――純烈での小田井さんは、どういうポジションでしょう?
「ぼくはステージで、一時期はオネエキャラなんかも使いながら、『愛のある』お客さんいじりをしていますので、口が達者のように思われているんです。
ところがプライベートでは、ほとんどしゃべらない人間です。いま生きているなかで、ステージ上が一番しゃべってますね(笑)。
ステージ進行は酒井が回す、という基本スタンスは変わらないのですが、昔から僕らのMCは毎回フリートークなんです。活動初期は、少数のありがたいファンが日本全国に駆け付けてくださっている状況でしたので、毎回同じMCができなかったという(笑)。それでアドリブトークが磨かれました」
――営業活動では、ご苦労も多かったことでしょう。
「俳優として活動していたキャリアもありましたので、『超絶貧乏』などといった大きな苦労はなかったのですが、自分の中でいつも葛藤はありました。
純烈の活動開始時、ぼくは36歳。歌手としては新人でも、芸能人として『新人』と呼べる年齢ではないですし、年齢との戦いはずっとあったんです。
地道な活動がメディアの人の目にとまり、世間の方がちょっと注目してくださったときは、もう40歳を超えていました。いまの純烈は、生で踊って歌うスタイルなので、体力的なしんどさは感じます(笑)。
紅白も決まり、ようやくブレイクと呼べる状態になったいま、自分たちの力以上に、純烈は運がよかったと感じています。ここ何年かで、健康センター自体がクローズアップされるようになってきて、そのときにちょうど、ぼくらがそこで歌っていた。
紅白を経て、この先も前進していくために、このスタイルでどこまで勝負できるかがポイントです。直接触れ合うことができるお客様の人数にも、限界はありますし」
――なるほど。公演と撮影会を見て、純烈ファンの熱の高さを感じましたが、印象的な思い出はありますか?
「熱烈に応援してくださっているさなかに大病を患った方が、数年後再び来てくださったことがあったんです。そのときは本当に嬉しかった。
その方が『私、純烈にもう一度会いたいから頑張ったよ』と言ってくださったとき、小さな存在ではありますが、『僕らが命を繋ぎ止めるきっかけになったのかも』と感動しました」
――そんなファンの期待を背負った紅白が目前ですが、ファンや奥さま以外には誰に気持ちを伝えたいですか?
「その前にまずは一言、ファンの皆様への感謝は揺るぎません。あとはもちろん、当初からぼくらの活動に賛同してくれた、スタッフの皆さんですね。
あとじつは、ヒップホップアーティストのSoulJaさんに感謝しているんです。彼とは前の事務所が一緒で、レコード会社も同じレーベルでした。
彼が売れた実績によって、同じ事務所にいた僕らがCDデビューできたというところも、事実としてあります。僕らはデビュー前にMVを撮っているのですが、その制作費もSoulJaさんのブレイクがなければ捻出できなかったという話も聞きました。
紅白では、いろいろな方の思いを引き取って歌います。どうぞテレビの前でお楽しみください」
おだいりょうへい
47歳 1971年2月23日生まれ 大阪府出身。モデルとして活動後、2002年に『仮面ライダー龍騎』で仮面ライダーゾルダ役に抜擢され、俳優デビュー。また、2002年のアニメ『機動戦士ガンダムSEED』では声優も務めた。2007年に「純烈」に加入し、コーラスを担当。2018年、コメンテーターのLiLiCoと結婚していたことを、妻がレギュラー出演する『ノンストップ!』で明かした