歌手で俳優の加山雄三が、5月15日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演し、巨匠・黒澤明監督の映画に出演した際のエピソードについて語った。
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セリフ覚えが早く、「読むとだいたい頭に入っていた」と話す加山。黒澤映画に出演した際は、「セリフは思えば出るんだよ」と助言されたと振り返る。加山は当初その意味がわからなかったが、セリフを頭に入れるのではなく心に念じることで、自然に出てくると理解したらしい。
共演者から「黒澤監督は(撮影)時間がかかるのですか?」と質問されると、「ワンシーンを撮るのに3日かかったりする。1日中同じものを何度も何度もやって、ものすごく疲れる」と明かす。
完璧さにこだわることで有名な黒澤監督。ミスがあれば撮影がまったく進まなかったらしい。
「若侍が12人並んで、末席に俺がいてカメラは遠くにある。前の方の芝居が引っかかっていた。俺にはセリフが何にもないまま(照明の)ライトが当たって、(カツラの)地金が熱くなっていた」
それでも「黙って待たなきゃいけなかった」と言う加山。すると、ある異変が起きたという。
「そのうち(撮影の)『よーい』って声が遠くなっていく。そしたらいきなり助監督に小突かれて、『お前いま寝てただろ?』と。すると立ち上がった黒澤さんが、つかつかやって来た」
「これはもう殴られるな」と覚悟した加山。ところが、監督からは「眠いのか?」と聞かれただけ。素直に「はい、眠いです」と答えたところ、「お前は外へ行って30分寝てこい」と言われ、済んでしまったという。
「外へ行って寝ようとしたけど、寝られないよね」とその後の顛末を明かした加山。世界の巨匠に迷惑をかけては、まったく気が休まらなかったことだろう。