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指原莉乃と村上信五の瞬発力に「将来は紅白司会?」と社会学者
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2018.12.30 14:02 最終更新日:2018.12.30 14:02
今回、紅白リハーサル見聞録を書かせてもらうことになった。私の本業は記者ではなく社会学者で、テレビの歴史が専門。特に紅白は個人的にも好きで、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩選書)という番組の歴史を綴った本を出させてもらったこともある。そういうわけで、他の紅白記事とはちょっとテイストの違う「紅白好きがのぞいた舞台裏」を楽しんでいただければと思う。
さて、12月29日はNHKホールで音合わせがあった。出演者、番組スタッフ、報道陣などで会場がごった返すなか、各出場歌手の音合わせのあとは報道陣による写真撮影と囲み取材という段取りである。
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その囲み取材、すべてを見られたわけではないが、取材陣から次々と質問が飛ぶなか、当意即妙の答えで印象に残ったのがHKT48の指原莉乃と関ジャニ∞の村上信五である。
指原莉乃は来年4月でのAKBグループ卒業を発表。それにともない、今年が歌手としては最後の紅白になる予定だ。するとバラエティMCとしても活躍中の彼女に「今度は司会で戻ってくるのでは?」という質問が飛んだ。指原は、自分はまだまだで、いまはまだ夢の段階だと謙遜しながらも、紅白司会の実績もあり最近いろいろと話題の上沼恵美子の名前を出すなど、その場を大いに沸かせていた。
確かに女性アイドル歌手が紅白司会を務めた例となると思い浮かばない。斉藤由貴はそれに近いもののメインは女優業だった。浅野ゆう子や仲間由紀恵は元アイドル歌手、森昌子も司会をした時点ではすでに演歌歌手だった。アイドル歌手であり、バラエティが主戦場の指原のようなタイプはこれまでにいない。
一方、村上信五の囲み取材も盛り上がりという点ではひけをとらなかった。
以前から紅白司会を狙うという発言をしていた村上は、そのことに話が及ぶと「今年落ちた、また落ちた」と嘆き、ここのところ毎年司会の嵐を「引きずりおろしてやりますよ!」と宣言。最後には「(来年の司会は)僕に決まりました!」とまるで決定事項のように断言して会見を締め、周囲の爆笑を誘っていた。
最近は嵐やそのメンバー、井ノ原快彦などジャニーズアイドルの白組司会が続いている。そもそもは、SMAPの中居正広が1997年に当時25歳の最年少記録で白組司会を務めたのが始まりだった。その歴史に自分も名を連ねたいという村上の宣言だったわけである。
2人とも旺盛なサービス精神から出た発言だったのだろうが、囲み取材を見ていて指原莉乃と村上信五の司会実現もあながち夢や願望ではないのかもしれない、と感じた。
共通するのは、記者の意を汲んで記事にしたくなるような発言やフレーズを即座に出せる瞬発力。紅白司会には番組進行の能力も必要だろうが、アドリブ的な瞬発力があればもっと番組が面白くなること間違いない。
たとえば、指原の取材で名前が出た上沼恵美子と古舘伊知郎が司会だった1994年と1995年の紅白は、そんな丁々発止の面白さがあった。しかもアイドル歌手として大成功した司会コンビによる紅白となると、おそらく史上前例がない。2人の司会対決を見てみたい、と思わされた囲み取材だった。
(取材&文/太田省一)