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女優・田中道子『ブラック・ジャック』から勇気をもらった
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.11.17 20:00 最終更新日:2018.11.17 20:00
そんな田中に、とくにお気に入りのストーリー7つを紹介してもらった。
【マイ・ベストストーリー1「ふたりの黒い医者」】
ドクター・キリコは、元軍医でB・Jの宿敵。「治療の見込みのない患者は、苦しませるより静かに息を引き取らせたほうがいい」という信念のもと、安楽死を請け負う。
「事故に遭い、寝たきりになった母親が、子供たちに迷惑をかけまいとキリコに安楽死を依頼します。
一方で子供たちは、母を救うためアルバイトして貯めたお金でB・Jに手術を依頼します。B・Jはキリコを阻止して難しい手術に成功しますが、その直後、交通事故で親子ともども亡くなってしまうんです。
ふだんはクールでポーカーフェイスなB・Jが、動揺しながら『それでも私は人をなおすんだっ 自分が生きるために!!』と叫ぶところが大好き。B・Jの信念がわかる、名シーンだと思います」
【マイ・ベストストーリー2「その子を殺すな!」】
ハリ・アドラは心霊手術で病気を治す、話題の超能力者。B・Jとアドラの対決を企画した週刊誌の記者により、B・Jのオペに現われたアドラは、超能力でメスを曲げ、手術ができないよう画策する。
「子宮外妊娠の患者の手術をするんですが、B・Jはレントゲン写真を見て、母親を助けるため胎児を犠牲にすることを決めます。
そこへアドラがやってきて『母親も子供も救ってみせる』と心霊手術をおこない、子供を取り出すのですが、子供は生まれても生存能力がない状態でした。そのことを写真を見て事前に知っていたB・Jは『医者は患者のためなら悪魔にもなることがある』と突き放します。
読み手に、この選択はどちらが正しかったのか、と問いかけるようなストーリー。私も母親の気持ちになって読んでみたりして、すごく考えさせられました」
【マイ・ベストストーリー3「上と下」】
突然、大動脈瘤が破裂し、大企業の社長が倒れた。輸血に必要な血は数百人に一人というRHマイナス型。偶然、近くの工事現場で働いていた作業員の血液型が一致し、手術は成功する。B・Jの要求した手術代は、5000万円だった。
「社長は元気になって、社運を懸けた契約のためアメリカへ向かおうとしていたんですが、まさにそのとき、今度は作業員が事故に遭って。RHマイナスの血が必要になるんです。
社長は引き留める社員を振り払って病院へ向かい、作業員は助かります。でも、会社は倒産してしまいます。一文なしになった社長と作業員のところに、B・Jが『手術代のお釣り』と言って、4990万円の小切手を置いて去っていきます。
B・Jはお金が欲しいのではなく、その人の『覚悟』を見たいんですね。やることが、粋!」
【マイ・ベストストーリー4「えらばれたマスク」】
20年近く音沙汰のなかった父親からB・Jに電話があった。父親は、息子と妻を捨て、マカオで実業家として成功していた。B・Jが整形を得意としていると知り、現在の妻の整形手術を依頼してきたのだ。父親の要求は「妻の顔を世界一の美女にすること」。
「B・Jは整形手術をしながら、父親に『いまでもおかあさんを少しは愛していますか?』と尋ねます。それに対し父親は『愛してはいない!』と答えるんです。
手術から1カ月、顔の包帯を取ると、妻の顔はB・Jの母親の顔でした。父親は『あの女の顔だ!!』とショックを受けます。これも、残酷なB・J流の復讐劇ですね」
【マイ・ベストストーリー5「ピノコ・ラブストーリー」】
ラブレターを書くため、B・Jに漢字を教えてもらおうとする助手の少女ピノコ。公園でピノコが5歳の男の子と遊んでいる様子を見て、B・Jはラブレターの相手はその男の子だと思うのだが……。
「その男の子が、おなかが痛いといってB・Jのところに運び込まれます。じつはこの子は、内臓がすべて左右、逆になっていて。B・Jは手術にてこずりますが、ピノコの助けもあってなんとか成功します。
そして、ピノコの書いたラブレターは……。ラストシーンは、B・Jがピノコを大事にしているのがよくわかります。
中学生のころ、ピノコのまねをしてたんですけど、そのきっかけになったのがこの話です」
【マイ・ベストストーリー6「六等星」】
「真中病院」では次期院長の座をめぐり、2人の医師が壮絶な票争いを繰り広げていたが、ともに買収容疑で逮捕されてしまう。
2人とほぼ同じキャリアがある椎竹医師は、地味で出世欲もなく、誰からも相手にされない存在だが、医師としてのたしかな腕を偶然、B・Jに目撃される。
「瀕死の患者が運ばれても執刀する医者がいない、と病院からB・Jに依頼が届くんですが、そこでB・Jは椎竹医師を推薦します。
星は一等星から六等星までに分類されて、一等星は大きく見えて、六等星はほとんど見えません。でもそれは遠くにあるだけで、実際には一等星より大きな星かもしれない。
真中病院の椎竹医師を六等星にたとえて、B・Jがピノコに、父親のような優しさを見せる貴重なエピソードです」
【マイ・ベストストーリー7「不発弾」】
砂地とわずかな草地、そして、555個の地雷が埋まる小さな島に、B・Jは名士の社長を気球に乗せて連れ出す。社長はかつて自衛隊員で、不発弾の処理作業を担当していた。
完全に処理の終わっていない状態で売却された土地で、不発弾が爆発。そこにいたB・Jは瀕死の重傷を負い、彼の母親は寝たきりの状態になったのだ。島に社長を置き去りにし、B・Jの復讐劇が始まる……。
「元自衛隊員は埋まっていた地雷の爆発に巻き込まれ、重傷を負います。そしてB・Jの治療を受け、かつて賄賂をもらって不発弾に注意を促す立て札を撤去したことを自白します。
B・Jがやっていることは、残酷だし、めちゃくちゃ。やられたことをやり返すというのはまるで子供だし、けっして善人ではありません。でも、そのダメなところが人間らしいなって思います」
たなかみちこ
1989年8月24日生まれ 静岡県出身 「ミス・ワールド2013」日本代表。2016年、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜」(テレビ朝日系)で女優デビュー。現在、『ドロ刑―警視庁捜査三課―』(日本テレビ系)に、霞沙織役でレギュラー出演している。
※ファースト写真集『M』が発売中
(週刊FLASH 2018年11月13日号)