エンタメ・アイドルエンタメ・アイドル

父のミイラ化を綴る一冊も…いまこそ「暴露本」を語り明かそう

エンタメ・アイドル 投稿日:2019.09.15 06:00FLASH編集部

父のミイラ化を綴る一冊も…いまこそ「暴露本」を語り明かそう

 デビュー当時の浜崎あゆみの恋愛と葛藤をモチーフにした『M』が、大きな話題を呼んでいる。同書は、本人への取材・了承を経て、あくまでフィクションを交えた「小説」として出版されているが、「暴露本では?」という意見が絶えない。『M』を契機に、「暴露本」について学ぼう−−。

 

 暴露本を愛する辛酸なめ子氏は、小説『M』を読み、こう語る。

 

 

「少女漫画のような “胸キュンシーン” が満載。作者・小松成美さんの文章力にかかると、もっとも風紀が乱れていそうなヴェルファーレのVIPルームも、“夢をかなえる少女の登龍門” のように、キラキラして見えてくるのは不思議です。

 

(エイベックスCEO)松浦勝人氏に見初められたあゆが、NYに歌とダンスのレッスンに行かされ、松浦氏にプラダのコートを買ってもらう展開は、『プリティ・ウーマン』のようでした」

 

 一方、5000冊のタレント本を所有する吉田豪氏の考えはこうだ。

 

「発行元の幻冬舎は、“暴露本的” な本を出版し、一大プロジェクトにする商法が得意です。郷ひろみさんの『ダディ』は、発売を二谷友里恵さんとの離婚当日にぶつけ、『すべては本を読めばわかる』と、離婚会見はおこないませんでした」

 

『ダディ』は刊行まで超極秘プロジェクトだったとされているが、布石も打たれていた。

 

「『ダディ』発売の8カ月前、幻冬舎は『郷ひろみに学ぶ幸せのレシピ』(いでまゆみ著)を出しています。なぜこのタイミングで郷さん? と不思議に思っていたら、最後のほうで本人が登場し、『近々出版予定でエッセイを書いている』と発言しているんです(笑)。

 

『M』も布石のひとつで、これから、さまざまな方面に展開していくはずです」(吉田氏)

 

 実際、吉田氏への取材のあと、テレビ朝日が『M』のドラマ化を決定した。

 

「最初からビジネスが絡むと、湿っぽくなりますよね。いい本はカラッとしているんです。

 

 僕の暴露本のオールタイムベストはダン池田さんの『芸能界本日モ反省ノ色ナシ』。芸能界の内情を暴露して問題になりましたが、本人は反省の色なし(笑)。『フジテレビのプロデューサーを失脚させるために書いた本だ』と嬉しそうに言っていました。

 

『洋子へ』の長門裕之さんも、女性関係を実名で明かして謝罪会見まで開いたのに、『思いのほか売れて、印税がたくさん入ったんだ』と喜んでいました(笑)」(吉田氏)

 

 一方、暴露本の魅力は、「壮絶な生きざまが垣間見えるところにある」と辛酸氏は語る。

 

「私の好きな暴露本は、林下美奈子さんの『ハダカの美奈子』。15歳で妊娠したり、ヤクザにホテルで覚醒剤をすすめられて、逃げたり……。父親が孤独死してミイラ化するなど、想像を超える壮絶さでした。

 

 エピソードのひとつひとつから、彼女の人生の選択の必然がひしひしと伝わってきます。『M』はすごく楽しめたんですが、小説だと公表されていますし、暴露本の楽しさとは少し違いました」(辛酸氏)

 

 吉田氏も「暴露本ではないと思いますが、暴露本として読まれることも織り込み済みでは」と語る。仕掛け人たちの思惑は、果たして……。

 


しんさんなめこ
1974年生まれ 漫画家・コラムニスト 恋愛、セレブ、皇室などをテーマに、スピリチュアルな感性と鋭い観察眼、妄想力で、女性の煩悩を全方位に網羅する

 

よしだごう
1970年生まれ プロ書評家 徹底的な事前調査で知られるサブカル界随一の書評家、インタビュアー。タレント本収集家としても知られている

 

(週刊FLASH 2019年9月17日号)

続きを見る

エンタメ・アイドル一覧をもっと見る

エンタメ・アイドル 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事