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霜降り明星が優勝「M-1グランプリ2018」舞台裏をすべて書くエンタメ・アイドル 投稿日:2018.12.03 22:32

霜降り明星が優勝「M-1グランプリ2018」舞台裏をすべて書く

(c)2018 M-1GRANDPRIX、(c)ABCテレビ/吉本興業

 

 漫才日本一を決める「M-1グランプリ2018」決勝が、12月2日、ABCテレビ・テレビ朝日系で生放送され、20代半ばの若手コンビ・霜降り明星が優勝を果たした。

 

 平成最後のM-1に、初の平成生まれの王者が誕生した。M-1史のターニングポイントになるであろう今大会について、スタジオで生観戦したレポートを交えてお届けする。

 

 

 今年のファイナリスト10組は、昨年からの連続決勝進出が6組(スーパーマラドーナ、かまいたち、ジャルジャル、ゆにばーす、和牛、敗者復活戦を勝ち上がったミキ)に対して、初進出組が4組(見取り図、ギャロップ、トム・ブラウン、霜降り明星)。

 

 優勝候補として名前が多くあがっていたのは、和牛やジャルジャルら決勝経験組だった。

 

「M-1グランプリ」は、雰囲気づくりが非常にうまい。スタジオでは生放送の20分前から観覧客の空気を温めるために前説が始まる。

 

 まずはレイザーラモンが前説MCとして登場し、「M-1あるある」を披露。続いてピン芸人のバイク川崎バイク、くまだまさしがパフォーマンスし、客席をリラックスさせる。

 

 番組前説でよく見るものに「拍手の練習」と「声(歓声)出し練習」があるが、バイク川崎バイクは客の手拍子を自然に即すネタ、くまだまさしは客席を巻き込んで歓声を上げさせるネタ。改まることなく笑わせながら、自然とその2つの練習ができるのだ。

 

 カウントダウンが流れるなか、ギリギリまで空気作りをしたところで、番組がスタート。まずは審査員が入場。それを横目で見ながら、MCの今田耕司、上戸彩が立つ真裏の待機ゾーンに続々と芸人が入っていく。

 

 松本人志をはじめ、上沼恵美子などそうそうたる面子を見ると、客席にもいったん緊張感が復活してしまう。「漫才師たちの運命を決める戦い」という緊張感も相まって、序盤は客席の空気が重かったことは否めない。

 

 そんななか、登場した1組目の見取り図。高得点は得られなかったが、ネタを終えて待機ゾーンに戻った瞬間、ほかの9組が拍手で迎える音が聞こえてきた。

 

 2組目のスーパーマラドーナもネタの出来はよかったものの高得点には結びつかない。だが、MCの今田耕司が「(客席の)笑いの質が変わった」と言ったように、3組目のかまいたちで空気が一変。この日最初の爆発的な笑いが起きた。

 

 その空気にうまく乗ったのが4組目のジャルジャル。昨年に続いてフレーズを繰り返す形で、ゲーム性の高い、見ても聞くだけでもおもしろいネタがハマる。松本人志にいたっては笑いすぎて途中しばらく上を向いたまま、耳だけでネタを楽しんでいた。

 

 決勝後に生配信された、千鳥がMCを務めた打ち上げ番組『M-1打上げ』で2人が語ったところによると、ツッコミの後藤淳平が何個目のフレーズでツッコむかはその場の空気で判断していて、決まりがないそう。これには千鳥のツッコミであるノブが「すごない!? オレやったら『何個めでツッコむか決めといて~』って言うてまうわ」と舌を巻いていた。

 

 客席の空気がぐんぐんとよくなるなか、5組目のギャロップ、6組目のゆにばーすと続くが、残念ながら思うような結果は出せず。

 

 次いで登場した、敗者復活戦から勝ち上がったミキは、昼間に生放送された敗者復活戦とは違うネタで勝負。昨年のM-1で3位になったのを機に、全国区芸人の仲間入りをした彼らが実力を見せつけて暫定2位に浮上した。

