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多部未華子『これは経費で落ちません!』で市原悦子を超える
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.09.13 11:00 最終更新日:2019.09.13 11:00
多部未華子が主演を務める、ドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合/金曜22時~)が話題だ。これまでの平均視聴率は6.2%と決して高くはないが、ツイッターでは、
《森若(多部未華子)さんが太陽(重岡大毅)くんに見せた作り笑いではない笑顔。ドラマも良いが綺麗なヒロインのアップ画にも癒やされる》
《コミカルな空気で分かりやすいのにヒリッとする描写もあり、毎回繋がりながらも風味が違って面白いです。 ゲスト含め登場人物皆クセ有りでまるっと魅力的なんですが、紹介しきれません!》
などと、視聴者から高評価を得ているようだ。
同じ30代前半の綾瀬はるかや石原さとみと比べると、これまであまり視聴者から注目されてこなかった多部未華子が、なぜここまでの評価を得るに至ったのか。
「第7話で、仙台の工場長を尾行し、柱の影から覗き見する姿を見て思ったんですよねぇ。『これは経費で落ちません!』の多部未華子は、『家政婦を見た!』の市原悦子に通じるものがあるって」と、ドラマウオッチャー晴川日月奈氏は語る。
今回の多部の役どころは、ごく普通の会社に勤めるカタブツ経理女子、森若沙名子。
白シャツに紺のベストとスカート、ひっつめ髪で机に向かい、カタカタと電卓を叩いては、請求書や領収書の数字とにらめっこする姿はかなり地味だ。
だが、生真面目で一生懸命、仕事は優秀で的確。数字の裏に隠された社内の問題点や人間関係に気づき、追ってはいけないと思いつつ、真相を追わずにはいられない。最後は相手と対峙し、淡々と問題を解決していく。
『家政婦は見た!』で、市原悦子演じる石崎秋子も、家政婦ゆえ服装も見た目もかなり地味。真面目に仕事に取り組み、派遣先の信頼を得るが、好奇心旺盛で派遣先の問題にいち早く気づき、じっと観察を重ねる。そして最後は彼女なりのやり方で問題を解決する。
会社と家庭で現場は違うが、考えてみれば、どちらもお財布を預かる立場。沙名子も秋子も、秘密の匂いに妙に鼻がきき、なぜか誰かの見てはいけないシーンを目撃してしまう。
目ヂカラが強く、観察力も鋭い。人の話を聞きだす能力に長けている。普段から心の声がダダ洩れ。猫好き。ドラマの作り方も、1話完結でリアリティ重視。周りはクセ者ぞろいだが憎めない、と共通点はいろいろだ。
「恋愛に関しては奥手で天然。ちょっとした男性の言動にドギマギし、舞い上がってしまうところも似ている。思い込みで極端な行動に出てしまう愚かさもかわいい」と晴川氏。
第7話『せっけんの秘密とキスの巻』は、会社の功労者を表彰する授賞式に、せっけん作りのレジェンド・留田(でんでん)がやってくるという話だったが、この回で沙名子の恋愛も一気に加速する。
前話で、自分に無理してキスしようとした沙名子は、山田太陽(重岡大毅)に「ゆっくりいこう」と言われ、機会を逸してしまう。それ以来、「次こそ!」の思いを込め、沙名子はひたすら変顔で桃のリップクリームを唇に塗りたくる。
そして沙名子の部屋を訪れた太陽に「好き」と伝え、お互いの気持ちを確認しあった後、2人の顔が近づき、ついにキスの瞬間か! と思いきや、沙名子は思わず後ろを向いて、またもやリップクリームを唇にくるくる。
『家政婦は見た!』でもたまに秋子の恋物語が登場するが、どうも恋愛の方向性がトンチンカンなところが妙に似ている。
「もともと多部未華子と市原悦子は共通点が多いと思う。決して美人ではなく、どちらかといえばブスカワで庶民的。声のトーンが穏やかで癒し系。シリアスな演技もいけるし、コメディエンヌとしても優秀。多部未華子が中年になって『家政婦は見た!』を演じるところをぜひ見てみたいですね」(晴川氏)
秋子は家政婦紹介所でベラベラ派遣先の秘密をしゃべってしまうが、沙名子はそういうことはせず、清廉潔白な様子を見せる。
「沙名子には、もうちょっと毒があった方が人間っぽい気もします。第8話以降で、もっと毒の部分が見られることを期待したいですね。なにしろ、将来の市原悦子枠を担うのは、多部未華子しかいませんから!」(晴川氏)