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山田洋次『男はつらいよ』でどうしても納得いかなかった場面
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.06.08 11:00 最終更新日:2018.06.08 11:00
映画監督の山田洋次が、6月2日放送の『サワコの朝』(TBS系)に出演し、『男はつらいよ』(1969年)の舞台裏について語った。
フジテレビの連続ドラマが始まりだったという寅さんシリーズ。脚本家として関わっていた山田は、自ら映画化し、監督することになった。
渥美清との出会いを「2日ぐらいゆっくり話をしましたね。渥美さんていう人をよく理解できたような気がした」と振り返る。
「テキ屋でフーテン暮らしで、ときどき帰って来ると妹がいて、というシチュエーションは、彼と話しているうちに生まれた」
寅さんが劇中で披露するテキ屋の台詞は、映画の見所のひとつだが、山田はこう説明する。
「あれは彼が少年時代から(テキ屋に)憧れていて(覚えたもの)。いくらでも言えるんですから。僕が彼に聞いて、全部写して台本にした。大変な記憶力で、(台本を)現場でも読まない。それぐらいの人」
ここで司会の阿川佐和子が、1作目で納得いかなかった山田が撮り直しした件について話を振る。
「第1作のときに、正直、僕は渥美さんとうまくいかなかった。コメディアンはいろんな面白いことをやって笑わせるでしょう? アドリブが多く、サービスをするんです。(監督の)僕はそれが違うと思うわけです。僕の表現の世界があるからその通りやってほしいと」
問題の場面は、寅さんの妹・さくらが結婚を報告するシーン。
「寅はびっくりして思わず『うんうん』と頷く。このクローズアップシーンがどうもうまくいかない。いろんな芝居を渥美さんはする。『いやそうじゃない、じっとしてて、呆然としてて、それから頷けばいいんだ』と。(指示したが)現場でうまくいかなかった」
いったんはOKを出したものの、編集後この部分がどうしても気に入らなかった山田。渥美に「あのカットをもう1回だけ撮らせてくれ。3秒か4秒じっとして、それから頷いてくれ。他のことはしないでいいんです」と頼み込んだという。
番組では、2作目から渥美の演技に対する姿勢が変わり、「なんて頭のいい人なんだと思いました」と明かしていた山田。この2人の関係性があったからこそ、48作まで続く名シリーズになったのだろう。