お笑い芸人カラテカの矢部太郎(41)が描いた『大家さんと僕』は、76万部を超え、コミックエッセイ部門で販売部数で歴代1位となる。タレント本では又吉直樹の『火花』、阿川佐和子の『聞く力』に次いで3位だというのだから驚く。
矢部の父は、絵本作家のやべみつのりさんである。そこで、後に漫画をヒットさせることになる矢部のルーツを、元芸人のインタビューマン山下が聞いた。
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――子供の頃から漫画は描いていましたか?
「中学生の頃、『手塚治のマンガの描き方』を買って、Gペンとインクと原稿用紙を買いそろえました。でも、いざ描こうと思ったらめちゃくちゃ難しくて、あきらめましたね。ギターを買ったけどFのコードがおさえられなくてあきらめるみたいな感じです(笑)」
――矢部さんのお父さんは絵本作家ですよね。描き方を教えてもらわなかったんですか?
「お父さんは別に絵が上手くはないですから」
――いや、絵を描くプロでしょ!(笑)
「そうなんですけど、お父さんが描く絵は素朴な絵なんで。ウチのお父さんは、なんでも描きたがるんですよ。僕が小学生のときに飼ってたネコが死んだんですけど、そのネコを描きたいって言いだしたんです。お父さんに『ネコを抱えて』って言われて、僕、死んだネコを抱かされましたから。出来上がった絵はネコだけでしたね(笑)」
――矢部さんが抱いているところは描いてもらえず。
「はい。けっこうウチのお父さんはヤバいんですよ(笑)」
――矢部さんの本が売れて、お父さんは喜んでくれているんじゃないですか?
「僕の本をいっぱい買って近所の人に配ってくれて、皆さんからもらった感想を『○○さんはこう言ってくれたよ』みたいに、メールで送ってくれました。お笑いではそんなこと一度もなかったですけど」
――お父さんの仕事と近いことで成功したから、うれしかったんでしょうね。そもそも大家さんとの思い出の家は、どうやって見つけたんですか?
「当時、僕が好きな人がいて、その子の知り合いの占い師の助言で決めました。その占い師に、僕が前に住んでた家の『南から南南東の間の10キロ圏内で探したら幸せになる』って言われたんです。僕は占い師が言う『幸せになれる』というのは、好きな人と付き合えることだと思っていたんです。だから不動産屋にその条件で探してもらいました」
――本がヒットして、まさに幸せになれる物件でしたね。
「いや、でも好きな人とは付き合えませんでした(笑)」
――本もヒットしたし、もう一度チャレンジしてみてはどうですか?
「本が売れたから『付き合ってくれない?』っていくんですか?」
――いや、本のことは、ふれなくていいでしょ(笑)。
「でも、その人は『本が売れたから来たな?』っていうタイプの人なんですよ(笑)。だから怖くて行けないです。今はまだバレると思います(笑)」
――本が売れて大家さんに何かお礼はしましたか?
「大家さんとの食事は全部、ご馳走になってたんですが、本が売れて、僕が、ご馳走できるようになったのはよかったです」
――『大家さんと僕』がもし実写化されたら、大家さん役と矢部さん役は誰にやって欲しいですか?
「僕がやってみたいですけどね」
――矢部さんが本人役で。
「いえ、僕が大家さん役で」
――矢部さんが大家さんを? その発想はなかったですね。でも『意地悪ばあさん』の青島幸男さんみたいなことですか。
「そうです。あと、僕の役はイケメン俳優さんにやって欲しいです(笑)」
※カラテカ単独ライブ「カラテカ メモリアルフェア『元友達』」が2019年2月9日、10日にGBGKシブゲキで開催