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ほんとは優等生だった「松村雄基」歌いながら殴る不良役に愕然
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.11 11:00 最終更新日:2019.10.11 11:00
ラグビーW杯に、いま日本中が沸いている。時をさかのぼり1984年、同じくラグビーが大きな話題を呼んだ。荒廃した高校のラグビー部が日本一になる、実話をもとにしたドラマ『スクール☆ウォーズ』がお茶の間の人気をさらったのだ。
同作で、“高校イチのワル” から熱血ラグビー部員になった少年を演じていたのが、俳優の松村雄基(55)だ。
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「台本に『歌いながら殴る』と書いてあって、カルチャーショックを受けました。現場入りすると、『みんなマジなんだ』というのがひしひしと伝わってきて、これが大映ドラマか、と」
当時は、全国的に不良ブームで、テレビ制作会社「大映テレビ」が作る青春ドラマが、ツッパリ文化の隆盛にひと役買っていた。
松村は1984年、21歳のときに『少女が大人になる時 その細き道』(TBS系)で大映作品に初出演を果たして以来、『不良少女と呼ばれて』『スクール☆ウォーズ』など、同社のドラマには欠かせない存在になった。とくに松村が演じてきた不良少年役は、「カッコいい不良」の代名詞になり、絶大な人気を集めた。
「初めて不良役を演じた『不良少女~』のとき、放送翌日には、電車のなかで僕のセリフのマネが聞こえて来るんですよ。セリフの言い方も独特で、名前を呼ぶんです、『〇〇、オマエが好きだぜー!』って(笑)。
対面して僕を見ながら、『笙子~!(いとうまい子が演じたヒロイン役)』とマネを披露してくれる人もいました。セリフから覚えてもらえることは、嬉しかったですね」
『不良少女~』で松村が演じた西村朝男は、オールバックに、白いダボダボのスーツ、黒のサテンのシャツという、ほぼワンパターンに統一されたファッション。
「現場入りすると、その姿でずっといて、オールバックのままご飯を食べに行くわけですよ。だから、飲食店に居合わせたお客さんから、非常に好奇な目で見られていました。
いま思えば、セリフも衣装も、現代で『2.5次元』の舞台がやっていることを、大映ドラマで劇画チックにやっていたのかなと。『大映ドラマは劇画だ』と言われていましたし。
僕は『大映トリップ』と呼んでいますが、大映ドラマに触れて、その世界観に飛び込んだ瞬間、日常を忘れて旅をしたような感覚に陥ります。『日常にないものを見るのがドラマの醍醐味だ』と思ってやっていましたが、10年超のあいだで10作以上に出演していると、だんだんその世界が普通になって、無いと生きていけなくなっていました(笑)」
大映イズムが色濃くあらわれた松村のツッパリ役は、世間のリアル不良少年たちからも尊敬を集めていた。
「20歳を超えたぐらいのころです。ある日、高速を車で走っていたら、渋滞につかまりまして。止まって動かない状態から、ようやくノロノロ動き出したんですけど、僕のまわりが、みんな暴走族車だったんですよ。よく見渡してみると、料金所に10列ぐらいで並んでいる車も、全部そう。
そのなかの1台に見つかって、『おい、松村だぜ!』って。それで、トロトロ走る僕の車に、10代後半の不良少年たちが次々にハコ乗りして近づいてきて、『握手してくれよ!』って手を出してくるんです。しょうがないから、運転しながら握手しましたね」
その渋滞は、警察が暴走族車の「シャコタン(車高を落とす違法改造)」に検問を敷いたためにできたものだった。
「不良少年たちの車と一緒に料金所を出ると、彼らはみんな、『はい、こっち寄って』と警官のほうに吸収されていくわけです。僕はふつうの車なので、別の道を行くんですが、道が分かれた彼らから、『松村さーん!』と大声で呼ばれまして。よく聞いてみると、『立派な不良になりまー!!』って言ってるんですよ。
もちろん改造車は良くないんですが、ドラマの僕を見てシンパシーを感じてくれたところに純粋さが見えまして、『かわいいな~』と思いましたね。僕はそのとき、彼らより少し年上でしたし」
求められて握手をすると、「やった! ケンカ強くなった!!」と喜ばれることも。そうした少年たちを、温かい目で見ていた松村だが、困った状況になることも……。
「ニコニコしながら『ケンカしてください』と言われたこともありました。どう対応したらいいかわからなくて、『いやいや、できないよ』と答えると、『お願いしますよ、ケンカしてくださいよ』って食い下がられて。
そういう子たちは、プロレスラーや相撲取りにチャレンジするような感覚で来るんですよ。だから、悪気はない感じでしたね」