仕事をご一緒したのですが、とっても気さくな方でした。ただ、本人にも言っていたのですが、何というか『煮え切らなさ』が凄かったですね」
煮え切らないとはどういうことか。
「監督としてお願いや指示をした時に、素直に『はい』と言ってくれない感じがあるんです(笑)。『あ、はい…』みたいな。指摘したら、『私そうなんですよ。なんかはっきりしないみたいで…』と自分でも言ってました。でも、いざお芝居するとまったく迷いがないのが凄いところですね」
『散歩する侵略者』は、日常に根ざした実写のSF映画。「宇宙人が概念を奪う」という描写は、一歩間違うとかなり難解になるため、映像や音でわかりやすい表現を心がけたという。
一方、スピンオフ作品である『予兆 散歩する侵略者 劇場版』は、同じ設定を生かしながら、まったく別の雰囲気を持つ恐怖映画となっている。こちらに主演した夏帆の印象は、長澤まさみと真逆だったという。
「竹を割ったような性格で、本当にはっきりした女優さんでした。サバサバしていて仕事もやりやすかったですね。僕は本当に大好きな女優さんで、これは褒めているんですけど、色気がないと言うと何ですが、男に媚びるようなところがまったくない女優でした。
他の作品を拝見すると色っぽい演技を披露している作品もあるので、ああ、監督の要求によってどうにでも変化できる方なんだなと納得しましたが」
これまで長編を20作以上撮っている黒沢監督。現在は2019年公開予定の『世界の果てまで(仮)』を制作中だ。
「私は何作撮っても作風が安定しないのですが、それこそが自分の特徴かとも思っています。ただ、常にこれまでやってないことをやりたいと思っています。真面目に『娯楽映画』の本質を見極めつつ、観客の目を釘付けにする瞬間を作りたいですね」
撮影・福田ヨシツグ
くろさわきよし 1955年、兵庫県出身。『神田川淫乱戦争』(1983年)で監督デビュー。ホラー作品を中心に国内外で評価を得る。主な監督作品に『CURE』(1997年)、『回路』(2000年)、『トウキョウソナタ』(2008年)、『クリーピー 偽りの隣人』(2016年)など
※『散歩する侵略者』『予兆 散歩する侵略者 劇場版』のBlu-ray&DVDがリリース中