乃木坂46「衛藤美彩・伊藤純奈・久保史緒里」が舞台を語る

　物語の舞台は100年以上前のロシア。かつて暮らしていたモスクワに戻れる日を夢想しながら、片田舎で暮らす姉妹を主人公に描いたチェーホフ作品（演出・赤澤ムック 翻訳・浦雅春『ワーニャ伯父さん/三人姉妹』光文社古典新訳文庫）に、乃木坂が挑んだ。

　長女のオリガ役を衛藤美彩、次女のマーシャ役を伊藤純奈、そして、三女のイリーナ役を演じたのは、久保史緒里だ。見事に公演を乗り切り、絆が強くなったという3人に、貴重な日々を振り返ってもらった。

ーー3人で集まるのは舞台以来？

衛藤　そうですね。ファンの方からは、舞台の感想を今もやむことなくたくさんいただいています。

伊藤　14歳で乃木坂に入ったんですけど、「もう大人になったんだね」「色気が出てたよ」って言っていただけます。不倫をする役なので（笑）。

久保　3期生公演以外で舞台に立たせていただくのは初めてだったので、学ぶことが多かったです。イリーナはおてんばで明るい役なんですけど、役柄そのままに舞台裏でははしゃいでいました。先輩2人にもかまってもらいました。

ーーそれぞれ別の期に乃木坂46入りしていますよね。それまでの仲は？

衛藤　純奈とは6年くらい一緒にやってきたけど、不思議とお仕事が一緒になる機会が少なくて。純奈という人と初めて向き合いました。すごく優しい人なんです。ほら、第一印象は背も大きいし……。

伊藤　声も低いし、顔もキツいし……。

衛藤　そこまで言ってない（笑）。繊細で優しい人なんだなってわかりました。しーちゃん（久保）のことは、稽古に入る前にすごく心配だったんです。悩みがあっても抱え込んじゃうタイプかなと思っていたから。でも、純奈と仲よくなることで、殻が破れたよね。

久保　人見知りなのに、この2人の前ではなんでも話せるようになりました！

ーーと言いつつ、『乃木坂工事中』（テレビ東京系）の好きな先輩にプレゼントを渡す企画では、衛藤さんではなく生田絵梨花さんに渡していましたよね？

久保　いや、それは、違うんです！

衛藤　ショックだったな〜。私も立候補したのにな〜。

久保　あれから収録のことを引きずって、何を言っても噓に聞こえるんじゃないかと思うようになって……。 

伊藤　いろんな先輩に「いちばん好きです」って言ってたんだよね？ 

久保　「いちばん」とは言ってないです！

衛藤　でも、その収録の後、青森に行ったお土産に、りんごジュースを買ってきてくれたんだよね。美味しかったよ。

伊藤　私、もらってない……。 

久保　あ〜〜！　今度買ってきます！ 

伊藤　冗談だよ（笑）。 

ーー舞台を経験して変わったことは？ 

伊藤　公演を重ねていくうちに、いくつかの変化を入れて演じることができたのは収穫でした。 

久保　舞台で得た表現力ってライブでも生かせるんじゃないかと思います。 

衛藤　マイクを使わない舞台は初めてだったので、声の出し方を勉強することができました。 

ーー最後に、お気に入りのセリフを書いてもらえますか？

衛藤　終盤に出てくる「もう少し経てば、私たちが生きてきた意味も、苦しんできた意味もきっと分かるはず」です。オリガは世界にいつか幸せが訪れることを願っているけど、現代を生きる私たちはそうじゃないことを知っています。戦争だってなくなりませんし。このセリフを言うときは胸が苦しかったですね。 

伊藤　私は、「入江のほとりに、緑なす樫の木ひとり」です。最初のセリフもこれだし、何度も繰り返すセリフなんですね。マーシャはこのことの意味がわからないまま舞台は終わるので、マーシャ自身をよく表わしているなと思います。

久保　私は、「あたし分かってる、あたしたちモスクワには行けないのよ」です。モスクワ行きを夢見ていたイリーナが初めて現実を知るのが、このセリフを言うときなんです。それがこの物語の大きなポイントになっています。

衛藤　また3人で舞台やりたいね？ 

久保　今度は歌ってみたいです！ 

伊藤　そうだね、やりたーい！

えとうみさ 
1993年1月4日生まれ　大分県出身　AB型　T163　2011年、1期生として乃木坂46入り。2013年、『バレッタ』で初の選抜メンバーに。2014年、舞台『Mr.カミナリ』に出演。2018年4月より『プロ野球ニュース』（フジテレビONE）に出演中

いとうじゅんな 
1998年11月30日生まれ　神奈川県出身　A型　T166　2013年、2期生として乃木坂46入り。2015年、研究生から正規メンバーに昇格。2017年4月上演の『犬夜叉』をはじめ、舞台には4作出演している

くぼしおり

2001年7月14日生まれ　宮城県出身　O型　T159　2016年、3期生として乃木坂46入り。2017年8月より雑誌「Seventeen」のモデルを務める。発売中のシングル『シンクロニシティ』で初の選抜入りを果たした

写真・松田忠男
スタイリスト・八杉直美
ヘアメイク・松永奈巳、大西麻理