 

 8組目はトム・ブラウン。毎年1組、上沼恵美子からキツめに評される芸人が出てくることから、今年の「上沼怒られ枠」候補と言われていた彼ら。クセになるツッコミフレーズが耳に残るトリッキーなネタで、スタジオ全体の空気を支配することに成功。

 

 ネタ冒頭では唖然とした表情で見ていた上沼をはじめとした審査員が、徐々に身を乗り出して大爆笑。今田はハンカチで涙を拭きながら腹を抱えて笑い、舞台正面から撮るカメラマンさえこらえ切れずに大笑いしていた。

 

 会場がヒートアップしたなかで登場したのが、9組目の霜降り明星だ。舞台を縦横無尽に動き回るせいやと、的確にツッコミを放つ粗品。「端的でキレがあって、独創的なツッコミ。ボケの運動量が多くて、動き回るのが持ち味。その掛け合わせで見たことのない漫才を見せられているのが強み」だという彼らが、まさにその通りの漫才を見せて最高得点をたたきだした。

 

 舞台から下がった粗品が、「よし!」とガッツポーズをする声も聞こえてきた。

 

 ラスト10組目は和牛。過去2年連続で準優勝と、あと一歩のところで涙を飲んできて、M-1優勝に対して並々ならぬ思いを持っている彼ら。周囲の期待も大きいなかで、プレッシャーに押しつぶされることなく盤石の漫才を披露。危なげなく最終決戦に進んだ。

 

 上位3組で戦う最終決戦に進んだのは、最終決戦への進出経験を持つジャルジャルと和牛、初の霜降り明星。頂上決戦にふさわしい、熱のこもった漫才の連続。ジャルジャルの福徳秀介はネタが終わって裏にハケたとたんに床に伸びていたほどで、どの組も力を出し尽くしていた。

 

 3組のハイレベルなネタが終わった瞬間、松本と上沼は顔を見合わせ、サンドウィッチマン・富澤たけしは天を仰ぐなど審査員は一斉に苦悶の表情。空気が張り詰める。

 

 そして最終結果発表へ。

 

 M-1では、発表前に上戸の「発表は今年もCMの後です」の一言で3組全員がコケるというお約束があるのだが、その直前のCM中、和牛が霜降り明星にカメラを指しながらコケの撮られ方を教えるという微笑ましいシーンが。見事なコケに対してCM中に客席から拍手が起こり、和牛の川西賢志郎が客席に拍手を返すという一幕もあった。

 

 いよいよ優勝者発表のとき。霜降り明星4票、和牛3票で霜降り明星が優勝。その瞬間、せいやは絶叫し、粗品は感極まる。優勝トロフィーを手渡した松本の目にはうっすら涙が光っていた。

 

「後半みんなチームプレーみたいな感じで漫才を盛り上げてくれてるのが、俺もおっさんになったのかな。泣きそうになってる」と話した松本は、放送が終わった直後、「ちょっときたなー」と続けた。
 

 

 その後、今田が客席に「みなさんもありがとうございました」と礼を述べるのに合わせて、松本が照れたように顔を横に向けながらペコリと頭を下げた姿が印象的だった。

 

 優勝直後の記者会見で、その名も「漫画家」というコンビを組んで今大会に参戦し、準々決勝まで進出した漫画家の森田まさのり氏からの「2人にとってM-1とは?」との質問に、「M-1を見てお笑いを志した。好きすぎで優勝した」(せいや)、「夢であり、青春という言葉が似合う大会」(粗品)と答えた2人。

 

 前述の『M-1打上げ』では、かまいたち濱家隆一が「昔から一緒にやってきたメンバーと戦えたのが幸せだった。卒業式的な感じがありました。なんか泣きそう」とも話していた。今年のM-1は松本の涙まで含めて、「青春感」の高い、熱い大会だった。
(取材、文/松田優子)

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