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サザンどこか凄いのか?マキタスポーツとスージー鈴木が語り尽くす
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.18 06:00 最終更新日:2018.08.18 06:00
デビュー当時、「コミックバンド」と揶揄されたサザンが、世間や業界のタブーを破り続けて40周年! ミュージシャンのマキタスポーツと音楽評論家のスージー鈴木がサザンについて語り尽くす!
鈴木 初期サザンでベストなアルバムを一枚選ぶと、私もマキタさんも7th『人気者で行こう』。魅力はどこですかね?
マキタ 僕は1984年の『ミス・ブランニュー・デイ』がサザンを見直すきっかけになったんですよ。あのサザンがピコピコっていうシンセのイントロで始まる曲を作った。しかも、超印象的なフレーズで!
鈴木 サザン、テクノやってみた、ですね。
マキタ この曲、楽曲構造がすごいんですよ。中学時代に英語の先生が「マキタ、これ不思議だと思わない? 最初に『夢に見る姿の』って、すごく高い音から始まるけど、だんだん落ち着いていってないか」って。
あのとき僕も不思議だったんだけど、そうか、なるほど、って思ったんですよ。サビといわれているキャッチーな部分をピークの音に持っていくべきものが、逆になってて。セオリーをひっくり返していることにわくわくしました。
でも、この『ミス・ブランニュー・デイ』は、シングルカットするか、せめぎ合いがあったらしいですね。
鈴木 当初、『海』がシングル候補だったけど、ぎりぎりで『ミス・ブランニュー・デイ』に変わったんですね。あと、『海』のイントロのメジャーセブンス(コード)がね。素晴らしいんです。
マキタ このメジャーセブンスを聴いたら、ほんとにエッチしたような気分になったっていう(笑)。当時、まだ僕はチェリーボーイでしたけど、すごくアダルトな気分になった。『海』も最高!
鈴木 私もここから一曲選べと言われれば『海』でしょうね。ほんとに海が見える感じがする、メジャーセブンス。そして、ファンキーサウンドの『よどみ萎え、枯れて舞え』。
マキタ あぁ、いいんですよね。この曲は言葉のチョイスに驚きましたね。
鈴木「いつも心に愛倫浮気症(アイリン・ブーケ・ショウ)」
マキタ 何を言っているのかさっぱりわからないけど(笑)。
鈴木 1曲めの『JAPAN EGGAE』も、「愛苦ねば世も知れず」とあって。
マキタ すごいですよね。
鈴木 いいですよね。
マキタ『夕方 Hold On Me』も、メロディがあっちこっちいって、僕の好きな要素がたくさん詰まってる。
鈴木 B面の1曲めが『海』で、2曲めが『夕方 Hold On Me』。この2曲は、過去のサザンのアルバムの並びのなかでも最強でしょう。
マキタ 最強だと思いますね。
■2人のベストシングルは?
鈴木 僕は『メロディ』です。初期サザンの総括で、「大衆性」と「実験性」の融合。
マキタ どこが「大衆性」なんですか?
鈴木「いい女にはForever 夏がまた来る」のメロディですね。
マキタ キュンとなりますね。日本人はみんな大好き。ところが間奏で、アバンギャルドになります。
鈴木 驚きましたね。サックスのソロが「ミレドミレドミレドミレドミレドミレドミレドミ!」。名サックスプレイヤーの矢口博康さんを呼んでおいて、こんなフレーズを(笑)。
マキタ ひとっつもおもしろくないですよね。あれをずっとやるって(笑)。
鈴木 あのソロを矢口さんが自発的に吹いたとは思えないんですよ。誰かのディレクションですかね。マキタさんのフェイバリットシングルは?
マキタ『勝手にシンドバッド』ですね。結局、そこかよ! って言われちゃうけど、あんな曲は誰にも書けないですし。
鈴木 殿堂入りですね。
マキタ 歌謡史的にね、大衆性があって小学2年生でもわかるし、大人も食いついて。良識的な人だけがプイッとそっぽを向いただけ。そしてベースがすごく“人懐っこい”。
鈴木 親近感がありますね。
マキタ 16ビートだけど、ちゃんとベースラインが大衆と手を組む構造になっています。
鈴木 日本のロック史で、以前、以後、といえる曲は、『勝手にシンドバッド』だけです。
マキタ そうなんですよ。
鈴木 まさに突然変異だけど、それまでのロックのさまざまなボーカルを包括していて、そのどれよりも実験的で大衆的なんですよね。