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仲代達矢が経験した空襲下の惨劇「逃げる女の子の手が…」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.07.31 20:00 最終更新日:2019.07.31 20:00
俳優の仲代達矢が、7月29日放送の『ファミリーヒストリー』(NHK)に出演した。
番組では、仲代の戦時中の体験について遡る。1944年の8月から調布市の寺で集団疎開を経験したのだが、慣れない環境や母親が会いに来てくれないことなどが原因で、毎日おねしょに悩まされたという。
その後、小学校を卒業するため都心に戻った仲代だが、1945年5月25日に起きた「山の手空襲」に巻き込まれてしまったらしく、こう振り返る。
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「友達のうちに行こうと思って、渋谷から青山のほうへ行ったとき、急に爆撃が起こって。どこかに隠れようと思ってフッと見たら、5~6歳の小さい女の子が一人で走ってくるんです。
危ないから手をグッと引っ張った瞬間、持っていたのが(その子の)手首だけだった。『ああ!』と思いましたけど、焼夷弾がバラバラと落ちて来るし、硝煙のせいで何もできない。
実に残念なことですけど(手首を)投げ捨てたんです。それで逃げおおせた。いまだに後悔しています。手だけでも、どこかで墓に埋めるなりなんなりしなきゃいけなかった」
こうした悲惨な体験をした仲代は、終戦によって起きた日本人の変わり身の早さに納得がいかなかったという。
「昭和20年8月15日の1日を境にして、大人どもは急に親米派になった。昨日まで『国のために死ね』と言っていたのに、平気で(正反対の)『ゆるキャラ』になって生きている。この大人に対する不信感がいまだにある」
番組では「あと何十センチかで(爆弾が)僕に当たっていた」「私の身代わりになったみたいなもの」と、犠牲となった少女について語っていた仲代。テレビで話すことが、彼にできる精一杯の供養なのだろう。