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サエキけんぞうが熱弁『デビルマン』自分の善悪を考える教科書
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.09.23 16:00 最終更新日:2019.09.23 16:00
『ハレンチ学園』『マジンガーZ』、そして『デビルマン』−−。いまも日本男児の心を掴んでやまない、名作の数々を世に送り出してきた永井豪先生が、画業50年を突破した。
悪魔狩りに走る人間たちが、デビルマンに協力的だった人間を拷問にかけ、惨殺する−−。衝撃的なシーンが続き、物議をかもした傑作が『デビルマン』だ。ミュージシャンのサエキけんぞうは、同作をこよなく愛するひとりだ。
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「『デビルマン』は、善と悪が混合した世界。勧善懲悪から離れただけでなく、『悪とは何か』を深く考察させます。正義の味方の振舞いは『救済』ということを考えた場合、自分に悪魔の部分を作らなければ、戦うことができない。これは現実に戦ったことのある人なら、必ず知っていることです。
後半では『魔女狩り』が物語の屋台骨になっていきますが、ひとたび窮地に追い込まれると、普通の人がものすごく差別心を露わにして、群集心理を持ち始めていく。関東大震災時の朝鮮人虐殺などを想起させます。
永井先生は、悪魔とはどんなものか、迷いに迷って、考え抜いた。最後、あのようなラストになったのは、永井先生が悪魔に魅入られた結果じゃないかと思う。悪魔の末路をきっちり描きました。
人間の闇について考える教科書的なもので、自分が善なのか悪なのかを考えるいい機会になる、貴重な作品だと思います」
さえきけんぞう
1958年7月28日生まれ 千葉県出身 アーティスト・作詞家。1980年「ハルメンズ」、1986年「パール兄弟」としてデビュー。作詞家として沢田研二、小泉今日子、モーニング娘。をはじめ、多数に歌詞を提供。『歯科医のロック』(KADOKAWA)ほか著書多数。『ロックとメディア社会』(新泉社)で、ミュージックペンクラブ賞を受賞した。
(週刊FLASH 2019年9月24日号)