エンタメ・アイドル
お笑い賞レースこうやって盛り上げる「前説の極意」(1)
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.05.17 16:00 最終更新日:2018.05.17 16:00
日本最大のお笑い賞レース『M-1グランプリ』、コント王者を決める『キングオブコント』、『女芸人No.1決定戦 THE W』の盛り上がりを支える前説芸人。テレビに映らない職人技にスポットライトを当てる!
【極意】どの出演者よりもスベるべからず!
くまだまさし(以下くまだ)「『M-1』の前説芸人たちには、お約束が。前説終わりに楽屋へ戻ると、全員でモニターをチェック。トップバッターが出てきたときの拍手の大きさ、最初のボケに対するお客様の笑い声で、会場が盛り上がったことを確認すると、互いに握手をして、称え合うという儀式をしています」
ーー2017年、ダウンタウン・松本人志が『ワイドナショー』で話題にしたように、お笑い賞レースの盛り上がりは、前説の影響が大きい。『M-1グランプリ』『THE W』の前説をした、くまだまさしとレギュラーがスベり知らずの極意を語る。
くまだ「ダウンタウンの松本さんに『M-1』決勝の舞台裏でお話ししましたが、第一声が『お客さんどうやった?』だったんですよ。お客さんが “あったかい” か “重い” かをずいぶん気にされていましたね」
レギュラー松本康太(以下松本)「前説がウケないと、5、6割方悪い方向にいきますもんね」
くまだ「だから前説は、どの出演者よりもスベってはいけない。ものすごいプレッシャーがかかります」
レギュラー西川晃啓(以下西川)「そうやって聞くと、固唾をのんでトップバッターの1ボケめを見守る気持ちがわかりますでしょ?」
【極意】客だけでなく演者も起こすべし!
松本「くまだ先生がすごいのは、本番前の出演者の楽屋にも平気で入るところ」
くまだ「昨年の『M-1』で前説に行く前に、出演者たちに挨拶に行ったんですよ。『これからお客さんを起こしてきます』と。その瞬間に、出場者全員が『オー!』と沸き立ってくれて……」
西川「出演者だったら嬉しいよな〜。先輩が後輩のためにしてくれる前説は心強いし、ぐっときますよ」
くまだ「演者にも高揚してもらわないと」
松本「会場が盛り上がったおかげで、彼らはやりやすかったんじゃないですか?」
くまだ「でも僕は怒られましたよ。ゆにばーすと、マヂカルラブリーに。『くまださん、起こしすぎです』って(笑)」
松本「よっ! 大先生!」
【極意】うまいネタで自己PRすべからず
くまだ「コンテストの決勝進出者と私たちの明らかな違いは、頭を使わずに単純に笑えるネタをしているところなんですよ」
松本「たしかに鼻で風船を膨らませたり、あるある探検隊のリズムネタを見て、『奥深いな〜』とは思いませんね(笑)」
くまだ「笑わせるより、笑われろ!」
西川「あくまでも前説は番組を盛り上げるための前座なので、ネタがうまくても、会場が温かくならないとダメやと思います」
くまだ「賞レースを見るお客さんは、どうしても審査員の視点になりがちですから」
松本「昔、コンテストに出たときに会場の空気が重くて、ガチガチに緊張してしまったことがあるんです。だから、自分たちが前説をやることになったら、出演者がやりやすい雰囲気を作ろうと決めていました。そのための技が、“誘い笑い” と “拍手”」
くまだ「どんな手を使っても盛り上げればいい。『スベったから拍手!』とか『お姉さんがかわいかったから拍手!』とか、なんでも拍手に繫げるのも、前説技」
松本「我々がうまくボケてもしゃあないんです。それは演者さんがやりますから」
西川「前説は自己犠牲の精神です」
くまだ「自己犠牲なんて聞いたら、逆にかわいそうで笑えなくなっちゃうよ(笑)」
にしかわあきひろ
38歳 1979年8月11日生まれ 京都府出身 気絶ネタをする。鉄板ネタは「あるある探検隊」。最新情報は公式ツイッター(@regu_nisikawa)にて
まつもとこうた
38歳 1979年5月16日生まれ 京都府出身 1998年にコンビ結成。最新情報は公式インスタグラム(@aruarutankentai.matsumoto)にて
くまだまさし
44歳 1973年7月26日生まれ 東京都出身 芸歴21年。スベったことは、5回しかないと豪語するピン芸人。最新情報は公式ツイッター(@kumadamasashi)にて
(FLASH DIAMOND 2018年4月15日増刊号)