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新海誠監督「人とつながりたいという気持ちを大切にしたい」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.08.17 06:00 最終更新日:2019.08.17 06:00
公開25日間で興行収入が78億円を突破。新海誠監督の最新作『天気の子』が、前作『君の名は。』を超える勢いで、幅広い世代にヒットしている。新海監督本人に、インタビューを敢行した。
「是枝裕和監督の『万引き家族』を観て、もちろんテイストは違いますが、どこかやりたいと思っていることが近いと感じました。
家出した少年が東京で人と出会い、“疑似家族” のようなものを形成して、大きなことを乗り越えていく物語−−。そんな若い2人のラブロマンスより、もうちょっと大きい視点で、この作品を描きたかったんです」
本作の序章はこうだ。家出をして東京に来た高校1年生の帆高は、偶然出会った編集プロダクション経営者の須賀に誘われ、須賀と、アシスタントで就活中の大学生・夏美とともに、オカルト雑誌のライターをやることに。連日降り続ける雨の東京で、帆高は「晴れ女」の陽菜と出会う−−。
「帆高にとって陽菜は、もっと知りたい、近くにいたいと感じさせる人物。恋心というより思春期の誰かを強く希求する気持ちです。
ヒロインの陽菜はノースリーブが特徴ですが……打ち合わせで銀座に来たときに、OLの方々のノースリーブが印象に残ってしまって(笑)」
「一方、社会に出るより先に、自分のまわりにいる大人に人生を導かれることもあると思います。須賀はそんな存在として登場させました。
そして、夏美のような女性と一緒に過ごすなんて、10代の少年からしたら相当に憧れるシチュエーションだと思うんです(笑)」
また、『天気の子』の魅力のひとつに、変わりゆくリアルな東京の風景描写がある。「今の東京の姿を残しておきたかったんです」と新海監督も語る。
そして、じつは作品の英題の、《Weathering With You》に、大きなメッセージがこめられている。「weather」には「気候」という意味だけでなく「困難を乗り越える」という意味もある。
「君と一緒にどんな困難も乗り越える」
新海監督自身も娘を持つ親でもある。
「僕自身は、『家族はこうあったらいい』という理想は、とくに持っていない。血縁があってもいいし、なくてもいいと思います。ただ、『人とつながりたい』という気持ちは、誰にでもあるはず。
そういう、つながりたいと思っている人間同士が、一緒になにかを乗り越える。僕にとって家族は、そういうような、何かを一緒に乗り切るパートナーなんです」
しんかいまこと
1973年生まれ。長野県出身。2002年に初の劇場公開作品『ほしのこえ』を発表。以降、『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などを発表。2016年に発表した『君の名は。』は、興収250億円を突破。世界でも公開され話題に
※新海監督の劇場アニメーション映画最新作『天気の子』は、全国東宝系にて公開中
取材&文・玉置晴子
(週刊FLASH 2019年8月20・27日号)